祝いの言葉に「福・禄・寿」がある。福は一家円満で子孫繁栄、禄は財産に恵まれていることを表す。そして寿は長生きのことである 中国の秦の始皇帝や漢の武帝など権力者が最後に望んだのは不老不死のようだ。莫大な財産があり、上等の食べ物や美しい妃らに囲まれて幸せそうでも死に対する恐れは消えなかったのだろう 長寿が揺れている。今月から始まった後期高齢者医療制度。スタート初日に名称を「長寿医療制度」に変更するというドタバタぶりをみせた。七十五歳以上を後期高齢者と呼ぶのに「差別を感じる」など批判が相次いだためだ。本紙の投稿欄にも反発の声が相次いでいた。お役所言葉には高齢者への尊敬や思いやりはうかがえない 制度のわかりにくさもあるようだが、保険料が年金から天引きされるのに、その年金が宙に浮いているとあっては、弱り目にたたり目である。喜寿や傘寿、米寿など祝う気分ではなかろう。寿の文字が空しい 高齢者が不安なく長寿を喜べる社会でありたい。「若い方もいずれはわれわれと同じ道を歩むのです」と訴えていた読者の声が重く響く。
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