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更新:4月9日 10:22インターネット:最新ニュース

ブログの4割は迷惑行為・アフィリエイト、SEO狙いか

 ブログの約4割はスパム(迷惑)だという衝撃的な調査リポートをネット接続大手のニフティが3月下旬に発表した。一般消費者から「アルファブロガー」と呼ばれるようなセミプロまで、様々な人が手軽に情報発信できる手段として普及してきたが、メール同様にスパムに悩まされる事態になっている。

■フィルター技術を開発

 ニフティの研究部門であるニフティ研究所の調査によると、2007年10月から2月にかけて書き込まれたブログ記事から10万件をサンプリングしたところ、約4割は情報発信や個人の日記的な記録を純粋な目的としないスパム行為だったという。ブログの書き込み件数は毎月のように増えているが、それに併せてスパムの数も増えているという。

ニフティ調べ

 ニフティは04年から国内のブログ記事のデータ収集を始めており、これまでに全体の約9割にあたる4.7億件を収集したという。そして、そのデータを解析して、企業のマーケティング活動に役立てる情報提供事業を06年に開始している。このところスパムブログが非常に増えていることから、スパムを判別して解析するデータの対象から取り除くことのできるフィルター技術を開発する必要があったという。

■ニュース引用や意味不明な文字の組み合わせ

 さて、そのスパムブログとはどんなものなのか。多くの人がすでに遭遇しているであろうと思われるスパム(迷惑)メールは、出会い系やいかがわしい内容の商品を売りつけようとするものが多い。スパムブログも内容的には近いが、いくつかその種類を分類できるという。

 1つは、ニュース記事を引用しているだけで、特に感想などを記述しているわけでない無味乾燥なページだ。最新の携帯電話端末の型番など検索されそうなキーワードに関連するニュース記事を次々と貼り付けたり、人のブログから勝手に引用して貼り付けたりするものがある。

スパムブログについての調査をしているニフティの名越潤也氏(左)と上符裕一氏

 こうした記事ならまだ読んだときに意味が通るが、まったくの意味不明な文章を構成して文章らしくする「ワードサラダ」と呼ばれるブログもあるという。「芸能人の名前を使って、ありもしないことを勝手に文章として構成してしまうパターンが多い。芸能人の名前でウェブ検索されることが多いのを狙っている」(ニフティの名越潤也氏)という。

 アフィリエイト(成果報酬型広告)を狙ったものも多いという。様々なブログにアフィリエイトのリンクを付けて、閲覧者に商品の購入を促そうとするものだ。出会い系サイトへの導入口として開設されているブログやワンクリック詐欺を狙ったものもある。

■アフィリエイトやSEO狙い

 なぜ、このようなブログが登場しているのだろうか。もちろん、意味不明なページを作るイタズラが目的ではない。目的としては、アフィリエイトは文字通り、アフィリエイトのリンクを通じて閲覧者が商品を購入したりすることでの成果報酬を狙ったものだ。

 ただし、まったく文脈のないブログ記事からリンクして、商品を買うような人はほとんどいないし、アフィリエイト仲介業者による不正監視もある。クリックしただけで広告収入が得られるようなコンテンツ連動型広告やアフィリエイトに対する監視が緩い事業者を狙って、「数打てば当たる」とばかりに書き込んでいるようだ。

 それから最近増えていると思われるのは、検索エンジンでの表示位置を上位にしようとする「SEO」を目的にしたものだ。検索エンジンはどれだけ外部のサイトからリンクされているかを、検索結果のランキングする際の指標のひとつにしているので、書き込みの中に検索エンジンでの表示位置を上位にしたいページへのリンクを紛れ込ませるという。

 SEOはその対策を専門に手がける会社が上場しているぐらいであるから、インターネット上おける重要な価値として、スパム行為をする人のターゲットになっているのであろう。

■自動ツールがまん延

 こうしたページを人手で1つ1つ作成しようとしたら、作業の手間がかかって割りに合わないだろうが、スパムブログを書き込むための様々なツールがネット上で配布されているという。プログラムの知識がない場合でもソフトにしたがって設定すれば、ワンクリックで大量のブログに書き込みができてしまうという。

 ニフティの開発したフィルター技術も主には、自動で書き込むツールの特徴を見分けるものだ。ニュース記事を引用している場合は内容がどの程度似ているかということで判断したり、また通常の人ではあまりありえないような記事更新頻度や時間帯という部分で判断したりするという。また、ツールで自動生成されるスパムブログに特徴的な外部サイトとのリンク構造があるので、そこを解析して見分けたりすることもできるという。

■事業者での削除は難しい・・・

 ブログサイトを運営する事業者にとっては、こうしたスパムブログは無駄にシステムリソースを消費する厄介者だと思うが、排除するのはそう簡単ではないようだ。どんなにニュースの引用ばかりだったり、ワードサラダのような意味不明なものであったりしても、書き込んだ人の権利があるかもしれない以上、簡単には削除できないからだ。

 また、スパムブログが発生しているのは、大手のブログサイトのなかでも特定の事業者に偏っているようだ。ニフティの調査によるとそうしたサイトではスパムの比率が5割を超えているという。

 スパム行為をさせないように、コンピューターでは読み取れないようにした画像の内容を入力させてから記事の書き込みができるようにするなどのスパム防止の方法は一般に知られている。つまりスパムブログを防ごうと思えば比較的簡単に対策が可能なのだが、一部の事業者は対策を取っていない。

 スパム行為を許している事業者の意図はよくわからないが、スパムを許しているとブログというせっかく普及してきた文化をつぶしかねない。スパム行為をする側はもちろん改めるべきだが、事業者も健全なブログの発展のためにきちんとしたスパム対策をしていくべきだろう。

[2008年4月9日/IT PLUS]

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