千葉県市原市の「非破壊検査株式会社」東京事業本部京葉事業部から七日、保管庫にあった放射性同位元素イリジウム192(直径二ミリ、長さ二ミリ)が入った容器一個が盗まれたと市原署に届けがあった。
同社から報告を受けた文部科学省によると、保管庫の防犯ビデオに、五日午前一時四十分ごろ、容器を持ち出す不審人物が写っていたという。保管庫の鍵をダイヤル錠式のケースから持ち出し侵入したとみられ、同署は内部事情に詳しい者による窃盗事件とみて調べている。
文科省によると、容器からイリジウムが露出した場合、近くで一日以上被ばくし続けると嘔吐(おうと)、三日で急性放射線障害が出るという。
調べによると、盗まれたのは放射線透過検査装置に使う線源。容器はステンレス製の円筒形(直径約二十五センチ、長さ約四十センチ、重さ約十七キロ)で、二重構造で密封されている。
七日午前七時ごろ、出勤した社員が二十八個あるうちの一個がなくなっているのに気付いた。四日午後六時に職員が保管庫にしまった。五、六日は休みだった。
非破壊検査株式会社によると、保管庫は普通の鍵とカードキーの二種類の鍵がかかっており、正しく操作しないと警報器が鳴る仕組み。今回は鳴らなかったという。
鍵とカードキーは、隣接する社員寮の中にあるダイヤル錠付きのケースに保管されていた。夜間に作業する関連会社の社員なども出し入れできるようになっており、ダイヤル番号は十数年前から変更していなかった。警備会社が調べたところ、ビデオに不審人物が写っていた時間帯にこのケースのカードキーが使われていた。
同社は、放射線や超音波などを使い、製品を壊さずに欠陥や劣化状況を検査する非破壊検査の専門会社。
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