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ロシア軍はポンコツだらけ 領空侵犯飛行もハッタリか

2008年4月号 [グローバル・インサイド]
by ゴードン・トーマス

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ロシアの爆撃機が、英領空やステルス機の発着地であるグアム島米軍基地付近を領空侵犯スレスレに飛行したとの報道は冷戦時代を髣髴とさせるが、こうした動きの背景には、軍事大国としてのイメージを何とか維持しようとするプーチン大統領の「ハッタリ」もあるようだ。

英対外諜報機関MI6は、ロシア軍に関する最新リポートの中で、同軍はプーチン大統領が自慢するほどの武力を持ち合わせていないと断定した。100万人強の兵を擁し、中国、米国などに続く世界第5位の規模だが、その実力はもはや冷戦時代のような脅威ではないという。その理由は、第一に刷新すべき旧式の武器が使用されていること。実際、大半の兵器製造年は40年前に遡り、一部の野砲に至っては第二次大戦末期にベルリンを包囲した旧ソ連赤軍が用いた122ミリ榴弾砲のままで、改良されていないのだ。

金属性のヘルメットも、ロシア軍兵士がベルリン包囲の際にかぶっていたもので、デザインはスターリングラードの攻防戦当時のままという。かつて人気の高かった旧ソ連製ドラグノフ(SVD)狙撃銃は44年前に製造されたもので、英国軍兵士が現在、携行している狙撃銃に及びもつかない。また、91年には1389基あった大陸間ミサイルも489基に減少。さらに空母も25年前に就役したもので、随分前から改装すべき状態にあったという。

電子機器や無人機、大砲などの兵器輸入を頼る中国も、自国の優位を保つために最新鋭兵器をやすやすとロシアに手渡すはずがない。中国への武器依存が、ロシア軍需産業を危機に陥れているのは確かであり、MI6は「凋落の一途」と指摘している。

ロシア有数の軍事アナリスト、ルキヤノフ氏は、メドベージェフ次期大統領に「ロシアは向こう5~7年のうちに中国に対抗できなくなる」と警告を発している。別の軍事アナリストも「プーチン政権下で軍事支出は2000年からこれまでに約3割増えたが、ロシア軍需産業の危機は深刻」と強調している。ロシア政府は06年に軍の近代化のため約20兆円を投ずる計画を打ち出しているが、その予算も物価高騰などからすぐに底をつく可能性が高い。

一方で、プーチン大統領はメドベージェフ次期大統領に、ロシアは引き続き軍事大国のイメージを維持していかなければならないとして、西側に対して戦闘準備が万全と見せつけるよう陸空海軍幹部らに指示すべきと強調したという。旧式の爆撃機Tu-95を使って領空侵犯まがいの飛行を続けさせるのは、まさにこのためであろう。

   

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月刊誌『FACTA』ロシア軍批判記事について
From: 週刊オブイェクト
Excerpt: 「FACTA(ファクタ)」という予約購読制の月刊経済紙が、ロシア軍について出鱈目な記事を書き散らし、あっさりそれを真に受けた人も居るようなので(この方)、この場に置いて訂正を入れる事にします。 それ...
Tracked: 2008.04.07 23:55

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* 著者プロフィール *

ゴードン・トーマス

ゴードン・トーマス

インテリジェンス・ジャーナリスト

脚本やBBC、米テレビ放送ネットワーク向けテレビ番組も手がける。2005年2月に放送されたフランスのテレビ番組でダイアナ元妃の事故死についてコメント、同番組の視聴者数は900万に上った。対テロ国際会議(2003年10月、コロンビア)で講演したほか、米中央情報局(CIA)、英防諜機関(MI5)、米連邦捜査局(FBI)、英対外諜報機関(MI6)など世界34カ国の諜報機関幹部を対象にした講演では、1時間半のスピーチの後の質疑応答に2時間が費やされた。ワシントンで米国防総省、その他機関の関係者を対象にした講演経験もある。FACTAのほか、英独など欧州やオーストラリアのメディアにも多数寄稿。

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