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東芝、米で原発を次々受注
このニュースのトピックス:企業吸収・合併・提携
東芝が、米国で原子力発電所の受注に着々と成功を収めている。9日には、買収でグループ化した米ウェスチングハウス(WH)が、米大手電力会社サザン社グループが運営するジョージア州のボーグル原子力発電所の原子炉2基を一括受注したと発表した。受注額は建設工事などを含み約7000億円とされる。東芝は3月にも米NRGエナジーから8000億円の受注内定を取り付けており、最大の市場である米国での実績をテコに、世界でビジネス展開を加速しそうだ。
東芝は2006年に約5000億円を投じてWHを買収。自社で手がける沸騰水型軽水炉(BWR)とともに、WHの加圧水型軽水炉(PWR)も手に入れ、2方式の軽水炉を持つ唯一の原発メーカーになった。
買収後は市場の要望に応じて2方式の原発を供給できる強みを生かし、積極的な受注活動を展開。米電力会社スキャナ社とも原発2基の受注に向けて最終交渉に入っている。
スキャナ社分を含め、米国での受注は2兆2000億円規模に達する見通しだ。正式な受注実績がまだないライバルの三菱重工業−仏アレバ連合や、日立製作所−米ゼネラル・エレクトリック(GE)連合を一歩リードした格好だ。
原発需要は、原油価格の高騰や地球温暖化問題を背景に世界的に拡大。中でも米国は05年の原発支援法成立で、今後20年間に30基以上の建設が見込まれる。
東芝は原発とともに、半導体のフラッシュメモリーを事業の柱とするが、半導体は値下がりが激しい。これに対し、原発は売上高営業利益率が1割程度と安定し、稼働後の保守事業でも利益を生み出せる。
受注攻勢が奏功し、17年を予定したWHの投資回収時期を、東芝は前倒しで達成することになりそうだ。