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2008年4月10日(木)

管内の予防注射接種率低下


狂犬病 油断は禁物…




 ペットブームが続く中、十勝管内では飼い犬に対して年1回義務づけられている狂犬病予防注射の接種率が低下している。2006年度は管内の登録犬のうち25%ほどの約4600匹が未接種だった。市町村への登録自体を怠っているケースもあるとみられ、実際に予防接種を受けていない犬はさらに多い模様。獣医師ら関係者は「飼い主の狂犬病に対する危機感が薄い。流行を防ぐために必ず予防接種を受けて」と強く呼び掛けている。(松村智裕)

市町村への登録怠るケースも

狂犬病の予防接種を受ける飼い犬。管内では予防接種率が低下している(帯広市内の中川動物病院で。塩原真撮影)
 生後3カ月以降の飼い犬の登録(一生に1回)と狂犬病予防接種(年1回)は1950年公布の「狂犬病予防法」で定められている。予防接種は各市町村が日時と会場を定めて行う「集団注射」のほか、各動物病院でも対応。登録、予防接種はともに1回3000円ほどで、自治体によって金額が異なる。

 登録と予防接種を行わないと、罰則として「20万円以下の罰金」が科せられる。各市町村が毎年4月から6月にかけて飼い主に予防接種を呼び掛けているが、帯広など人口が多い自治体ほど担当者の目が行き届かず、接種率が低いという。

 管内の接種率は99年度に81.7%と8割を超えていたが、それ以降は減少傾向に。06年度は登録1万9695匹中、予防接種を受けたのは76.8%の1万5123匹だった。

 ペットフード工業会(東京)が公表している国内の犬の飼育数(2007年度、推計値)は1252万2000匹。この数は登録数の倍近くで、関係者は「実際に予防接種を受けていない犬も相当数いるはず」とみる。

 北海道の場合は、ロシアなど狂犬病が発生している国の船が数多く寄港。中川動物病院(帯広市東4南6)の中川光義院長は「国や道が犬を放し飼いにしないよう外国船に呼び掛けているが、検疫を受けない犬がいつ上陸するか分からない状況」と危険性を指摘する。

 帯広保健所の佐藤徹生活衛生課長は「外に出さない室内犬なので予防接種は必要ない−などと誤った認識を持つ人もいる。犬を飼う際は登録や予防接種も」と飼い主に理解を求めている。

狂犬病 ウイルスによって起こる犬やオオカミなどの急性伝染病。人が発症すると死亡率はほぼ100%。日本国内の犬などによる発症例は1957年以降ないが、2006年11月にはフィリピンで犬にかまれた日本人男性2人が相次いで発症、死亡している。
 
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