仏・パリで北京五輪聖火リレー 聖火が一時消される異例の事態、バスで直接ゴールへ
チベット問題での中国政府の対応に端を発し、北京オリンピックの聖火リレーへの妨害活動が激しさを増す中、舞台はパリに移った。日本時間7日夜、厳戒態勢の中でスタートしたが、直後に聖火が消される異例の事態も起きている。
フランス・パリでの聖火リレーは、日本時間の午後7時半に始まった。
警備の人数はおよそ3,000人で、どこに聖火ランナーがいるのか、わからないほどの厳重な警備となっている。
聖火リレーをめぐっては、3月の採火式から、チベット問題に対する抗議活動がつきまとっている。
特にパリは、これまでも抗議を行ってきた「国境なき記者団」の本拠地ということもあり、緊張は一気に高まった。
「国境なき記者団」のフランソワ氏は5日、「何かをしようと考えています。いつ、どこでかはわからない」と話していた。
この予告通り、ランナーを妨害しようとした「国境なき記者団」のメンバーが、警察に拘束された。
そして主催者側は、聖火を守るために一時、トーチの火を消して、バスの中に避難させるという措置を取っている。
北京オリンピックの聖火リレーは、前日のロンドンでも妨害に遭っている。
北京オリンピック組織委員会は、「われわれは、聖火リレー妨害を企てる卑劣な行為を強く非難します」と、会見で妨害活動を激しく糾弾した。
ダライ・ラマ14世も、「中国人の心に憎しみを生むのは無益」と、妨害をしないように訴える声明を発表している。
フランスでの聖火リレーは、避難とリレー再開を繰り返しながら、予定を大幅に遅れてパリの街を進んでいる。
激しい抗議活動の中で行われている聖火リレーは、日本時間7日午後11時半ごろ、シャンゼリゼ通りを1時間ほど遅れて通過した。
現時点で、このあとのリレーを行わずに、バスで直接、競技場に向かうという。
聖火リレーは、通過する先々で激しい抗議行動に遭っている。
聖火が通る道には人が横たわり、聖火の通行を邪魔しているほか、沿道では、北京五輪推進派と人権擁護派が激しく言い争いをした揚げ句、暴力ざたにも発展するなど、パリ警視庁のまとめでは、これまでに8人が逮捕されている。
これを受けて、聖火は一時、随伴するバスの中に避難させられたり、技術的問題で火の消えたトーチを持って走るランナーが出るなど、大混乱したまま続いている。
パリにおける聖火リレーは、聖火の周りだけでおよそ300人近い治安関係者がおり、特に聖火がバスで運ばれている沿道からは、「聖火リレーを見に来たというよりは、警備車両のパレードを見に来たみたいだ」と嘆く声が多く聞かれている。
聖火リレーは日本時間午後11時50分現在、バスで直接ゴールへ向かっている。