2008年04月08日 柏木理佳(中国経済ジャーナリスト)
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北京五輪を待たずに中国経済バブルの崩壊が始まった
人民元は05年7月の約2%の切り上げ以降、昨年末までに累計13.3%上昇、さらに今年に入り2月末までに2.8%も上昇している。しかし政府は、元高誘導をインフレ防止策の政策手段とすべきではないとし、インフレ抑制策の主たる手段は金融引き締めなどマクロ政策であるべきとの見方を示した。
●北京五輪を機としたバブル崩壊
巨額な資金を投資したインフラの整備、設備投資はすでに終了しており、直接投資も減少している。過剰な投資に対して、マンションなどでは空き室が目立ち、悪影響が出始めるだろう。さらに不良債権問題など、ゆがんだ金融構造問題が表面化する。
●人民元切り上げによる収益悪化
個別銘柄に投資している人には「人民元の切り上げ」が直接的に影響を及ぼしている。人民元切り上げにより人件費が上がり、中国企業は収益が出づらくなった。投資家にとって、中国経済の魅力は失われつつある。
これまで中国株は、株価の推移が他の先進国の株価のように経済に連動しなかった。中国株は政策によって左右されるからである。ところが、このところ政策でも株価をコントロールできなくなりつつある。
崩壊した政府の管理、そして未熟な市場経済。中国経済は、北京五輪を待たずに、すでにバブル崩壊=株価下落サイクルに突入した可能性が高い。
消費が地方にまで浸透する頃
再び中国株は上昇する
しかし、中国株は上海市場だけではない。香港経済の影響を受ける深浅市場と香港市場があり、上海市場とは違う特徴がある。ここでは詳細はさけるが、株価は下がるときが買いのタイミングであり、次の上昇時期を見極めるチャンスでもある。
次の上昇時期とは、国内消費が本格的に地方にまで浸透する時期のことだ。現在、中国のGDPにおける国内消費は約2割しか占めておらず、日本や先進国の6割を大きく下回っている。中国の隅々においても、生活必需品からぜいたく品までの消費が浸透するようになれば、国内需要は飛躍的に増進する。長期的には2020年前後の時期にかけて、中国経済が再び緩やかに活性化することが見込まれる。
第7回 | 北京五輪を待たずに中国経済バブルの崩壊が始まった (2008年04月08日) |
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柏木理佳
(中国経済ジャーナリスト)
嘉悦大学短期大学部准教授。富士通総研研究員。豪州テイラー大学卒、北京首都師範大学留学、豪州ボンド大学院MBA取得。香港で国際線客室乗務員、NHK契約アナウンサーなどを経て、中国、マネー分野の専門家として活躍。『柏木理佳の中国産業「宝」地図―成長する中国、ダメな中国の見分け方』『中国株でお金持ちになる』など著書多数。柏木理佳ホームページ
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