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チベット問題 中国の古来からの排他的な中華思想が背景 (1/2ページ)

2008.4.8 22:04

 【北京=矢板明夫】3月中旬に起きたチベット騒乱以降、中国当局はチベット仏教の最高指導者のダライ・ラマ14世との直接対話を拒否し、僧侶らの取り締まりを強化した。この強硬姿勢は欧米社会から厳しい批判を受けたが、中国国内ではむしろ若者を中心に支持を広げている。古くから伝わる排他的な中華思想がいまだに中国人の考え方の底流にある。それに加えて1990年代以後、強化された愛国主義教育が、民族主義をますます高揚させたともいえそうだ。

 中国の大手ポータルサイト「捜狐」に、「五輪聖火リレー、パリで妨害される」とのニュースがアップされてから半日ほど経った8日午後3時。ニュースの感想を自由に述べる欄にはすでに約2000件の書き込みが殺到した。「聖火を守れなかった仏政府に謝罪を求める」「フランスの五輪参加資格を剥奪(はくだつ)せよ」「妨害者に死刑を」といった過激な言葉が大半で、チベット人に同情的な意見は皆無だ。

 普段は、物価上昇や株価急落などで中国政府の政策を批判する意見も散見されるが、「台湾」「チベット」など民族や国家統一の問題になれば、瞬時に愛国主義一色となる。

 ある中国人学者によれば、中国には古くから周辺民族に対する根強い優越感があり、“優れた”文化を持って他民族を征服し同化できると考えられてきた。「中華思想」だ。逆に中国中心の秩序から離脱しようとする民族やグループがあれば、中国の文化的優越感を根底から否定するとみなし、自尊心が傷つけられ、反発が起こるという。

 聖火リレーで抗議行動をしているのは、チベット人と彼らを応援する欧米人だといわれる。共産党の一党独裁に反発し、外国に追われた数万人の中国人民主化活動家の姿はほとんど見られなかった。チベット人と同じく中国当局に弾圧されているにもかかわらず、応援しないのは、彼らも中華思想の影響を受け、本音ではチベット独立に反対しているからだとみられる。

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