育児休業や短時間勤務の制度が整い、女性が出産後も働き続けることができれば、出産を機に退職する場合と比べ大企業で22万円、中堅企業で16万円のコスト削減ができる――。有識者からなる内閣府の専門調査会が9日、企業コストの面からワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の利点を示す初の試算をまとめた。残業時間を1日30分短くした場合も、企業規模により年間1千万〜3億円ほど削減できるという。
調査は昨年末から今年1月、松下電器産業や帝人、野村証券、金型設計のカミテ(秋田)などワーク・ライフ・バランスに取り組む様々な規模の17社に実施。(1)短時間勤務の導入で、従業員の定着率や仕事への意欲が向上した(2)書類作成を単純化するなど業務が効率化できた(3)残業時間を減らすことができた、などの意見が寄せられた。
中規模の企業で、子育てと仕事が両立できる職場環境が整っている場合、育休や短時間勤務の代替要員の給与などにかかる費用から、育休期間中などに節約できる従業員への給与を引くと企業のコストは72万円。一方、職場環境が整っておらず従業員が退職する場合、新しい従業員の採用や研修などに必要な費用から、退職者に支払うはずだった給与を引くと88万円になった。大企業ではそれぞれ80万円と102万円だった。