最高裁は、裁判員になるのが差し支える具体的な事例を地域や業種、生活スタイルごとに調査、分析した資料をまとめ、全国の地裁などに配布した。「仕込みの時期の杜氏(とうじ)」や「新規開店時の飲食店店長」など、辞退について配慮すべきケースを細かく例示しており、裁判官が裁判員候補者の辞退を認めるかどうかを判断する際に活用される。
調査は昨年9月から今年1月末にかけて実施。(1)「事務系」などの職種(2)「食料品製造業」などの業種(3)「北海道の交通不便地域」などの居住地域(4)「フリーター」「要介護者」などの生活スタイル−の観点で分類した6人ずつのグループを127つくり、それぞれのグループに裁判員に参加する際、差し支える理由や時期などを聞き取った。
その結果、最高裁は、「ほかの人に代わってもらえるか」(代替性)と、「裁判員になることによって悪影響が発生するか」(影響)−の2点が辞退を認めるかを判断するうえで重要な基準になるとの考えを示している。
例えば、卒業式や入学式に出席しなければならない教師や、インフルエンザ流行シーズンの医師らは、代替性がなく、影響も大きいため、辞退の理由として検討すべきとしている。また、豪雪などの気象条件も配慮すべき要素としている。裁判員の選任手続きでは、実際に裁判員候補者として各地裁や支部に呼び出される前に、調査票、質問票で辞退を申し出ることができる。これらの資料は、候補者を呼び出す前の段階で、辞退理由に該当するかどうか、判断を容易にする狙いで導入された。最高裁は、来年までにさらに60〜80グループを調査し、配慮すべきケースをデータベース化する方針だ。
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