2008年04月03日

媒体・再会(中)

 22年ぶりに会った長谷山編集長は、あまり変わってなかった。
 名乗りながら近づいていくと、すぐに誰かは判ってくれた様子で、
「どうしたの」と。
 著作をお渡しした。

 その後、顔の広い岩田嬢のことだから、いろんな編集者にお目に掛かった。
 有名出版社の編集者は、ガチガチに律儀な人か奇人、そのどっちかであると思った。

 小学館の雑誌編集部を訪れ、担当編集者とお会いする。
 集英社にせよ小学館にせよ、みんなスマートなエリートである。
 私らのように、地べたを這いずっている感がなく、みな、かっこいい。

 書泉グランデ、三省堂、書泉ブックマートで、それぞれ、自分の著作が並んでいるのを初めて見た。
 厳密に言えば「ディレクター読本」や「高木工務店」以来のことだ。
 が、新刊の文芸書はやはり店先にあるし、東野先生や馳先生の隣に自分の本が並んでいるのは感慨深い。

「お茶でも飲みましょうか。それとも、この時間ならビールね」と岩田嬢が言う。「一度会社に電話させて」

 神保町のビールに関しては、いい思い出がある。
 ヨーロッパビールの専門店に、かつて蛸山に案内してもらったことがある。
 今は、某出版社の営業部長兼取締役なのだが、今回の私の出版が何かシャクに触ったらしく、なんだか難しいメールを寄こしてそれっきりだ。
 そのビールハウスに行きたいのだが……。
 聞けば岩田嬢も、神保町には心当たりのビールハウスがあるらしい。
 細かい食い違いを排除すれば、同じ店のことを言っているのが判った。
 岩田嬢の土地勘のおかげでその店にたどり着くことができた。
 白濁した金色の、フルーティーな生ビールを飲む。
 レバーペーストもピクルスも、鶏のモモ焼きもスパゲッティも美味しい。

 電話が鳴った。
 メールの着信だ。
 見ると、ポン友の長島縦である。
「枳(からたち)が上京することになり、高校時代の仲間が新宿に集まることになった。メンバーは男──俺(長島)、枳(家族旅行)、釜屋(最高裁判事)、貝塚(株屋)、女──山崎薫(売れっ子ライター)、三瓶(わからん)、山の上(絵本作家)だ。お前が来れば7人になる。だから、来いや」

 岩田嬢にわけを話し、神保町を出る。
 新宿までは、すぐだった。
posted by TAKAGISM at 22:30| Comment(0) | 仕事
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。