音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより検索フォームへ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

アーノルド氏のUBS分割提案、投資家が支持

 チューリヒ(ウォール・ストリート・ジャーナル)スイスのUBS(NYSE:UBS)の一部株主グループは4日、同社元社長で英投資会社オリバント・アドバイザーズ(本社ロンドン)会長のルクマン・アーノルド氏が掲げた、UBS分割と新会長の指名を支持する動きをみせた。

 今や「アクティビスト投資家(行動する投資家)」の様相を呈しているアーノルド氏によるUBSへの攻撃で、4日の同社の株価は押し上げられた。UBSが事業を再構築して一部の資産を売却する可能性が高まったと市場が判断したため。スイス市場での同日終値は、前日比1.06スイスフラン(3.27%)高の33.46スイスフランとなった。

 UBSの広報担当者は、「当社はオリバントからの書簡を受け取った。これから適切な方法で返答する」と語った。

 アーノルド氏はUBSに、投資銀行部門などの売却と新たな会長の指名を検討するよう求めている。こうした要求は一部の投資家に歓迎された。これらの投資家はUBSに、特に赤字の投資銀行部門の分離を検討するよう促していた。

 資産運用会社ハリス・アソシエーツ(本社シカゴ)のデビッド・ヘロー最高投資責任者(CIO)は「アーノルド氏の要求は、コーポレートガバナンス(企業統治)に関連する点など多くの重要な問題を提起している。派閥人事や、監督と明確な独立性の欠如が現在の危機を招く一因になった可能性があるといえる」と語った。ハリスはUBS株約0.8%を保有している。現在の株価に基づくと約5億5900万ドル相当。

 UBS株主の代表として議決権を行使するロビーグループのアクタレスは4日、UBS分割案を支持した。「UBSは、リスクの高い投資銀行部門を、より伝統的な運営をしている部門から切り離すべきだ」としている。

 アクタレスの代表者、ロビー・チョップ氏は「株主にとって、伝統的な金融株を買っているのか、それともハイリスク・ハイリターンの株を買っているのかを知ることは有益だとわれわれは考えている」と語った。

 アーノルド氏率いるオリバントのUBS株保有比率は0.7%強で、同氏が書簡を送る前の株価に基づくと約4億7000万ドル相当。オリバント広報担当者によるとアーノルド氏は、同氏の行動への反応についてコメントを避けたという。

 アーノルド氏の書簡のあて名はUBS取締役のセルジオ・マルキオンネ氏。イタリアのフィアット(F.MI)の最高経営責任者(CEO)である同氏は、今月中にUBS副会長に就任する予定で、影響力のある独立取締役とみなされている。

 アナリストや投資家は、1−3月期のスイスのUBS顧客の資金流出に驚き、同社の中核であるプライベートバンキング部門を、投資銀行部門での、サブプライムローン(信用度の低い借り手への住宅融資)関連の大きな損失から守るよう求め始めた。

 独立系証券仲介会社のアナリスト、ピーター・ソーン氏は「UBSでは、これまでの経営陣が投資銀行業務にのめり込んだため、中核であるプライベートバンキング部門の評判が脅威にさらされている」と指摘した。

 ダウ・ジョーンズStoxx600の銀行株指数が年初来13%安なのに対し、UBSは36%安となっている。同社は380億ドル近くの評価損を計上したほか、150億スイスフラン(148億4000万ドル)の資本増強で時価総額は699億4000万ドルとなる見通し。

米DJ記事一覧


Copyright (C) 2008 Dow Jones & Company Inc. All rights reserved.

国際 | 米国 | 欧州 | 中国特集 | アジア・他 | 英FT | 米DJ | 世界街めぐり