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サルコジ仏政権:対中政策を軌道修正 聖火リレー抗議

 【パリ福井聡】北京五輪の聖火リレー通過を巡り、フランスで対中抗議が盛り上がった背景には、サルコジ大統領がシラク前大統領時代から対中政策を軌道修正していることが指摘できる。シラク氏が中国を「戦略的パートナー」と位置付け中仏蜜月を演出したのとは対照的に、サルコジ氏は政治的に中国と距離を置く姿勢が目立つ。現政権の「変化」を追い風と受け取った市民が、チベットへの連帯意識をさらに強めたようだ。

 サルコジ大統領の昨年11月の訪中には財界40社の首脳が同行、中国企業と多くの大型契約を成立させた。中国との経済・貿易関係強化は欧州連合(EU)各国の共通課題で、サルコジ氏も経済関係を深める方針だ。だが、シラク氏が在任中にこだわった中国向け武器輸出解禁問題には直接言及していない。

 シラク氏はドゴール主義時代の同盟関係を念頭に、イラク戦争に反対した経緯から中国やロシアとの関係強化を模索した。だが、昨年5月の大統領選で「過去との決別」を掲げて当選したサルコジ氏は、同じ保守派ながら非ドゴール派に属す。

 仏国際関係研究所のニケ・アジア部長も「サルコジ氏は対中貿易赤字も指摘するほか、武器禁輸問題ではEUの一員として足並みをそろえようとしており、シラク政権とは温度差がある」と説明している。

 また、サルコジ氏は外相に元社会党員のクシュネル氏、外務・人権担当閣外相にアフリカ系の女性人権派、ヤド氏をそれぞれ任命。クシュネル氏はノーベル平和賞を受けた「国境なき医師団」の共同創設者で、ギリシャの聖火採火式に乱入した「国境なき記者団」(本部・パリ)のメナール代表とも親交がある。

 チベット暴動発生後、サルコジ氏は五輪開会式出席を見合わせる可能性を示唆。人権問題に敏感な市民に一定の評価を受けてきた。

 仏は7~12月にEU議長国となる。サルコジ氏は「開会式に出席するかどうかの正式決定は議長就任後」とし、仏単独での態度表明を避ける構えだが、ポーランドやチェコの首脳は欠席を表明済み。人権意識の強い北欧諸国も同調するとみられる。EU主要国である仏のこうした態度は、各国の対応に影響を与える可能性がある。

毎日新聞 2008年4月8日 2時30分(最終更新 4月8日 2時30分)

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