「国保減免」消える地域も 75歳以上の新医療制度2008年04月09日 4月から始まった75歳以上が対象の後期高齢者医療制度で、都市部の低所得者層を中心に保険料額が大幅に増える人がいることが分かった。制度の運営主体が市町村から都道府県単位に代わり、市町村独自の軽減措置が受けられなくなるためだ。保険料負担がゼロから年額1万円超や、5倍増のケースもある。
75歳以上の高齢者の約8割は、これまで市区町村の運営する国民健康保険に加入してきた。一部の自治体は税を投入して加入者の保険料負担を軽減したり、低所得者や高齢者向けに減免したりしてきた。新制度は都道府県単位の「広域連合」が運営主体となり、こうした市区町村の軽減措置は対象外となる。保険料額は近く社会保険庁から通知され、一部の人を除き15日に年金から天引きされる。 約113万人の高齢者が加入する東京都の広域連合によると、単身で厚生年金の平均受給額201万円の場合、国保の保険料は23区で年額3万円程度だったが、新制度では5万3800円と2倍近くに。市町村部でもほとんどの所得層で保険料が1・2〜1・3倍に上昇する。公費投入が、新制度では3分の1近くに減るためだ。それでも、他と比べれば公費の支援は手厚く、保険料は全国で最低水準だ。一方、区部の高所得者層はこれまでより負担が減る。 名古屋市では、収入から公的年金控除(120万円)などを引いた後の所得が一定以下の世帯は保険料を免除。このほか、住民税が非課税の人は3割減額していた。だが、新制度では、独自の減免制度は続けられなくなった。 全額免除だった年金収入153万円の単身者は、今年度から1万2千円を支払う。168万円の場合、4700円から2万3100円と約5倍に。3割減額の対象者も含め、名古屋市の75歳以上の国保加入者約15万人のうち8万人以上が影響を受ける。 大阪市でも「所得に応じて保険料を7割、5割、2割減額」という国の制度に加え、「3割減額」という仕組みを設けているが、新制度への移行で「3割減額」だった75歳以上世帯が、2割しか減額されない事態も生じている。 厚生労働省は「全国レベルで比較すれば、一般的な傾向として、低所得者層は負担減となり、高所得者層は負担増となる」としているが、所得や住んでいる場所によって異なり、注意が必要だ。(太田啓之、浜田陽太郎)
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