2008年4月8日

今日からＮＹでメッツ戦。メッツにとっては、今シーズンのホーム・オープナーでした。
来年からの本拠地となる新球場を横に従えて、シェイ・スタジアムには
カウントダウンの数字が貼られており、取り壊されてしまった
旧・ブッシュスタジアムを思い起こさせます。

ところで、メッツとフィリーズが犬猿の仲だということを、ここに来て初めて知りました。
カージナルスとカブス、とまではいかなくても、お互いに忌み嫌って、野次もおのずと
大きくなります。今日の選手紹介では、選手どころか「イクイップメント・マネージャー（用具担当）」とか、
「トラベル・セクレタリー（選手の移動を管理する人）」などといった裏方さんまでブーイングを受け、
僕も気持ちよくブーブー言われてきました。
中には、
「お前の２年前のホームラン（※）なんて、覚えてないからな〜！」という
野次まで飛んで、彼らがそれをすっごく覚えている、ということがわかってしまいました。
野球選手は、敵地で嫌われてナンボです。

ブレット（マイヤー・投手）などは、激しいブーイングを楽しむように、
高々と帽子を取って、メッツファンに向かって振っていました。
ああいうキャラに、私もなりたい。



（※）管理人註
カージナルスとメッツがナショナルリーグチャンピオンをかけて戦った試合で、
田口選手が、メッツの守護神・ビリー・ワグナーから打ったホームランのこと。
この一打が致命傷となり、その後メッツはワールドシリーズ出場を逃した。
ＮＹではうなだれるワグナーと、その背後で淡々とベースを回る田口選手の写真が
新聞の一面を飾り、一方のセントルイスでは、その瞬間の記念の額が売り出された。

ニューヨーク州マンハッタンにて　田口壮　

2008年4月7日

やってしまいました。今季初エラーです。悔しい、残念。
しかし追ったことを後悔しません。
次は絶対捕ってみせます。サードの真後ろに飛んだ、ライン際のフライ。
レフトからそこまで追いつけたことがむしろうれしい。
もうちょっとで捕れたのに、グラブの土手に当てて、落としてしまいました。
あと一歩、のための練習を、また続けます。

今年はやけに身体が軽いのです。
おかげで、これまでより守備範囲がぐっと広がったような
感覚があり、走り回ることが楽しくて仕方ありません。
どこまで捕りにいけるのか？
どこまで届くのか？
目標があるから、先へ進めます。

ニューヨークへの移動の飛行機の中で、
監督とＧＭが「ナイストライだったのになー」と慰めてくれました。
「ありがとうございます。でも、まだまだダメですね」と応えると、
「チャーリーハ、モットダメダメ」と監督。
気を遣ってくれているのがわかって、申し訳ない限り。

自分の満足のための試合ではないから、無理は禁物だし、
安全で確実をよしとするのが守備。
しかし、時として、「どこまで届くんだろう」という欲求に負けて、
追えそうもないボールを追ってしまう瞬間があります。
うまくいけばファインプレーだし、うまくいかなければただの無謀。
それでも、「あきらめる」という行為だけは、ファンに見せたくないから、
小さな身体を精一杯伸ばしています。
一か八か追うのか、最初からあきらめて安全に処理するのか、
その判断は、外野守備の難しい部分のひとつなのです。

ニューヨーク州マンハッタンにて　田口壮　

2008年4月6日

ＤＬ入りしていたブラッド（リッジ・投手）が復帰して、ようやく選手が
揃いました。久しぶりの登板も３者凡退に抑えて、相変わらずの
投球を目の当たりにしたら、今年は彼と対戦しなくていいんやという安心感で
ほっとした私です。

今年ヒューストン・アストロズから移籍してきたリッジは、名高い抑え投手。
カージナルス時代、僕にとっては天敵で、何度も対戦したのに、たぶん１本くらいしか
ヒットを打てたことがない。何を投げられてもバットに当たらない。キレキレの球を投げる、
素晴らしい投手です。彼が出てくると、まったく
出場チャンスがなかったのを思い出します。アストロズ戦で、リッジが登場すると、
スクリーンに「リッジタイム！」と大きく表示が出るのですが、それはすなわち、
僕にとって「ベンチタイム！」を意味するのでした。
（くそー、いつかなんとかしたる）と、一方的に恨みを募らせていたら、いつの間にか
チームメイトになっていました。そして、とっても穏やかでいい人でした。

抑え投手というと、そのイメージは、豪快で雄々しい。ゲームが一番緊迫する場面で
投入されて、ものすごいプレッシャーの中で投げるだけに、図太く度胸があって、
「オラオラオラ！」「いったれー！」「かかってこんかい！」という言葉が似合いそう。
しかし、実際のところは、神経が細やかで、穏やかで優しい人が多い気がします。

本当に強い人、というのは、そういうものかもしれません。

オハイオ州シンシナティにて　田口壮　

田口選手宛のファンレターはこちらまで　letter@taguchiso.com