1921年当時は日本とポーランドは国交がなかった.
しかし,それなのに日本が他の国から無視されたポーランド人の孤児 765人を
シベリアから救済した話は,ポーランド国内ではかなり広く紹介されて教育現場で教材として使われている.
ポーランドの政府や関係者から多くの感謝状が到着されている.
その一つ,極東委員会の当時の副会長ヤクブケビチ氏は,
「ポーランド国民の感激,私たちは日本の恩恵を忘れない」と題目を付けたお礼の手紙で次のように言っている.
「ポーランド国民の感激,私たちは日本の恩恵を忘れない」極東委員会副会長ヤクブケビチ
「日本人は私たちのポーランドとは完全に縁がない遠い異人種だ.
日本は私たちのポーランドとは完全に異なる地球の反対側に存在する国だ.
しかし,私たち不運なポーランドの児童に使うことも深く同情をつけて心より憐愍の情を現わしてくれた以上,
うちのポーランド人は胸の中深く刻んでその恩恵を忘れることがない.
私たちの児童たちをよく見舞いしに来てくれた裕福な日本人の子供が,
孤児たちの服装の惨めなことを可哀想に思ってくれて,
自分が着ていた一番きれいな衣服を脱いでくれようと思うとかリボン,櫛,飾り帯,
そういえば指輪までも脱いでポーランドの子供達に与えようと思った.
こんな事は一度や二度ではない.よくあった.
ポーランド国民もまた気高い国民だから,私たちは何時までも恩恵を忘れない国民であることを日本人に告げたい.
日本人がポーランドの児童のために全部してくれたことは,ポーランドの他にはアメリカでも広く知られている.
ここに,ポーランド国民は日本に対して,一番深い尊敬,一番深い感銘,一番深い感恩,
一番暖かい友情,愛情を持っていることを伝えたい.」
当時 8歳だったドクトル·コッタ人スキーさん（ダミアン少年）
船が神戸と言う大きい港町に到着して,特別に用意した施設に到着した.
驚いたことにそこにはポーランドの女性たちが何人や到着を待っていてくれて,
子供達が言葉が通じないことへの思いやりまでなっていた.
綺麗に掃除された清潔な宿所に到着して,皆で大きいお風呂に入れてくれて,
きれいな新品の服(着物)(浴衣)を着せてくれた.
「日本で親切になりながら生きたその 3ヶ月が,私の生涯で,一番幸せな日々になりました.
そしてそのなつかしき日本を去らなければならなかった日が,生涯で,一番悲しい日になりました.
私どもの誰もが別離が悲しくて泣きました.
ウラジオストックで私たちを待ってくれていて,よれよれで汚くなった私たちを見て,「可哀想に・・・」と言って
涙を流しながら,抱えこんでくれた日本赤十字の看護婦さん,自ら本当の子供と一緒に優しくしてくれて
ご親切な日本の施設の人々,
順順に慰問に来てくれて,お菓子やおもちゃを私どものひとりひとりにくれた人々.
遠足で動物園に行ったり,公園でお弁当を広げて食べた楽しい思い出.
皆が外に出る度に多くの日本の人々が優しく声を掛けてくれて「可哀想に」と言って
優しく頭を撫でて「なんでも好きなものを買いなさい」と,小遣いをもらったこと.
同年代の子供達までが集まって来て,持っているおもちゃや髪飾りを惜しがる気配もなく私どもに与えました.
こんなに親切に受けて一体どのようにすればお返しができるのか,
小さな子供に過ぎなかった私ども全員がそんな事のみを思っていました.
祖国ポーランドに帰るためにアメリカに向ける船が神戸港の岸壁を去る時,
私たちは甲板に整列して,学んだ日本の歌を何度も繰り返して歌いました.
君が代,桜,荒城の月,今も確かに憶えています」
「私たち助かったシベリア孤児はそのなつかしき日本,そして親切な日本人の仕事を決して忘れないです.
そしていつの日や機会があればなにとも恩返しをしたいと心に祈っています」
アントニナ・リーローさん
看護婦さんは、ミイラのように白い布に包まれた私をベットに寝かせると
布から顔だけ出している私の鼻にキスして微笑んでくれました
（酷い目に会ってきた）私は、このキスで勇気をもらい、
知らず知らずのうちに（安心して）泣き出してしまいました。
そして 1996年.その阪神大震災.
「何時までも恩恵を忘れない国民だ」その言葉が実証される事になります.
地震災害後のその夏に地震災害孤児 30人がポーランドに招待されました.
3週間各地で歓待を受けてまた帰国するお別れパーティーには,4人のシベリア孤児が出席して,
足が不自由になった,高齢のご老人たちだが,
「75年前の自らを思わせる可哀相な日本の子供達がポーランドへ来た.
なにとも,彼らにシベリア孤児救済の話を聞かせたい」と無理を押して,やってきたのです.
4人のシベリア孤児が涙を流してばらの花を,地震災害孤児ひとりひとりに伝えた時には,
会場は万雷の拍手に包まれました.
更に10年後
下の写真は、今でも交流を続ける阪神大震災の孤児たち。
約80年前、ロシアから日本赤十字によって救出されポーランドへ帰国した
「シベリア孤児」765人の最後の生存者アントニーナ・リロさん（上写真の中央）が、
2006年7月にワルシャワで死去した。享年90歳。
日露戦争後、シベリアで窮乏生活を余儀なくされていたポーランド人たちは、
ロシアの内戦の泥沼化によって更なる飢えと寒さに苦しんでいた。
そこで日赤が救援の手をさしのべ、
1920年と1922年の２回にわたりポーランド人孤児を日本に船で移送し、
手厚い保護の後、祖国へ送り返してあげた。
「シベリア孤児」たちは、こうした日本の対応を忘れず、1995ｰ96年と2005年、
阪神淡路大震災孤児たちがポーランドに招待された際、孤児たちを励ました。
2002年7月に天皇皇后両陛下がポーランドを訪問されたときには、両陛下に謁見しお礼を述べた。
2003年12月23日には、フジテレビ系で関西テレビ開局４５周年記念ドラマ「ワルシャワの秋」
（「シベリア孤児」達を救うために尽力した看護婦の生涯を描いたドラマ）で
この歴史がドラマ化され放映されている。
またリロさんは、第二次世界大戦中にポーランドでユダヤ人を助け、
イスラエル政府から賞を授与された。
「日本人に助けられたので、今度は私がユダヤ人を助けてお返しした」と話していたという。
