92歳で心臓のバイパス手術を受けた白浜町の梅本ミワエさんが5日、田辺市たきない町の南和歌山医療センターを元気に退院した。90代の心臓手術は同センターでは初、県内でも極めて珍しい。
梅本さんは昨年12月30日、突然、狭心症を発症し、救急車で運ばれた。高齢で重症のため、心筋梗塞(こうそく)に至る恐れがあり、家族の強い希望で即日、緊急手術を受けた。
胸部心臓血管外科の林弘樹医師(40)が執刀し、胸の動脈と足の静脈の一部をバイパスに用いて血流を回復させ、梅本さんは6時間にわたった手術を乗り切った。狭心症手術は通常2週間ほどで退院できるが、梅本さんは脳梗塞の既往症もあるため入念なリハビリを続け、退院の日を迎えた。
同センターでは、年間約20例の心臓手術が行われるが、「超高齢」とされる90代の症例はこれまでなかった。
林医師や看護師に見送られ、玄関で花束を贈られた梅本さんは「お陰で、もうどうもない。ありがたい」とお礼を述べ、「帰ったらし残した縫い物を仕上げたい」と話していた。【吉野茂毅】
毎日新聞 2008年4月6日 地方版