イノシシなどいわゆる「有害鳥獣」による農作物の被害が、年々増加しています。
今、みかんなどの収穫時期を迎えている福岡県立花町では、イノシシの被害を防ごうと、多くの農家が協力して取り組みを始めています。
みかんやキウイなど、フルーツの里として知られる八女郡立花町。
みかんの年間出荷量はおよそ1万トンに上り、また、キウイはおよそ4000トンと、町単位では全国一の出荷量を誇ります。
しかし、収穫を前に大きな被害を受け、農家の人は頭を抱えています。
その犯人はイノシシ。
みかん農家の入江義信さん。
去年は総出荷量の2割近くに当たる十数トンものみかんが、イノシシに食い荒らされたといいます。
イノシシは、収穫期を迎えたみかんだけ、それも同じ木でも、糖度の高い甘いみかんだけを選んで食べるそうです。
この3年ほどで急に増えたと言うイノシシ被害。
立花町では、みかんだけで、去年一年間の被害額がおよそ400万円にも上りました。
そんな状況の中、自分たちの農作物は自分たちの手で守ろうと、農家の人たちが立ち上がりました。
山にワナを仕掛けて、イノシシを捕獲・駆除しようというのです。
イノシシを捕獲する、「箱ワナ」と呼ばれるこのワナを仕掛けるには免許が必要ですが、立花町では、これまでに100人が箱ワナ免許の資格を取得しました。
この日も山に、ワナを仕掛けにいきました。
箱ワナによる捕獲・駆除作戦は、成果を挙げつつあります。
一昨年のイノシシの捕獲数は100頭ほどでしたが、農家の人たちが協力してワナを仕掛けるようになった去年は、256頭を捕獲しました。
農家の減少や高齢化で、山林の手入れが行き届かなくなったのが、イノシシの増えている原因とも言われる中、その被害を減らすのは簡単なことではありません。
しかし、今年は200箇所以上に箱ワナを仕掛ける予定で、イノシシの捕獲・駆除に農家は期待をよせています。