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【よりよい医療のために】「事故調」を考える(中)真相究明願う遺族 (2/2ページ)
悦子さんの事故から9年がたった今も、永井さんの気持ちは癒やされず、複雑な思いが残っている。結果的には勝訴となった裁判だが、永井さんら遺族にとってすべての真相が解明されたわけでないためだ。
永井さんは「事故が起きた後、医療従事者がとった行動は『隠す』『かばう』『嘘を言う』『口裏を合わせる』の繰り返しだった」といい、真相究明のためには、医師ら専門家が調査する医療安全調査委員会(医療事故調)の設置が不可欠と考えている。
永井さんが代表を務める「医療の良心を守る市民の会」は先月、医療事故調の早期設置を求めるためのシンポジウムを開いた。医療事故調について、「刑事処分の法的整備・検討がされていない」「調査する側に中立・公正が期待できるのか」などの問題点も指摘されたが、「医療について素人の警察が調査し、個人の刑事責任を追及する今の制度は、再発防止の観点からも問題。医療者、患者のためにも、真相を究明する機関が必要」との考えで一致した。
永井さんは「遺族は本当のことが知りたいだけなのに、現状ではそれがすごく難しい。医療事故調ができれば、今よりはすみやかに事故の真相究明ができるようになるはず。さらに病院自らが調査をし、自浄作用を高める努力をすることも期待している」と話している。(平沢裕子)