2008年4月5日

練習前のトレーナー室は、今日もホットタブの順番待ちで混みあいました。
小さなお風呂のようなもので、筋肉疲労を取るための治療用にも使われますが、
試合前は、半身浴のため。一人ずつしかはいれないので、前の
手が出るまで、
「まだー？」「次俺ね！」と、まわりをうろうろしなが過ごします。
ビジターだからこういう混雑も起きますが、ホームチーム側のトレーナー室には、
ちゃんと大きなタブがあって、複数で入ることができます。

練習というと、すぐさまフィールドに飛び出して体操しそうなイメージですが、
実際は身体の準備をしっかり整えて、筋肉の負担を少なくしてから。
ホットタブに浸かることによって、代謝もよくなるし、怪我の予防にもつながるのです。

ところでホットタブ、入る時は短パンかスライディングパンツ着用です。
日本人にとっては「小さな風呂」ですが、アメリカ人にとってはジャグジー、アメリカ風に言うと
ジャクージなので、丸出しで入るのは反則です。
恋人や夫婦を除いて、たとえ親子でも、素っ裸で同じ湯に浸かる、
という習慣のないアメリカ人にとっては、きっと日本の銭湯は
摩訶不思議な空間。日本の球場では、選手は試合後大きな風呂に入りますが、
これまでそこに入ってきたアメリカ人選手を見たことがありません。

「これが日本流や！」と、ホットタブに一度すっぽんぽんで入ったろか。

オハイオ州シンシナティにて　田口壮　

2008年4月4日

敵地・シンシナティにて、個人的に２００８年のシーズンが開幕いたしました。
しかし「敵地」と呼ぶにはあまりにも慣れた環境です。
カージナルス時代に何度も訪れた、ナショナル・リーグ中地区のシンシナティ。
この球場も、このクラブハウスも、勝手知ったる他人の「球場（いえ）」。
クラブハウスで働くクラビーさんたちも、みーんな知り合いです。
背番号も同じなので、用意されているロッカーの位置までこれまでと同じ。
なんやら落ち着く・・・。

ホームである「シチズンズ・バンク・パーク」のほうが、わからないことが多いという
不思議な感覚。まだ他人様のお宅にお邪魔しているような緊張感があって、
生活動線も妙にぎこちなく、どこに行くにもカクカクしています。
シンシナティだと、無駄なくささっと動き回れるのに。

長年、さまざまなチームを渡り歩いてきた選手はきっと、
全米に家があるような感覚なのでしょう。
今一番楽しみなのは、６月のカージナルス戦。
ビジターのロッカーで過ごす気持ちは、いったいどんなものでしょうね。

オハイオ州シンシナティにて　田口壮　

2008年4月3日

開幕から２連敗。試合が終わるなり、内・外野のスタンドから、フィールドに向けて
ありとあらゆるものが降って来ました。ファンが怒って、手近なものを投げ入れたのです。
あまりの光景に、僕はあ然・呆然。何年かここにいる選手は慣れているのか、
平然とロッカーに引き上げていきました。
フィリーズのファンは、その罵詈雑言で有名ですが、彼らに言わせるとそれは、
「チームへの厳しい愛」なのだとか。しかし、こういう行動に出るとは、聞いていなかった。

今日も負けムードのあと途中で追いつき、最後は延長で押し出しフォアボールのサヨナラ勝ち。
フィラデルフィアは、ファンの怒りが渦巻く中で、やっと「開幕」を迎えたのです。

しかしチームで僕一人が、ここまでたった２打席とはいえヒットなしで、ぜんぜん開幕しません。
本日デーゲーム後にシンシナティに移動してきたので、敵地で開幕予定です。
早く流れに乗らないと、ファンにどつかれるんちゃうか、という不安が日に日に募るわたくし。
愛と憎しみは表裏一体で、それを体現しているファンに囲まれているのを怖いほど感じるここ数日です。

オハイオ州シンシナティにて　田口壮　

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