「平成の大合併」による再編で誕生した567市町村(3月末現在)のうち少なくとも3割に当たる164市町村で、合併前の旧市町村ごとに異なっていた公共料金を一律化できていないことが、読売新聞の調査でわかった。
2008年度中に一律化を予定するのは39市町にとどまっている。合併協議の決裂材料になりかねないとして解決を先延ばしにした結果、大合併が一段落して2年が経過した今も、住民の不公平感を解消できない自治体が目立つ。
1999〜07年度に再編された合併市町村を対象に、本紙が調査した。一律化されていない公共料金のうち、最も多いのは上下水道料で135市町村。ごみ処理費(27市町)、保育料(20市町)が続き、給食費、介護保険料などもあった。
例えば、水戸市の水道基本料は合併前の旧水戸市が820円に対し、旧内原町は1600円と2倍近い。宮城県石巻市では、非課税世帯の4歳児保育料が月額2500〜5400円。和歌山県田辺市の介護保険料基準額は4481〜5599円と開きがある。上水道使用料に20立方メートル当たり1470円の差がある香川県三豊市の担当者は、「合併実現のため、上下水道料金を巡る決裂を避けた」と説明。09年度での一律化を目指すが、細部は未定だ。
一方で、08年度中に一律化を予定する自治体をみると、最も高い水準に合わせて実質的な値上げとなるケースもある。千葉県成田市は、給食費を最高の旧成田市に合わせるため、月最大300円のアップとなる。
新藤宗幸・千葉大教授(行政学)の話「自治体が合併特例債や交付税の優遇など、国が用意したアメに飛びついて合併を急いだ結果、住民生活に直結する課題を先送りしてしまった。自治体の一体性を損ねたという点で問題を残している」