道路特定財源は、若き日の田中角栄元首相が議員立法で生み出したものであるのはよく知られた事実である もう一つ、耐震偽装に端を発し「政治不況」を引き起こす元にもなった建築士法も、戦後復興期に同じ角栄氏が中心になって議員立法で誕生させた制度である。半世紀前の二つの遺産がいびつな形で平成の世に浮上しているのである そんな思いを持ちながら聞いた第二回の党首討論は、福田首相が「大変苦労してますよ」と愚痴(ぐち)りまくり、一方の小沢さんは、そんなことは野党の知ったことではないとばかりに鼻であしらう皮肉な笑いが交差した。両者の狭間に「田中政治」の残滓(ざんし)が見えてくるのだった 復興期の混乱を清算するどころか、過去の遺産に寄りかかり、かつ振り回される政治家のお粗末は言うまでもない。が、戦後復興期と高度成長が、良くも悪くもいわれる「田中政治」を生み出し、そうした政治家を望んだ多数の国民がいた歴史を思わざる得ない 今日の混乱を過去に責任転嫁しても始まらない。お粗末な政治家を送り出している有権者の一人として胸に手を当ててみたのである。
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