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党首討論:詳報<その4止>日銀総裁「だれでも出来るポストではない」----福田首相

(詳報3から続き)

福田首相:最後のお話から最初に続きますけれどね、日銀の話。日銀というのはですね、誰でもできるというポストではないと思うんですよ。じゃないでしょうか。やはりその特殊性というものがあれですね、目的、日銀法に書いてあるじゃないですか。中央銀行として銀行券を発行する、通貨および金融の調節をする。ですけどね、それはやっぱり、そういう目的をですね、これを考えていただいて、そして日銀法の第四条に政府の経済政策の基本方針と整合的である、政府と連絡を密にし、十分な意思疎通を図らねばならない。ここまで書いてあるんですよ。

 そういう時にですね、どういう人材が適切かということは、私はこれ以上申し上げる必要ないと思いますけど。これは既得権益にするとか、そういうことがあってはいけない。特定の官庁がですね、その場所を占めてしまう、私はそれはおっしゃる通り、賛成、大賛成ですよ。だけど、やっぱり適材適所、人物本位そのこともですね、お考えいただきたい。

 もう一つ申し上げます。総裁、副総裁2人。3人、これはパッケージですよ。パッケージ人事です。これはやっぱりバランスを取らないといけないんじゃないでしょうか。それぞれの分野で十分な機能を発揮できるような体制を総裁、副総裁で行って欲しいという考え方でありまして、常にこういうことを考えながら今まで人材を選んできた。これは是非ご理解いただきたい。

 もう一つは、権力は衆議院と参議院で分かれた、時代が違うんだ、予算も作る前から相談しなさい、というご趣旨でございましたが、それは与野党の政策協議が出来れば十分できるんです。ですから私は昨年の10月以来、本当に何度も何度も政策協議したい、と申し上げてきたんですよ。ですから昨年の9月、10月の初めに、代表にお会いしてお話ししましたね。あの時の代表のお気持ちはまさにそういうところにあったんだと思いますよ。私は代表の気持ちはやっぱり一緒になってやらなきゃできないと思われて、あの会談をセットされたと思うので、その気持ちは忘れていただいては困るんですよ。あの対談以来、お話しできるような機会がないのは残念なことだと思います。

 ◇野党は結論を出すのが遅い

 そして一つ一つについて結論を出すのが遅いですよ、民主党と申しますか野党は。給油の新法だって2回国会延長したんですよ。対案出して下さいと申し上げたら最後に出してこられました。だけど間に合わないですよね。予算の審議もそうです。日銀人事もそうです。私どもは本当に国会対策、国会運営について本当に苦労していますよ。そりゃ、なかなか野党で結論が出ない、特に民主党の結論がなかなか出ない。これは本当に困っている。是非、政治を前進させるために二権の一つをお持ちなんですから、是非前進するように、国会運営をやっていただきたい。それと、誰とお話しすれば信用できるのか、そのことを是非教えていただきたい。大変苦労しているんですよ。かわいそうなぐらいですよ。どうぞご理解いただきたいと思いますよ。

 二権の一つを持っていらっしゃるということで日銀人事でほんろうされましたよ。しかし、人事権は政府にあるのですから、よほど変な人事でない限りお認めいただくのが、議会の、国会人事の制度。それを一つの権力を握っているんだといって、フルに人事権を発動するがごとき、もう4人も否定したんですから、不同意で。そういうことは権力の乱用っていうんです。人事権の乱用っていうんです。これはいただけない。やっぱりね、前に前進させるためには話し合いしましょう。だから道路特定財源の一般財源化についてもお話ししましょうと申し上げているんですから、どうぞよろしくお願いいたします。閣議決定は必要な時にいたします。もし政府与党で決めてくれっていうならしますよ。そうしたら応じていただけますか。

 あっちこっち(話が)飛んで申し訳ないけど、日本の道路もそれはいいとこもあるかもしれないけど、まだまだ地方はたくさん要求あるんです。あとちょっとつなげれば全部つながるところもあるんです。そういう地方の声を真しに受け止めています。それに地方の格差をなくすためにも道路はやっぱり大事だと思います。それと、昨今の経済情勢をみれば、やっぱり景気を悪くしちゃいけない。景気の足を引っ張っちゃ行けない。予算の審議が遅れて、それが景気の足を引っ張ることに非常に責任を感じるのであります。ぜひ、そういうことのないようにお願いしたいと思います。今までの天下りも悪い天下りがずいぶんあったから是正しましたけど、さらに厳しく是正してまいりたいと思っていますので、是非ご協力をお願いします。

小沢代表:総理から、いろいろとお話をいただいて時間がなくなりましたが、私が言っているのは日銀総裁だけの問題ではなくて、日本の政治・行政の機構が官僚機構という中央集権の中でがんじがらめになっているという状態ではいけないと言っているんです。で、日銀は、さらにその中で一つの大蔵省のポストという形になっている。だからこれは改めなきゃいけない。優秀な人材をあちこちで使って働いてもらうこと自体を言っているんではなくて、制度的、仕組み的に官僚機構が全部支配する形になっているのはいけません、というのが我々の主張です。

 ◇年金記録問題

 時間なくなっちゃいましたが、年金の問題について申し上げますが、私どもは1年以上も前からとにかく全員、国民全員に通知を出して照合すべきであるといいました。それから、総理も若干不適切な表現があったかもしれないとおっしゃったとマスコミを通じて知りましたが、ちゃんとやりますと去年の選挙前もおっしゃった。しかし、実際に確認できたのは(5000万件のうち)4百数十何万件、9パーセントでしかないわけですね。そういうことも現実問題としてあるわけで、私どものもう一つの主張として、今コンピューターに入力していますが、その基になった紙台帳ときっちり照合すれば、もっともっと実績が上がるだろうと、そういうことを言っているわけです。舛添(厚生労働)大臣に、どのぐらい残ってるんだと聞いたところ、8億5000万枚残っているそうです。これは厚労相がおっしゃったことです。これとコンピューターと照合すれば、これは行政の完全なミスなんですから、国民のみなさんの期待に応えるためには、国家全体のプロジェクトとして総理が声をかけて、それを紙台帳、原本との突き合わせをきちんとやるべきじゃないかと思うのですが、いかがですか。

福田首相:年金問題は、これは昨年の7月に出来ました方針がありまして、まあ大体その方針に基づいて着々とやっております。ただ実行している間に、その後ご迷惑もおかけしましたが、それはその都度対応し、昨年7月の方針で進行しております。今月からは9500万人でしたか、今受給されている方々に年金特別便を出して確認作業を始めているわけでございます。人数が多いから大変ですが、対応する人数も増やして今、一生懸命、鋭意取り組んでいるところであります。紙台帳の話ですが、データはコンピューター、マイクロフィルム、紙台帳とさまざまなデータを一つ一つ調査しております。紙台帳も今年の初めからいろいろな調査をしまして、どこにどういうものがあり、どうなっているか、今調査しております。そういうことをしておりますが、ここに行くまでに、その前にやることは、3月末までにコンピューター上の突き合わせをした、そして年金特別便を出して、それを受け取った方が社会保険事務所に来て、正確性を期すという作業をしておりますが、これから9500万人の受給者で抜け落ちている分がないのか、細かいチェックをしなくてはいけない。そう思っております。そうして、そういう調査が進みまして、どうしても紙台帳の調査をしなくてはいけないとなれば調査する。その段取りをつけておる最中でございます。この夏からは紙台帳と付き合わせることを始める予定であります。

小沢代表:全員に年金特別便を送ることになったのは、1年以上前から私たちが言ってたことで、遅ればせながら始まったのは喜ばしいことですが、やっぱり原簿、紙台帳との突き合わせをやらなくては実効性が上がらない訳で、総理がおっしゃったように、これこれやってみてどうしても分からない場合は紙台帳と付き合わせる作業では、いつのことやら分からなくなってしまうんです。ぜひその点については、並行して原簿、紙台帳との付け合わせを政府総がかりでやるということを実行していただきたいと思います。

 ◇チベット暴動問題

 本当に時間がなくなっちゃったんで、最後に中国の問題についてうかがいます。胡錦濤総書記も来日されるということでお聞きするんですが、今チベットの問題で、チベットの住民が今の政府に対していろいろな注文を付けてデモや争乱が起きている。チベットだけでない、ほかの省にも波及しているというのは報ぜられている通りであります。それに対して軍隊を出動させてまで鎮圧していると。それが今、世界中の人権の問題、民族自決の問題からみなさんの大きな関心事となっているのです。せっかくのオリンピックの聖火も人権の弾圧けしからんと、各国で行われている現状であります。このことにつきまして、総理はどのようにお考えになり、胡錦濤総書記がおいでの時に、どのようにお話しになるおつもりかと、最後にお聞きします。

福田首相:今回のチベットにかかわる問題は、せっかくのオリンピックを前にして残念なことだと思います。一番責任のあるのは中国だと思います。中国は冷静に対応して欲しい、平和的に話し合いで解決して欲しいと思ってます。そのために中国政府は全力を挙げて欲しいと思います。私どもも非常に憂慮しまして、いろんな形で中国政府にも申し上げているところであります。せっかくのオリンピックが、せっかく世界中のスポーツ選手が4年間技を磨いてきたのですから、無事参加できるような状況を作るために、中国政府が一段と努力するべきだと。同時に、各地区でデモがあります。人権という名のデモですが、暴力沙汰になるのは避けなければいけない。人権問題でデモするのはいいですけど、暴力沙汰は避けなければいけない。そういうことが起こらないよう念じておりますし、聖火は日本にも来ますし、そういうことが起こらないことを我々は祈念いたします。

小沢代表:だからチベットの人たちの行動の原因はどこにあるのかを総理はどう考えれておられるのか。そういうことを前提にして聞きたいと思いました。時間がありませんので、これで終わります。

(了)

2008年4月9日

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