報道に対する価値観の違いが浮き彫りに
この議論の中で最も対立したのが、やはり報道に対する価値観の違いだ。
中国側は、究極の報道の目的は「国益のためになる報道をすることだ」と主張している。これに対して、日本側は、「国益と国民の利益は全く違う」という考え方だ。
第2次世界大戦の時、日本政府は「国益のためになる」と言って、満州事変、日中戦争、太平洋戦を行った。それによって国民はものすごく大きな被害を受け、犠牲になった。これを体験しているので、日本人は国益と国家というものに対して非常にナーバスになっている。「報道の目的が国益なんてとんでもない。報道は国益になろうがなるまいが事実を報道するものだ」と、日本側は主張した。
これに対して中国側は、「中国は戦後独立したわけで、中国の人々はみな、国益=国民益だと非常に素直に考えている。日本と違って国益に対する疑惑や疑問、不信感はないのだ」と述べた。そこはある意味そうなのかもしれない。
日本側は「それは違う。あの文化大革命は何だったのか」と返した。
中国政府は国益のためと言って、数多くの中国人が犠牲になった。西側諸国が報じている情報によると、死者の数は3000万とも7000万とも言われている。これは国民益といえるのか。政府は国益だと思ったかもしれないが、国民はひどく迷惑したはずだ。
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