くらしナビを担当する男性記者が、家事や育児などのノウハウを紹介したり、自ら挑戦する新「男の家庭面」。1回目は、「保育園の送り迎え」から。
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私(37)は妻(34)と共働きで、長女(2)を保育園に預けている。平日に不足しがちな育児時間を、どう増やすかが悩みの種。私が平日に週2日している保育園の送迎で実践しているのは「かわいい子は歩かせよ」だ。
もちろん子どもをベビーカーや自転車に乗せる方が早い。だが、私はいつも歩くよう心がけている。全部歩こうというわけではない。いつもより長く歩けば「今日は機嫌がいいな」と、親としても気分がいいし、短ければ「体調が悪いのか」と変化が分かる。歩き疲れたら抱き上げて、平日の「だっこ不足」を解消すればいい。「ちょっと公園に寄ってみるか。滑り台1回だけだぞ」。時間がある時は寄り道もしてみる。
さて迎え編。
「たあちゃん!(『お父ちゃん』の意味)」。夕方に私が保育園に到着すると、保育士の紙芝居を見ていた長女がダッシュしてくる。それをなだめつつ、汚れた衣類や連絡帳を素早くカバンにしまう。子ども服は小さいので(特に靴下)、紛失に気を付けないといけない。
通い始めのころは、保護者も保育士も女性ばかりで居づらいが、子どもの様子を知るには保育園での会話は重要だ。
「保育園終了時間より5分早く迎えに行くようにしました」。経産官僚で、1年間の育休を取った経験を持つ山田正人さん(40)は、保育園でのコミュニケーションのコツを教えてくれた。5分早いと、子どもの帰宅ラッシュを避けられ、保育士と話す余裕が出る。「でも結局は、何回も保育園に顔を出して『なじむ』しかない。足で稼ぐのが一番」と言う。
ただ、機嫌がよかった長女も家に着いた瞬間に「空腹モード」にスイッチが入り、超フキゲンになる。
共働き家庭は食事、風呂、寝かせ付けなどの作業を一人でこなす自己完結力が必要だが、食事の用意は最も要領が必要だ。
我が家の「3大定番メニュー」は、シチュー、肉じゃが、ひじき。材料のジャガイモやニンジン、ベーコン、乾燥ひじき、大豆などは保存がきいて買いだめができ、作りだめも可能だ。日曜夜にこれらを含めて五つか六つのメニューを作れば平日は乗り越えられる。
保育園ビギナーの必需品を紹介したい。集団生活で注意したいのは鼻水。放置すると中耳炎の原因にもなる。私も、近所の小児科で鼻水を垂らした長女を診てもらった際、「鼻水はばい菌のかたまりです」としかられた。鼻水を吸引するグッズは店頭で発売されている。口で吸引するものがシンプルで簡単だ。
保育園から家までの間に空腹で我慢できなくなった時にはコンブや小さめの煮干しが重宝する。長持ちするうえ、歯の発達にも役立つ。虫歯にもなりにくい。
「保育園の送り迎え」を執筆した中西記者は、4カ月の育児休業を体験し、「一生の宝物」と振り返ります。私の駆け出し時代(80年代初頭)、記者の心構えを説く先輩は「仕事仕事で、生まれた赤ん坊の顔を見たのは2カ月後だったぞ」と。時代は確実に変わっています。男性の皆さん、もっと家事や育児に踏み出しましょう。そんな思いを込めて新装オープンした「男の家庭面」にご期待ください。【城島徹】=次回の体験編は5月5日掲載
毎日新聞 2008年4月7日 東京朝刊