「デスク、来週は何枚ぐらい掲載しましょうか」―。
週末が近づくと、動物病院などの取材を担当する若手記者が犬、猫の写真の束を手に聞いてくる。「他の記事も載せんといかんからなあ。まあ五枚が限界と違うか」と私…。
「くらし面」で連載中の「自慢の“息子・娘”です」(毎週火曜日)は、読者にペットの写真を投稿してもらうコーナー。昨年夏に始まり、今では一週間に約二十通、月間だと百通近くもの封書、メールが届く。本来はすべて掲載したいが、紙面の都合上やむなく数枚を選んで載せている。
“ペットブーム”といわれて久しい昨今。国内の飼い犬、飼い猫は計約二千五百万匹に上るという(ペットフード工業会推計)。岡山県内も「ペット可」のマンション、コーポが多くなり、書店では動物を題材にした書籍、写真集が人気を集めるようになった。
文化家庭部に寄せられる写真は、九割以上が犬か猫。甘えるような表情の子犬、愛嬌(あいきょう)を振りまくかわいらしい子猫、晴れ着やTシャツ姿のものまで多種多彩だ。
私自身も幼いころ、両親にねだって子犬を飼った。成長は早く、あっという間に立派な番犬になった。少年時代は遊び仲間になり、私が思春期のころには老い、やがて死を迎えた。命のはかなさ、短さを痛感したが、楽しかった日々は今もはっきり覚えている。
読者から届く写真の一枚一枚にも、そうした思い出が詰まっているに違いない。動物と人との愛情あふれる風景が目に浮かび、心が温まる。
(文化家庭部・赤井康浩)