Jパワー株買い増し、安保の脅威になり得ない=TCI
[東京 9日 ロイター] 日本政府に対し、電源開発(Jパワー)(9513.T: 株価, ニュース, レポート)株式の保有比率を20%まで高める申請を行っている英投資ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)」のアジア代表、ジョン・ホー氏は9日、自民党内で記者団に対し「20%の株主として、日本の安全保障の脅威になることはあり得ない」と述べた。
経産省はTCIによるJパワー株の買い増し申請について「日本の安全保障と公の秩序の維持を妨げる事態が生じるおそれがある」との判断を固め、11日の関税・外国為替等審議会の外資特別部会に諮る。政府は、TCIの投資計画の中止・変更を勧告する方向となったが、ホー氏は「まだ判断が下っていない」とした上で「最終的に経産省が正しい判断をすることを望む」と語った。ホー氏は11日の外資特別部会で意見陳述する予定。
<空港の外資規制と違う>
自民党の「資産効果で国民を豊かにする議員連盟(会長:山本有二前金融担当相)は9日午後、ホー氏を呼んで意見を聞いた。同議連は、空港の外資規制に反対表明した経緯がある。
ただ、議連の事務局長の田村耕太郎参院議員は会合後記者団に対して、Jパワー株を20%まで買い増すことについて「Jパワーは青森に原子力発電所を作る。原子力には敏感な国民性がある。全く脅威ではないか(どうか)ということについては、空港の外資規制でみやげ物屋や駐車場(への外資の影響力を規制しようとしたとき)の話と違うだろう」とした上で「もっと冷静な議論が必要ではないか」と指摘した。
山本会長は記者団に対し、TCIにJパワー株の買い増しが許可されず、経産省が投資計画の中止・変更を勧告した場合は「理由をしっかり述べて納得してもらう作業が不可欠だ」として、対日投資拡大の方針に影響を与えない説明が重要だと指摘した。
一方で、山本会長は、原子力発電所や送電線を持つ電力会社が完全民営化した経緯について「上場したときにはこうした(外資からの出資拡大)事態を予測し得なかったのだろう」とした上で「国策的な会社が上場するときは、十分に案を練った上で実施するべきだ」と指摘した。田村事務局長は、外資規制に頼るのではなく、黄金株も検討するべきとの考えを示した。
ただ、山本会長は、海外のアクティビスト・ファンドによる国策会社への出資拡大について「今回のことを教訓にするべき」として、海外ファンドに反発を強めるのではなく「(存在が)自然になるようなマーケットでありたい」とも述べた。また、田村事務局長は、ホー氏に対して「むやみに日本で敵を作らないようにうまく交渉したほうがいい」とアドバイスしたという。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二記者)
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