チベット騒乱で行われた映像操作
チベット問題では、まず中国側がインターネットで流されたというEUやアメリカの報道映像を見せた。中国の警官が市民を乱暴に扱っているこの映像は、チベット騒乱として報道されたが、これはチベットではない別の国の映像なのだという。
他に、アメリカのあるテレビ局が流した写真には、中国の警官がチベット市民を威嚇しているものがあった。しかしこの元の写真はもっと大きく、カットされたところにはこん棒を持っている市民がいっぱいいたのだという。トリミングして、いかにも中国の警官が市民に対して悪いことをしているように見せたということだ。
「こういったことをどう思うか」という問いが中国側から出された。
日本側は、私も含めて、「それはあるかもしれない」と言った。ベトナム戦争のときも、米軍がベトコンに対してひどい仕打ちをしている映像(当時はフィルム映像)が日本でも放送された。しかし、これは日本のスタッフが撮ったものではない。そういうものを撮って売りつけるブローカーがいて、彼らから買った映像だった。
日本側は、「こんなことが起きるのも、中国がチベットに外国のジャーナリストを入れないからだ。世界のジャーナリストに開放してチベットに入れるべきだ」と主張した。これに対して中国側は「そんなことをすれば偽造映像がより多くなる」と発言した。
日本側は「そうじゃない。解放すれば多くのジャーナリストは事実を報道する。偽造が起きたとしても、偽造は恥らうことになる。中国は、外国のメディアに自由に取材活動をさせるべきなのだ」と、がんがん要求した。
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