ワシントン(CNN) ペリーノ米大統領報道官は8日、ブッシュ米大統領が中国の人権問題とチベット騒乱を受け、8月の北京五輪開会式を欠席する可能性を残していることを明らかにした。開会式出席を見送った場合、一部競技を観覧する可能性はあるとしている。
ブッシュ大統領は昨年、北京五輪出席の意向を表明したが、これまでに具体的な訪問予定に言及したことはない。大統領はスポーツファンとして、米代表選手を応援したい姿勢を強調している。
大統領の五輪出席が撤回不可能もしくは情勢次第かとの質問に対し、ペリーノ報道官は「大統領はいつでも(予定を)変更できる」と答えた。報道官はそのうえで、「北京五輪はスポーツ行事であり、五輪の前後と期間中に中国に圧力をかけることが、チベット人ばかりではなく中国の住民全体を支援する最善の方法。大統領はその点を明確にしてきた」とコメントした。
ブッシュ大統領はペロシ下院議長から北京五輪開会式ボイコットを強く求められており、大統領選の民主党の指名獲得を狙うヒラリー・クリントン上院議員もこれを支持している。
ペロシ下院議長のおひざ元であるサンフランシスコでは9日、米国で唯一開催となる北京五輪の聖火リレーが行われる。同議長は8日の声明で、「われわれはサンフランシスコ出身者として、社会の多様性と表現の自由を尊重している。今週多くの人々が聖火リレーへの抗議活動を予定しているが、平和的で礼儀正しく行われることをわたしは希望する」と述べた。
ペロシ下院議長は、中国政府に対してチベット自治区での弾圧中止と、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との対話開始を呼びかける決議案を提出した。審議は8日夜、採決は9日に行われる見通し。ブッシュ大統領の五輪開会式出席見送りは、決議案に盛り込まれていない。