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Jパワー株問題:電力安定供給を優先

 経済産業省が5日、英投資ファンドが申請していた電力卸大手Jパワー(電源開発)株式の買い増しを認めない方針を固めたのは、電力の安定供給などに悪影響を及ぼしかねないと判断したためだ。ただ、米景気の後退に伴う株安懸念が強まる中で「規制すれば対日投資を阻害する」との見方もあり、経産省に反発も出そうだ。

 「公の秩序に直接かかわっている。投資が不安を与えないか、を審議する必要がある」。甘利明経産相は5日、北海道洞爺湖町で記者団に対し、英ファンド「ザ・チルドレンズ・インベストメント・マスターファンド」(TCI)の申請には、慎重な検討が必要との立場を強調した。

 TCIはドイツ取引所にロンドン証券取引所買収を断念させるなど、「もの言う株主」として知られている。9.9%分の株式を保有するJパワーには昨年から増配や社外取締役の受け入れなどを要求し、同社側が拒否する構図が続いてきた。

 電力会社などの株式を外資が10%以上単独で保有する場合には国の事前許可が必要で、TCIは今年1月、Jパワー株を最大20%まで買い増すことを申請した。政府は「国の安全などに懸念がある投資」と判断し、11日に株式取得問題では初めて関税・外国為替等審議会を開く方針だ。

 Jパワーは、青森県で使用済み核燃料の本格利用を目指す原子力発電所の建設も手掛けており、国の核燃料サイクル計画にかかわっている。このため経産省は申請拒否の姿勢を強めたが、TCI側は「経営支配の意図はない。却下されれば欧州連合などに訴える」とけん制している。

 外資規制を巡っては、国土交通省が空港会社の株式保有に対する規制導入を目指したが、政府・与党内から「規制緩和の流れに反する」との異論が出て、2月に断念した経緯がある。東京株式市場では売買代金の6割程度を外国人投資家が占めており、「日本市場は閉鎖的」との反発をいかに抑えるかが、課題になりそうだ。【谷川貴史、坂本昌信】

毎日新聞 2008年4月5日 23時00分(最終更新 4月5日 23時00分)

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