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“見えない敵”に対策遅れる/新型インフルエンザで県内自治体
- 社会
- 2008/04/06
二〇〇八年度当初予算に、急務とされる新型インフルエンザ対策を盛り込んだ県内自治体が県と六市町にとどまっていることが、神奈川新聞社の自治体アンケートで分かった。国内で十七~六十四万人、県内で約六千八百人が死亡すると推計される脅威のウイルスだが、いつ流行するか分からず、その感染力や病原性も不明なため、各自治体とも「見えない敵」への対策に頭を悩ましている。
県新型インフルエンザ対策行動計画では、県内では約百十八万人が医療機関を受診し、約二万九千人が入院すると推計される。
〇八年度に新型インフルエンザ対策を実施すると回答したのは、県、横浜市、川崎市、相模原市、藤沢市、秦野市、愛川町。
県は既に七十一万六千人分の抗インフルエンザ薬タミフルを備蓄。〇八年度は医療従事者の感染を防止するためマスクやゴーグルなどを拡充するほか、感染の有無を確かめる試薬を購入する。
相模原市と愛川町は、医療従事者用の感染防護服や感染者に配布するマスクなどの備蓄を開始する。愛川町の担当者は「極論を言えば、新型インフルエンザがあすにも発生するかもしれない。県などの支援をあおぐ前に、町としてできる対策を進めたい」と説明する。
横浜市は新型インフルエンザ対策事業の予算を前年度の五倍強に増額。発熱外来用のテントやワクチン接種のための注射器など備蓄を急ぐ。同市の担当者は「厳しい財政状況の中でいつ発生するか分からないものへの予算を確保するには、庁内などの機運を高めることが必要」と指摘する。
川崎市は市独自でタミフルを三千人分確保。感染した市民を隔離する予定の病院に備品を配備する。
県健康増進課は「見えない敵に対策を立てるのは難しい」としつつ、「感染拡大防止のためのマスクなどの備品を調達したり、市民に情報や予防策などを普及、啓発したりと事前準備を進めてほしい」と呼び掛けている。
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