【静岡】《経済》 廃棄物からエネルギー回収 静大・佐古教授ら開発2008年4月9日 家畜排泄物1トンが重油42.5リットル分のエネルギー静岡大大学院の佐古猛教授(化学工学)を中心とする産学官グループは8日、高温・高圧の水蒸気「亜臨界水」の中で家畜排泄(せつ)物や食品廃棄物、下水汚泥などを燃焼・無害化して熱エネルギーを回収する技術を開発したと発表した。亜臨界水を使ったバイオマス廃棄物処理システムは全国初という。自動化・省力化を進め2年後の発売を目指す。 経済産業省の地域新生コンソーシアム(共同研究体)研究開発事業の採択を受け、同大の岡島いづみ助教や県畜産技術研究所(富士宮市)などが参加し、2006、07年度で研究してきた。 バイオマス廃棄物は含水率が高く、エネルギー源として使いにくかった。新技術では第一反応器に水、空気と一緒に入れて約400度、100気圧ほどで燃焼。発生したアンモニアを第二反応器の触媒で分解する。最終的に水、二酸化炭素(CO2)、窒素、肥料として使える無機残さとなる。熱は燃焼に再利用できるほか、発電や暖房にも活用できる。実験では悪臭は発生せず、窒素化合物などの濃度は排出基準を大きく下回った。 より高温・高圧の「超臨界水」を使う技術はあったが、機械にコストがかかったため、燃焼過程を二段階にして温度と圧力を下げ、コスト低減を図った。家畜排泄物1トンを処理した場合、重油42・5リットル分のエネルギーを確保でき、約34キロのCO2削減効果がある。 農協や自治体での利用を想定。1日の処理量1−5トンの機械で、1、2億円程度になる見通し。製品化に向けて運転コストの低減を進めていく。
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