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日立、不振2事業の好転に道筋−古川社長
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日立製作所の古川一夫社長は27日、産経新聞のインタビューに応じ、赤字のハードディスク駆動装置(HDD)事業について、「改善策の成果が現れ、黒字基調が定着した」と述べ、平成21年3月期で黒字化できる見通しを明らかにした。その上で、事業売却や出資受け入れなどの抜本策は不要になったとの考えを示し、単独での生き残りに自信をみせた。
日立は20年3月期に高水準の3000億円の連結営業黒字を予想しているが、HDDと薄型テレビの不振2事業で計1000億円前後の赤字が出る見込みだ。
HDD事業は、拠点統廃合などの効果で昨年10〜12月期から黒字に転じた。古川社長は「市況の変化は激しいが、筋肉質な事業体質になった」と述べ、来期の単年度黒字化を強調した。一時は事業売却も検討したが、「その必要性は薄れた」とみて、投資ファンドなどの資本参加を含めた抜本対策は当面行わず、単独で収益改善を進める。
一方、薄型テレビでは、液晶パネルからの撤退を決めたほか、プラズマパネルはテレビメーカーへの外販を強化し、設備投資負担を軽くする再建策を2月に示した。外販について古川社長は「(メーカーと)深い交渉に入っている」と述べ、中国を中心に数社と近く契約する見通しを明らかにした。ただ、事業の黒字転換は「20年度は難しいかもしれない」と述べた。
日立はHDD事業の“止血”にめどをつけ、好調な情報通信や電力事業の底上げを図る。ただ、薄型テレビは、上位メーカーが巨額投資を行い、下位を引き離す構図だ。古川社長は、自ら掲げた5%の営業利益目標について「やり抜く」と強調するが、そのためには薄型テレビの事業再建が絶対条件となる。