3月14日にチベット暴動が起きた時、国連人権理事会はジュネーブの国連欧州本部で4週間の会期の真っ最中だった。
激しい議論があるのかと思ったが、結局、1週間以上たった会期末近くになって欧州連合(EU)などが「遺憾」を表明した程度だった。中国政府はそれにも激しく抗議したが、突っ込んだ議論は何もなかった。
ある国の大使は「相手が中国だから」と肩をすくめ、安保理常任理事国を正面から非難するのは難しいことをうかがわせた。別の大使は「人権理は途上国が多数派の仲良しクラブになっている」と疲れた表情を見せた。
それでも、亡命チベット人活動家のヌガワンさんは「チベット問題に触れてくれる国があっただけでも、うれしい。チベットの人々が勇気づけられる」と話す。
国連改革の目玉として人権理は2年前に生まれた。寄せられた当初の期待は随分としぼんでしまったようにみえるが、ここにしかわずかな願いを託せない人たちもいる。【澤田克己】
毎日新聞 2008年4月4日 12時41分