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【社会】

抗ヒスタミン剤で蛇行運転の頻度増 東北大グループ実験結果

2008年4月9日 夕刊

 東北大サイクロトロン・RIセンターの田代学准教授らのグループは、「抗ヒスタミン薬を服用すると、偽薬の場合と眠気の強さはほぼ変わらないが、自動車を蛇行運転する頻度が増加する」との実験結果をまとめた。

 花粉症治療や風邪薬などに多用される抗ヒスタミン薬。副作用で運転能力低下などの影響が指摘されてきたが、実験で裏付けられた格好だ。

 実験では、成人男性14人が抗ヒスタミン薬「d−クロルフェニラミン」か偽薬を飲んで運転シミュレーターを操作。被験者によって飲む順番を変えたり、服用の間隔も1週間ほど空けた。

 その結果、各人の主観による眠気の強さはほとんど差がないが、約3分間の走行で車線をはみ出す平均回数は偽薬の「2・6」に対し、抗ヒスタミン薬は「6・4」だった。脳の働きも分析し、抗ヒスタミン薬を服用すると「視覚野」や「頭頂葉」といった情報処理をつかさどる部位の機能が抑制され、運転動作低下を招いたとみられる。

 田代准教授らの研究テーマは「気付きにくい能力ダウン」。今年1月、山形県の国道で風邪薬を飲んだ高速バス運転手が意識を失い交通事故を起こしたのをきっかけに実験をまとめた。「『眠い』と感じなくても脳機能が低下していることもあるので注意が必要だ」と呼びかけている。

 

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