保坂政嘉さんと保護者は、実習助手の単独授業にとどまらず、校内であった数々の不正を指摘した。学校や県教委は問題解決に取り組もうとしない−。内部告発の形で申し立てた背景には、そんな思いがあるからだ。事実を隠蔽(いんぺい)したと憤る保坂さんに対し、学校と県教委は否定している。
「等しく教育を受ける権利を与えてほしい」。保護者の一人は会見で、涙を流しながら声を振り絞った。
保坂さんは「握りつぶされている。いくら言っても変わらない」と怒りをあらわにし、名前や顔がマスコミで公表されるのは覚悟の上で、学校の膿(うみ)を出し切ろうと考えた。
酒酔い授業などについて保坂さんの指摘と学校、県教委の見解は食い違いを見せている。
一方、申立書では、社会科教諭が国政選挙直後の授業で投票政党名などを尋ねたことを問題視。このことについて教諭は「配慮が足りなかった」と事実を認めている。
申し立てを受け、中永広樹県教育長は「内容を十分に把握した上で必要があれば調査を行い、(盲学校の)再建に向けた取り組みに生かしたい」とコメント。県教委特別支援教育室は「認識が行き違ったことは反省している。説明責任と透明性を確保しながら理解を図ることが大切とあらためて感じた」とした。
前田光夫校長=三十一日付で退職=は「中身を精査しないとコメントできないが、学校側の認識と異なる部分があるように感じる」と話した。