1日でも育休!?--。育休(育児休業)といえば長期のイメージが強いが、男性の間で1週間や10日程度の「ショート育休」が目立っている。中には1日だけのケースも。「男の育児」が市民権を得つつあるが、一方で、育児の女性依存も相変わらずだ。(13面に連載「未来育て」)
厚生労働省によると、05年度の男性の育休取得率は0・5%。うち3カ月以上は1・5%で、1万人に0・75人。女性の取得率は72・3%で、3カ月以上は86・5%だった。
通信教育大手のベネッセコーポレーション(本社・岡山市)。仕事と育児の両立支援に取り組む「ファミリー・フレンドリー企業」(厚労省認定)の優良賞第1号だが、06年12月まで、男性の育休取得者はゼロだった。
給与ダウン(現在50%)が原因の一つとみた同社は同月、育休期間の2週間を有給化し、初めて取得者が出た。計15人が取得したが、2~3週間がほとんど。最長でも3カ月(1人)だ。
育休取得者数がトップクラスとされる旭化成(本社・東京都)も06年1月に5日間を有給化し、06年度の男性取得者は前年度比3倍の236人に急増した。だが、平均期間は7日程度。最短は1日(約5%)だった。
育児支援に熱心な企業を国が認定する「くるみん制度」でも、壁をうかがわせる。
東京都の中堅建設会社は昨年1月、男性社員1人に2日間の育休を取得させ、くるみんマークの認定を受けたが、その後はゼロ。マークを取るのに日数規定はない。企業側にはイメージアップへの思惑が強く、取得した男性(32)は「自分の代わりはおらず、長期取得は無理」と話す。
育休は92年の育児休業法(現在は育児・介護休業法)で男女とも制度化された。日数の規定はないが、取得は子供1人に1回。代替要員確保などのため申請は開始1カ月前と定められ、長期取得が前提になっている。【中西拓司】
毎日新聞 2008年4月5日 東京朝刊