伊藤真＝平気で嘘をつくカリスマ護憲派
護憲のためなら平気で嘘をつく有名人がいます。彼の名は伊藤真。
１９５８年生まれ。８１年東京大学在学中に司法試験合格。９５年「伊藤真の司法試験塾」を開設。現在は塾長として、受験指導を幅広く展開するほか、各地の自治体・企業・市民団体などの研修・講演に奔走。著書に『伊藤真の憲法入門』（日本評論社）、『伊藤塾の「憲法」攻略ゼミ』 （中経出版）、 『憲法』（弘文堂））、『憲法の力』（集英社）『高校生からわかる日本国憲法の論点』（トランスビュー）等々。法学館憲法研究所所長。
伊藤真氏といえば「司法試験界のカリスマ塾長」として有名な方ですが、伊藤真氏の憲法論はハッキリ言って無茶苦茶です。特に『高校生からわかる日本国憲法の論点』などはペテン師のテキストかと思えるような作で、これはどうしても放置できないと考え、憲法改正社で取り上げることとしました。
憲法改正社は、「護憲のためなら」ということで伊藤真氏が平気でついた嘘を徹底的に批判することをここに宣言いたします。
今回はその第一弾です。高校生からわかる日本国憲法の論点
伊藤真氏の『高校生からわかる日本国憲法の論点』が出版されたのは未だ国民投票法が未成立の時点（2005年）です。これを読んだ高校生は国民投票が実施されるときには間違いなく有権者になります。言わば護憲派による青田買いを狙ってのものです。無論高校生に護憲をアピールすること自体に問題があるのではありません。しかしその際は高校生が判断材料とする情報素材に関しては正確なものでなければなりません。しかし『高校生からわかる日本国憲法の論点』で伊藤真氏は恣意的に事実を捻じ曲げ、不適切な例示をし、大嘘を吐く歴史修正主義者です。それでいてしゃあしゃあと次のような台詞を吐くのです。
高校生からわかる日本国憲法の論点＞「はじめに」より引用
改憲・護憲を論じる前に必ず知っていなければならないことだけを述べました。・・・・・・
私の願いは、私の意見を押しつけることではなく、皆さん自身に自分で考えていただくことです。
まったくもって開いた口が塞がりません。実際は至る所で「だから改憲不要」と述べながら、根拠は出鱈目。高校生にならこんな嘘でもばれないだろうという考えが見え見えです。護憲派教師がこんなものをサブテキストに「みんなで考えてみよう」などと言ったら、純真な高校生はあたかも自分の頭で考えた結果「憲法は改正しない」という結論に達してしまうでしょう。そんなことが許されていいのでしょうか。いいえ、憲法改正社は伊藤真氏の、このような卑劣な行為を決して放置しません。
伊藤真のドイツ憲法に関する大嘘
では実際に書かれている文章を引用します。むろん、改憲反対の文脈で述べられています。
『高校生からわかる日本国憲法の論点』本文より引用
改憲を主張する人たちのなかには、アメリカやドイツが何度も憲法を修正してきたことを引き合いに出して、「制定から60年近くも経つのに憲法を改正していないのは日本だけだ」という言い方をする人がいます。・・・・・（中略）
ドイツも過去に50回近く憲法改正を実施していますが、ドイツの憲法には行政手続きに関する細かい条文がたくさんあるので、そのなかの実情に合わなくなった部分を少しずつ手直ししているだけのことです。いわば枝葉を刈り込んでいるようなもので、憲法の「根」や「幹」にあたる部分には、いっさい手をつけていません。アメリカやドイツに限らず、憲法の基本原則を改正しようとした先進諸国はありません。
伊藤真のこの文章のドイツ基本法に関する部分を読解すると、次のようになります。
- １．ドイツ憲法は過去に50回弱改正された。
- ２．ドイツの憲法には行政手続きに関する細かい条文がたくさんあるので、そのなかの実情に合わなくなった部分を少しずつ手直ししているだけ。
- ３．ドイツ憲法は（いわば）枝葉を刈り込んでいるようなもの。
- ４．（ドイツは）憲法の「根」や「幹」にあたる部分には、いっさい手をつけていない。
１．は改正回数に関して。２〜４は同意文で改正内容に関しての記述であり、３と４は２のたとえ話です。
2007年現在、ドイツ基本法の改正は50回を超えました。しかしこの時点では未だ50回を超えていませんし、50回が30回でも10回でも、ここでは大差ありません。ここでの問題はそのような伊藤真の表示回数と現時点の実数との違いではなく、「ドイツの憲法には行政手続きに関する細かい条文がたくさんあるので、そのなかの実情に合わなくなった部分を少しずつ手直ししているだけのことです。いわば枝葉を刈り込んでいるようなもので、憲法の『根』や『幹』にあたる部分には、いっさい手をつけていません」という改正内容の記述部分です。憲法改正社のエントリーをお読みいただいている皆様には改めて解説する必要は無いでしょう。こんなものは大嘘です。ドイツは徹底的に基本法を変えました。
1954年：北大西洋条約機構に加盟するに当たり、18歳以上の男子の兵役義務を加えました。
1956年：国民の徴兵義務を加え、軍隊の設置を明記しました。つまり再軍備を宣言したのです。
1968年：軍隊の設置、出動、任務]に詳細な規定を設け、更に日本の有事法制に該当する条項をドイツの憲法である基本法に加えました。
1990年：東西ドイツ統合に際して東ドイツ憲法を廃し、西ドイツの基本法の適用範囲を根本的に変えました。
1992年；欧州統合に向けたマーストリヒト条約に批准するためにドイツ基本法を改正しました。
その後も現在に至るまで毎年のように基本法は改正されています。
一体全体これらのどこが「ドイツの憲法には行政手続きに関する細かい条文がたくさんあるので、そのなかの実情に合わなくなった部分を少しずつ手直ししているだけのことです。いわば枝葉を刈り込んでいるようなもので、憲法の『根』や『幹』にあたる部分には、いっさい手をつけていません」でしょうか。
私は伊藤真氏が「比較憲法など不要」と主張し、「いくらドイツが根本的な改変を加えようとも日本国憲法は変えたくない」というなら、それはそれでひとつの言い分としては認めます。なぜならそれは自分自身が日本国憲法と他国の憲法とを比較検討し、護憲派として都合が悪いから見て見ぬ振りをしているにすぎないからです。
しかし一旦情報を提供する立場にあるなら、それが前途有望な高校生に対するものなら、ましてや「私の願いは、私の意見を押しつけることではなく、皆さん自身に自分で考えていただくことです」と宣言するなら、嘘はいけません。
ではなぜ伊藤真氏はこのような見え透いた嘘を付いたのでしょうか。それは伊藤真氏自身が「比較憲法の重要性を知っていて「ドイツの憲法は何十回も改正された」と改憲内容まで見せられれば、もはや高校生をオルグすることができないと考えているからです。だから高校生達の中で今後、ドイツ憲法が何度も改正されたことを知る者が出てきても、「中身の条文まで見ても意味はないから見なくてよいのだ」と洗脳するためにあらかじめ嘘をついているのです。
全国の皆様、あなたはこの伊藤真氏の卑劣極まりない手口を許せますか？許せないと思う方は、FC2ブログランキングバナーをクリックしてください。ご協力お願いします。
未読の方は是非
憲法改正社＞ドイツ基本法の推移
をお読みください。
さらに伊藤真のドイツ憲法観は変過ぎもご参照ください。
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「ドイツ憲法」の根幹
なので、『護憲のためなら平気で嘘をつく』とする、静流さんの冒頭の言葉は眼を引いたのですが。
このエントリーで述べられている、
＞憲法の「根」や「幹」にあたる部分には、いっさい手をつけていません。
の箇所ですが。
「憲法の力」内では、
『ドイツでも人間の尊厳や憲法に対する忠誠心などのドイツ憲法の基本原則には一切手をつけていません』としています。
（追記として：もしかしたら静流さんはこの本をご覧になっているかも知れませんが、お読みになっていない方の為に・・・・約３ページにわたる「日本国憲法改正の是非」項目で、他国の例としてフランスにおける1789年の人権宣言・イギリスにおける1215年のマグナカルタ・アメリカの憲法に未だに社会権がないことを挙げていて、ドイツの例は文末に３行。その上で、『戦争も革命もない平時に、憲法の基本原則を変えた国は世界にありません』としめくくっています）
正直、私は「ドイツの国事情」について不勉強なのですが・・・・
１）「憲法の力」内では、ドイツ憲法の基本原則は『人間の尊厳や憲法に対する忠誠心など』とされている。
これは『ウィキペディア（Wikipedia）』見ますと、特徴としてまず「民主的かつ社会的な国家」「憲法忠誠（戦う民主主義） 」が挙げられていまして、そのまま根幹と捉えてもいいと思いました。
静流さんの記事を拝読しますと、文脈的に「軍備について」が根幹とされていますよね。よって、「軍備についても改定はなされている、よって伊藤真さんの主張は「嘘」である」という論旨で。（もし私の勘違いなら、ご指摘くださいませ）
この場合、「根幹」の捉え方の問題なのか、それとも2007年の本とでは違うことを書いているのか、『高校生からわかる日本国憲法の論点』を読んでいない私には判別つきかねるのです。
よろしければ、伊藤真さんの『高校生からわかる日本国憲法の論点』に記載されている「ドイツ憲法の根幹」を教えてください。
２）『戦争も革命もない平時に、憲法の基本原則を変えた国は世界にありません』との、伊藤真さんの主張について。
これを「日本国憲法の改定」というものに置き換えますと、二つの前提（又はそのどちらか）があればこの主張は崩れる、というものですよね。
�＼鐐茲盂很燭發覆な浸�に、憲法の改正を為した国の例がある。（＝伊藤真さんの主張は間違いである、というもの）
�∈�の日本が「平時」ではない。
私は�，皚△皸磴Α△箸い�視点に立つと伊藤真さんの主張は正しいと思いますが・・・・静流さんのお考えはどうでしょうか？
質問ばかりですみません。