( ^ω^)ブーンVSクリーチャー(ω^^ )
- 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 20:59:59.40 ID:jq1vb82HO
- 前置き
エイリアンシリーズ+αのオマージュとパロディを含んでいます。
エイリアンズVS.プレデター(AVP2)公開記念として投下しようとしましたが、
結局完成せずお蔵入りになってしまいました。
この話は去年の9月頃に書き、途中で放置したものを、加筆修正して完成させたものです。
一部、古くなっているネタもあるかと思います。
ブーンVSとなっていますがブーンは戦ってません。
ちょっとグロいです。
以上、前置き終わり
- 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:00:36.60 ID:dWRFE1rB0
- 完
- 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:01:11.28 ID:yeSrh36IO
- なんぞ
- 4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:01:11.12 ID:jq1vb82HO
- 空は真っ青で、時より雲が流れ……
太陽は熱いくらいに地上を照らしている。
こんな日は、ブーンするのが良い。
( ^ω^)「というわけでブーンするお!」
(;'A`)「おい馬鹿!先に行くなよ!」
ξ゚听)ξ「全く……ブーンときたら」
川 ゚ ー゚)「ふふっ、まぁいいではないか」
(´・ω・`)「余分な体力いつも使ってるよね」
⊂二二二( ^ω^)二⊃ Booooooooooooooon!!
- 5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:02:21.13 ID:iF+6TrZPO
- 乙
- 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:02:25.06 ID:jq1vb82HO
- 地球温暖化は依然として進行しているが、この夏は例年を下回る気温だった。
テレビでは森林浴を特集し、この夏の流行を広めていく。
( ^ω^)「おっおっおっ! この休憩所でお弁当にするお!」
(;'A`)「ゼェゼェ……お前速すぎるぞ」
ξ゚听)ξ「張り合って追いかけたりするからよ。体力もないくせに」
川 ゚ -゚)「私達に格好いいところを見せ付けたりするからだな」
(´・ω・`)「モテもしないくせに」
(;A;)「ウッ……」
この夏休み、弁当を作ってハイキングをしようということになった。
普段家にこもりがちな自分達には良い気分転換になるだろうと、反対する者は出なかった。
実際、ハイキングコースである山を登っていると、どこか健康的になった気がした。
ふざけあってるブーン達の顔は、笑顔で溢れている。
- 7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:04:07.10 ID:jq1vb82HO
- ξ゚听)ξ「ほら、ブーン。あんたこぼすんだから食べなさいよ」
( ^ω^)「子供じゃないんだから一人で食べられるお」
ξ#゚听)ξ「はぁ!? じゃあ勝手に食ってなさいよ!」
川 ゚ -゚)「やれやれ。どっちもどっちだな」
('A`)「ブーンは鈍感で」
(´・ω・`)「ツンは自分の気持ちを表現するのがね」
ツンがブーンのことを好きだというのは、ブーン以外の全員が知っていた。
しかし、ドクオが言う通りブーンは鈍感で、未だにツンの気持ちに気付かない。
( ^,ω^)「もぐもぐもぐもぐ……ツンのお弁当美味しいお」
ξ///)ξ「べ、別にあんたのために作ってきたわけじゃないんだから……」
川 ゚ -゚)「さて、我々もいただくかな」
('A`)「おう」
(´・ω・`)「いただきます」
- 8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:04:46.23 ID:iF+6TrZPO
- 乙
- 9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:05:13.24 ID:jq1vb82HO
- (*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ」
( ><)「山の上から見る景色は最高に綺麗ですね!」
( <●><●>)「建物があんなに小さく見えるのはわかってます」
( ><)「あそこに望遠鏡があります! 見てみたいんです!」
(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽ!」
(#><)「ちんぽっぽちゃん! 先に取らないでください!!」
( <○><○>)「わかってますアイを使って見ますか?」
(;><)「それで何が見えるのかわかんないんです!!」
ブーン達のいる休憩所には他の登山者もおり、賑わいを見せてる。
暑いのだが、この暑さが逆に心地良く、山の緑と相まってか、心が落ち着く。
それが、皆を山に駆り立てる理由なのだろうか。
- 10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:06:22.30 ID:jq1vb82HO
- ξ゚听)ξ「あたしも後で望遠鏡見ようっと」
(´・ω・`)「ちょっと行ったところに小川があるみたいだよ」
( ^ω^)「おっ! 遊ぶお!」
('A`)「ブーンはガキだなぁ」
川 ゚ -゚)「子供心を忘れていないということだろう」
('A`)(´・ω・`)ξ゚听)ξ「そうか?」
川;゚ -゚)「いや、そう言われるとあまり自信はないが……」
(;^ω^)「ちょwwwww四人共ヒドスwwwwwwwwww」
食事を食べ終え、しばしの雑談。
空にはまるでブーンが走っているかのような形の雲が流れていた。
- 11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:06:29.74 ID:azAqX34RO
- 支援
- 12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:08:13.24 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:08:13.85 ID:jq1vb82HO
- ( ^ω^)「ほら、ツン! くらえお!」
バシャバシャ
ξ゚听)ξ「きゃっ! やったわねぇ!」
('A`)「見せつけやがって」
(´・ω・`)「それっ」
バシャ
(#'A`)「うおっ……何しやがる〜!!」
川 ゚ ー゚)「ふふっ。では、私は少し休ませてもらっ……」
バシャ!
(*^ω^)ξ*゚ー゚)ξ(*'∀`)(*´・ω・`)ニヤニヤ
川# - )「……これは、流石の私もキレるというものだ」
(;^ω^)ξ;゚听)ξ(;'A`)(;´・ω・`)「クー、そのバケツは……」
川# ー )「ふふふふ……」
- 14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:08:46.47 ID:azAqX34RO
- 支援
- 15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:09:50.93 ID:jq1vb82HO
- ξ;゚听)ξ「あ〜ぁ、服がびしょ濡れ〜……まだ乾かないわよ」
川#゚ -゚)「当然の報いだ」
ξ゚ー゚)ξ「ごめんごめん。でも楽しかったんじゃないの?」
川 ゚ ー゚)「…………あぁ」
( ^ω^)「今日のこと、VIPにスレ立てるお!」
(;'A`)「いや、やめとけ。確実に伸びない」
(´・ω・`)「ゆとり教育の弊害か……チラシの裏にでも書いてろ」
なんてことを話しながら、山を下りる。
すっかり遊びに夢中になって、空は黄昏色に染まっていた。
( ^ω^)「カラスが鳴くから帰りましょー♪」
(;゙゚'ω゚')「ウッ!?」
- 16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:10:19.36 ID:cGv+/uXK0
- 支援
- 17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:10:20.87 ID:azAqX34RO
- 支援
- 18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:11:36.04 ID:jq1vb82HO
- ブーンが、倒れた。
突然のことに驚きながら、皆が駆け寄ってくる。
(;'A`)「どうした!?」
(;´ω`)「うぅ……うぅ……」
ξ;゚听)ξ「どうせ悪ふざけなんでしょ!? そう言ってよ!!」
(;´ω`)「……くるし……い……お……」
ξ;;)ξ「いやぁ! 告白もしてないのに死なないでぇ!!」
(;'A`)「まだ死ぬと決まったわけじゃないだろ……」
(;´ω`)「ツン、ブーンのこと好きだったのかお……」
ξ///)ξ「べ、別にあんたが死にそうだから言っちゃおうとか思ったわけじゃないんだからね!!」
(;´ω`)「ブーンもツンが好きだお……」
ξ///)ξ「ブーン……」
チュッ
('A`)「ウツダシノウ……」
- 19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:12:18.95 ID:azAqX34RO
- これはないwwwwwww
- 20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:13:05.05 ID:jq1vb82HO
- 川 ゚ -゚)「とにかく救急車を呼ぼうか」
(´・ω・`)「クー、それ携帯じゃなくてバナナだよ」
(;'A`)「クーのやつ、意外とテンパってやがるな」
(´・ω・`)「じゃあ僕が」
('A`)「お前が取り出したのはバイブなんだが、
何故そんな物をハイキングに持ってきた」
ξ;゚听)ξ「あ、あたしがかけるわよ……」
川 ゚ -゚)「いや、私が」
(´・ω・`)「いやいや僕が」
(;'A`)「お、俺がかけるよ!」
ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)(´・ω・`)「どうぞどうぞ」
(ヽ´ω`)(こいつらのせいで悪化してきたかも……)
- 21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:13:27.12 ID:azAqX34RO
- 支援
- 22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:15:13.60 ID:jq1vb82HO
- 誰もが突然の出来事に、まともな対応をとることができない。
慌てふためいているところに、一台の車が通りかかった。
(,,゚Д゚)「おい! どうしたゴルァ!!」
(;'A`)「友達が突然苦しみだして……」
(*゚ー゚)「それは大変……救急車は呼んだ?」
(;'A`)「みんな混乱してて……」
(*゚ー゚)「そう。ギコ君、病院に運んであげましょうよ」
(,,゚Д゚)「そうだな、しぃ。よし、お前等乗れゴルァ!」
こうして、ブーンは病院に向かうこととなった。
乗車した後も、ブーンは苦しみ呻き続ける。
ブーンはどうなってしまうのか。
このまま死んでしまうのか。
いや、このままブーンが終わるはずはない。
立ち上がれ、ブーン!
- 23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:16:25.78 ID:jq1vb82HO
- 最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…!
( ^^ω)「ブーンよ…戦う前に一つ言っておくことがあるホマ
お前は私を倒すのに『聖なる石』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せるホマ」
(;^ω^)「な 何だって!?」
( ^^ω)「そしてお前の友人達はやせてきたので最寄りの町へ解放しておいた
あとは私を倒すだけホマホマホマホマ…」
( ^ω^)「フ…上等だお…ブーンも一つ言っておくことがあるお
この僕が不治の病に冒されているような気がしていたが別にそんなことはなかったお!」
( ^^ω)「そうかホマ」
( ^ω^)「ウオオオいくおオオオ!」
( ^^ω)「さあ来いブーン!」
ブーンの勇気が世界を救うと信じて…!
ご愛読ありがとうございました!
(´・ω・`)「さて、逃亡して某スレで叩かれてくるか」
('A`)「ちょwwwww」
- 24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:16:30.64 ID:azAqX34RO
- 支援
- 25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:17:41.66 ID:jq1vb82HO
- 車が病院に到着する。
病院のスタッフにより担架に移され、運び出されるブーン。
('∀`)「ありがとうございました!」
(,,゚Д゚)「いいってことよ。あのガキが良くなるといいゴルァ!」
(*゚ー゚)「ふふっ。いつもギコ君、逝ってよしとか言ってるのにね」
(,,;゚Д゚)「う、うるせーゴルァ! それじゃあ、あばよ!!」
(*゚ー゚)「バイバイ!」
親切なカップルの乗った車は病院を去っていく。
ドクオは、病院に入った。
('A`)「ブーンは!?」
ξ;゚听)ξ「今手術室に……ねぇ、ブーンどうなっちゃうの?」
川 ゚ -゚)「助かることを祈ろう」
(´・ω・`)「僕、ブーンのお母さんに連絡してくるよ」
('A`)「頼む」
- 26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:18:33.55 ID:azAqX34RO
- 支援
- 27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:18:43.53 ID:0e/RjzrP0
- 手術までイっちゃったか
- 28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:19:21.37 ID:jq1vb82HO
- ショボンの連絡により、程なくしてブーンの母親であるカーチャンが到着した。
その顔はブーンの身を案じ、とても深刻そうである。
J(;'ー`)し「ブーン……」
手術室のランプが消える。
互いの顔を見合わせるドクオ達。
手術室のドアが開いた。
(;'A`)「ブーン!?」
ξ;゚听)ξ「ブーン!」
川;゚ -゚)「ブーン……」
(;´・ω・`)「彼は大丈夫なのか……」
(´<_` )「みなさんお静かに。他の患者さんがいらっしゃいます」
手術室から出てきた看護師らしき人物が皆を注意する。
その後ろには、医師らしき人物も。
J(;'ー`)し「先生、ブーンは……息子は大丈夫なのですか?」
( ´_ゝ`)「詳しくお話致します。弟者、皆さんを部屋に通してくれ」
- 29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:20:36.42 ID:jq1vb82HO
- ( ´_ゝ`)「息子さんは、最近発見された新種のウイルスに冒されています」
('A`)「ウイルス……!?」
ドクオ達にざわめきが起こる。
( ´_ゝ`)「今のところ、他の方に感染する疑いはありません」
J(;'ー`)し「そんなことより、ブーンは助かるのですか!?」
(;´_ゝ`)「息子さん、内藤ホライゾン君は……」
言いづらそうにする医者。
隣に立っている看護師も、顔を伏せる。
(;´_ゝ`)「……治療する方法がまだ見つかっていません」
ξ;゚听)ξ「えっ……!?」
川;゚ -゚)「そんな馬鹿な……」
(;´・ω・`)「ブーン……」
- 30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:21:22.44 ID:azAqX34RO
- 支援
- 31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:21:43.87 ID:cGv+/uXK0
- 支援
- 32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:21:43.96 ID:jq1vb82HO
- (#'A`)「じゃあブーンは助からないのかよ!?」
(´<_`;)「落ち着いてください! あなたが怒ったところで何にもなりませんよ!!」
('A`)「くそっ……」
(;´_ゝ`)「現在の医療技術では難しいです」
ξ;゚听)ξ「じゃあブーンは死ぬの? そんなの嫌よ!!」
( ´_ゝ`)「ですが、未来の医療に託す手もあります」
川;゚ -゚)「未来の医療……?」
( ´_ゝ`)「弟者、例の書類を」
(´<_` )「了解した、兄者」
医者の指示を受けると、看護師は棚からあるファイルを取り出した。
( ´_ゝ`)「ご存知かもしれませんが、ご覧ください」
- 33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:22:04.49 ID:0e/RjzrP0
- BOON CHANGE THE WORLD
- 34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:22:11.34 ID:azAqX34RO
- 支援
- 35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:23:01.35 ID:jq1vb82HO
- ('A`)「未来医療委託プロジェクト……」
(´・ω・`)「肉体を病原体ごと仮死状態にして、未来の医療で治してもらう……か」
未来の医療に託すということは、患者本人だけが年をとらずに、
周りだけが年をとっていくことになる。
治療方法が確立されなければ、永遠に目覚められないということになりかねない。
それは、知り合いが誰一人、いなくなるということだ。
友人であるドクオ達も、母親であるカーチャンも、何も言えなかった。
(ヽ´ω`)「……なお……し……たいお……」
J( 'ー`)し「ブーン……?」
( ´_ゝ`)「目を覚ましたのか」
(ヽ´ω`)「治したいお……」
締め切ったカーテンの向こうのベッドで眠っていたブーンが、言った。
- 36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:23:44.16 ID:sGVVF3tH0
- 支援
- 37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:24:13.75 ID:jq1vb82HO
- (ヽ;ω;)「このまま死んじゃうなんて嫌だお……
もう一回、もう一回だけでいいお……ブーンがしたいお……」
溢れ出した涙が、止まらない。
(ヽ;ω;)「そこには元気に走り回るブーンの姿がって、
世界まる見えのナレーションで言われたいお……」
('A`)「ブーン……」
ξ゚听)ξ「ブーン……」
川 ゚ -゚)「ブーン……」
(´・ω・`)「ブーン……」
J( 'ー`)し「先生、お願いします。ブーンも、みんなも、いいわね?」
「はい」
- 38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:25:11.11 ID:jq1vb82HO
-
ブーンは、国際人工冬眠センターへと移送された。
何年後、何十年後、いつブーンが目覚めるのか、それは定かではない。
生命を維持する費用も、人工冬眠せずに生きている者達の生命も、無限ではない。
目を覚ましたそこに、まだ親しき者達が、存在しているのだろうか。
- 39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:25:19.99 ID:azAqX34RO
- ナレーションwwwwwww
- 40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:25:42.16 ID:cGv+/uXK0
- 支援
- 41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:26:52.10 ID:jq1vb82HO
- ……………
………
…
静寂。不気味な静かさが辺りを支配している。
薄暗い室内に、カプセルのような装置。
その装置のハッチと思われる部分が、ゆっくりと開き始めた。
徐々に、内部の全貌が明らかになっていく。
( −ω−)「………………」
死んでいるかのように、彼は眠っていた。
しかし、カプセルが開いたことが原因か、彼はゆっくりと覚醒していく。
( ^ω^)「うぅむ……もう朝かお」
どれだけ眠っていたのだろう。
ハイキングに行ったのが、つい最近のように感じる。
いや、彼にとっては、つい最近の出来事に変わりない。
(^ω^ ≡ ^ω^)きょろきょろ
周りを見回してみても、誰もいない。
この部屋には、見たこともない機械が並んでいる。
(;^ω^)「未来? mjd?」
- 42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:27:34.14 ID:azAqX34RO
- 支援
- 43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:27:34.31 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:28:44.06 ID:jq1vb82HO
- じっとしていても仕方がないので、カプセルから出てみる。
自分の姿をよく見てみると、服が変わっていた。
服というよりは、ライダースーツのようなぴったりと素肌にあうものを着ている。
靴も、どんな素材を使っているのかわからない。
( ^ω^)「というか服違うってことは脱がされたのかお?」
(*^ω^)「いやーんエッチw」
「It seems to have awoken.」
訳:目が覚めたようね。
(;^ω^)「ぬぅえっ!?」
おかしなポーズをとっているところに、女の声がした。
- 45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:30:17.44 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「Is the pose a vogue in your age?」
訳:そのポーズはあなたの時代の流行りなの?
振り向くと、そこには眼鏡をかけた女がいた。
英語のようだが、ネイティブな発音という感じではなかった。
(;^ω^)(どんな聞こえ方とか以前に英語わかんね)
目の前の女に何を言われても、ブーンは複雑な表情をして黙っているだけ。
しばらく話していた女は、ブーンの様子に何かを察する。
ハハ ロ -ロ)ハ「Your basic language used was Japanese.」
訳:あなたの基本使用言語は確か日本語だったわね。
そう言うと、女は小箱を取り出し、中に入っていた小さな機械をブーンに見せた。
そして耳に付けろというジェスチャーを加えると、ブーンに手渡した。
( ^ω^)(これを耳に入れろってことかお?)
言われるがまま、恐る恐るブーンは耳の中に機械をはめ込んだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「これで、私の声があなたの基本使用言語で聞こえるはずよ」
( ^ω^)「こりゃすげぇおwwwテラハイテクwwwww」
ハハ;ロ -ロ)ハ「あら? 私の翻訳機に言語変換の遅れが出る。新品なのに、故障かしら……」
- 46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:30:31.03 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:31:29.43 ID:azAqX34RO
- 支援
- 48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:32:15.04 ID:jq1vb82HO
- 不思議そうに呟くと、女はブーンと向き合った。
ハハ ロ -ロ)ハ「一応、私も他の人も翻訳機をつけているけど、
翻訳できないような変な言葉をあまり使わないようにね」
( ^ω^)「変な言葉kwsk」
ハハ;ロ -ロ)ハ「まただわ。方言や訛りでも正確に変換できるのに……」
原因不明の出来事に、首を傾げて顔をしかめた。
さすがにインターネットスラングまでは翻訳機能にないらしい。
この女の服装は、自分が暮らしていた頃と微かに違う。
だがその仕草は、ツンやクーとなんら変わらないとブーンは思った。
ハハ ロ -ロ)ハ「まぁいいわ。できるだけ翻訳機のついてる方の耳を意識して聞くようにして」
( ^ω^)「おk、把握したお」
ハハ ロ -ロ)ハ「はぁ……まただわ」
( ^ω^)「それはそうとお姉さん」
ハハ ロ -ロ)ハ「ハロー・エキサイトよ。ハローで構わないわ」
( ^ω^)「ハローさん、ブーンはどうなったんですかお?
病気は? ここはどこ? 今は西暦何年? なんでこんなに静かなの?」
- 49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:34:22.57 ID:jq1vb82HO
- ブーンの質問責めに、ハローさんはまるで耳障りであるかのように顔を歪ませる。
しかし、それは質問内容を整理するための一瞬の表情の変化に過ぎない。
ハローさんは、人差し指を立てた。
ハハ ロ -ロ)ハ「まず一つ目。あなたの治療は先日終了している。あのカプセルは環境適応装置よ」
続いて中指も。
ハハ ロ -ロ)ハ「次に二つ目。あなたは5度、人工冬眠を目的とした施設を移されている。
国際人工冬眠センター、軌道エレベータ、輸送船、月面都市の人工冬眠施設。
そして、ここは月の軌道上にある宇宙ステーション。名前は『マルタスニム』」
更に薬指も立てる。
ハハ ロ -ロ)ハ「続いて三つ目。西暦は廃止されて、今は統合暦072年よ」
そして小指も立った。
ハハ ロ -ロ)ハ「最後に四つ目。何故静かなのかというと、
ステーション内でバイオハザードが起こったから緊急避難命令が出たの」
(;^ω^)(日本語でおkとか産業でまとめろとか説明乙とか……言ってる場合じゃないNE)
- 50 :(;´Д`)ノθ゙゙ ◆6BKAMI/GH. :2008/04/05(土) 21:35:41.90 ID:v21st4r60
- これは支援せざるをえない
- 51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:35:50.54 ID:jq1vb82HO
- 説明の半分も理解できなかったが、ブーンにも伝わるステーション全体の緊張感。
わからないながらも、ハローさんの話も嘘とは思えない。
ハハ ロ -ロ)ハ「まだ知りたいことはあるでしょうけど、今は逃げることだけを考えて」
(;^ω^)「把握したお」
ハハ ロ -ロ)ハ「平和な時代から、いきなりこんな時代に起こしてしまって申し訳ないわね」
( ^ω^)「ハローさんが謝ることないですお。大丈夫! ゾンビの一体や二体!!」
ハハ ロ -ロ)ハ「……ゾンビ?」
( ^ω^)「だってバイオハザードって。違うんですかお?」
バイオハザードは、有害な生物(とくに微生物、細菌、ウイルス)が
環境中に漏れることによって発生する災害のこと。
人間と自然環境に重大な危険をもたらすような生態異変をおこしうる。
別名『生物災害』を指す新語。
―――ウィキペディアより
( ^ω^) ……
(⊃⊂)
(^ω^;)⊃ ブーンの頭アウアウ!!
⊂ミ⊃ )
/ ヽ
- 52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:37:02.76 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「ゾンビはいないわ」
(;^ω^)「早とちりしてますた……」
ハハ ロ -ロ)ハ「とにかく、ここを出まっ……」
喋っている途中、床が揺れた。
床だけではない。室内全体が何かの衝撃で揺さぶられたような感じだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「奴め……まだ生きているのか」
( ^ω^)「奴?」
ハハ ロ -ロ)ハ「なんでもないわ。気にしないで」
そう言って、ブーンを先導するように歩き出す。
眼鏡越しに見えたハローさんの瞳は、どこか冷たかった。
( ^ω^)(せっかく病気も治ったってのに、なんか死亡フラグ立ってね?)
そんな不安を感じずにはいられない。
ゾンビはいなくとも、別の何かが待ち受けているような気がした。
- 53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:38:16.59 ID:jq1vb82HO
- ブーンがいた部屋、メディカルルームを出て、二人は通路を進み始めた。
人の気配が全くしない。
不気味な静けさがまた蘇ろうとしている。
ハハ ロ -ロ)ハ「……」
( ^ω^)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「……」
(;^ω^)「……」
会話もなく無言のまま。
ただ長い通路を進んでいくだけ。
緊迫した空気が辺りを包んでいる。
何かが現れる。いや、襲われるのではなかろうか。
怖さを紛らわすために声でもかけようと、ブーンは口を開いた。
( ^ω^)「ハローさ……」
ガタッ
(;^ω^)「!!」
沈黙を打ち破る、天井から物音。
冷汗をかきながら、二人は息を飲んだ。
- 54 : ◆hiyo/orbVg :2008/04/05(土) 21:39:27.73 ID:l6Cj1nW90
- 私怨
- 55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:40:19.96 ID:azAqX34RO
- 支援
- 56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:40:40.92 ID:jq1vb82HO
- ハローさんは天井を睨みながら、懐に手を忍ばせている。
ブーンは、びくびくしながら天井を見ている。
その天井の通気口のふたが、内部から蹴り破られた。
蹴り破られるということは、足も通気口の中から出てきたということで。
ミセ;゚ー゚)リ「主任!!」
通気口の中から、白衣の女が降りてきた。
ミセ;゚ー゚)リ「主任! 無事だったんですね!!」
ハハ ロ -ロ)ハ「ミセリ、あなたも無事のようね」
ミセリと呼ばれた女は軽々と床に降り立つと、軽くほこりを払う。
そして、疲れているのか眉をへの字にさせてハローを見た。
ミセ;゚ー゚)リ「無事じゃないですよぉ。アレから逃げるのに必死で汚れまくりですぅ……」
( ^ω^)「アレから? さっきから奴とかアレって、なんなんだお?」
ミセ ゚ー゚)リ「……誰?」
ハハ ロ -ロ)ハ「彼が、例の過去からの贈り物よ」
- 57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:40:49.52 ID:iF+6TrZPO
- 乙
- 58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:41:17.78 ID:azAqX34RO
- 支援
- 59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:42:33.72 ID:dfBm3L2u0
- 支援
- 60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:42:47.00 ID:jq1vb82HO
- ミセ ゚ー゚)リ「えぇ〜!? あり得な〜い!! もっとカッコイイ人かと思ったぁ!!」
(#^ω^)「なんかムカツクお」
ミセ ゚ー゚)リ「まぁ、アレのオリジナルだと思うと、納得できなくもないけど」
じろじろとブーンを見て、ミセリは馬鹿にしたように笑った。
(#^ω^)「このムカツク女は置いといて、奴とかアレってなんなんだお!」
ハハ ロ -ロ)ハ「ミセリ、あの人は無事なの?」
( ゜ω゜)(スルー!?)
ミセ ゚ー゚)リ「我輩が奴を食い止めるとか言って、まだ実験室辺りのブロックに」
ミセリの言葉に、ハローさんはすぐさま歩きだす。
ミセ;゚ー゚)リ「ちょっと主任!? まさか助けに行くんじゃ!」
ハハ ロ -ロ)ハ「あのスーツは常人じゃ扱いきれない。死ぬ前に連れ出さないと」
ミセ#゚ー゚)リ「……ったく、死ぬのはこっちだっつーのヴォケ」ボソッ
小声で口悪く言うと、ミセリはハローさんの後に続いた。
(;^ω^)(ブーンの発言、NG登録でもされてるのかお……)
- 61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:43:36.43 ID:azAqX34RO
- 支援
- 62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:44:10.70 ID:cGv+/uXK0
- 支援
- 63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:45:22.39 ID:jq1vb82HO
- ブーン、ハローさん、そしてミセリ。
ミセリの言動はともかく、人が増えたことでブーンの中に安堵が生まれる。
しかし、相変わらず人がいそうな気配はない。
( ^ω^)(他の人はもう避難が終わった後なのかお?)
疑問は大量にある。
奴やあいつやアレといわれている存在。
何故自分はこの宇宙ステーションに運ばれたのだろう。
月にもいたというが、月や地球では治療できなかったのだろうか。
ハハ ロ -ロ)ハ「ホライゾン・ナイトウ君」
(;^ω^)「なんだその呼び方……ブーンでいいお。ずっとそう呼ばれてきたお」
ハハ ロ -ロ)ハ「ではブーン。あなたの知りたかったことをこれからお話するわ」
(;^ω^)「さっきは、話そうとしなかったくせにかお?」
ハハ ロ -ロ)ハ「状況が変わった。予定ならあなたと一緒にここを脱出して終了。
でも、厄介なことに私達の出資者が中に残っている。彼は死なせられない」
(;^ω^)「死なせられないって……バイオハザードでとっくに死んでるんじゃ」
ハハ ロ -ロ)ハ「バイオハザードというのは嘘よ。
それは、西暦末期のことだった……
( ^ω^)(この女、勝手にナレーション始めやがったお……)
- 64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:46:27.79 ID:azAqX34RO
- 支援
- 65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:47:19.37 ID:jq1vb82HO
- 資源の枯渇や自然環境の悪化によって、
地球は人が生きていくには過酷な状態になりつつあった。
多くの国は飢餓や貧困で崩壊寸前に追い込まれ、早急な解決が望まれた。
各国の連日に渡る協議の結果、ある一つの解決策が発表された。
それは、数年前より各国が共同で作業を進めていた月面都市開発計画だった。
軌道エレベータの建造により宇宙に出ることは難しいことではなくなっていたが、
資材不足もあり月面都市も完成していない時点での決定に、民衆の混乱は必至だった。
地球脱出の権利の募集に応募が殺到。暴動も多数発生。
この結果、月に移住できる者は一部の裕福層のみになってしまう。
そのせいで反発が起こるも、それに取り合うこともせず。
月面都市の完成。
月への第一次移民船が向かったその年、各国統一の年号を『統合暦』に改正した。
(;^ω^)(なんだこれ地球ヤバスwwwww)
(#^ω^)(というかブーンが暮らしてた頃あんな問題になってたのに……
まったくあの時代の人間達は何をやっていたんだお! プンスカプンプン!!)
- 66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:47:30.11 ID:dfBm3L2u0
- 上へ参りま〜す
- 67 :んん… ◆Miwikigs4M :2008/04/05(土) 21:48:23.38 ID:iH/b2ebFO
- 誰かこれでスレ立てて
スレタイ
みさお「は、早く…そのクスリを売ってくれってヴぁ!」
本文
みさお「お、お金なら後で必ず持ってくるから…!」
みさお(最初は部活でいい記録を出したいっていう軽い気持ちだった…)
- 68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:48:41.96 ID:jq1vb82HO
- 月面都市で本格的に移民者達の生活が始まった。
しかし、その月面都市でも、ある事態が懸念されていた。
それは、月で産まれた世代の寿命の低減である。
月面都市の研究者達もこぞってその研究に努めたが、
効果的な改善策の発見には至らなかった。
そして、遂に月で生まれ育った第一世代の死亡が報告されたのである。
その寿命、地球の環境悪化がピークに達する前に生きていた者達の平均寿命の三分の一。
短命なのは、火を見るより明らかだった。
この問題にある企業が立ち上がる。
その企業は、自社が保管しているある対象がこの事態を解決すると考えた。
内藤ホライゾンだ。
(*^ω^)(自分の名前が出てきてwktrしてきたお)
- 69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:49:23.84 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:49:56.58 ID:jq1vb82HO
- 西暦2000年代末に多数の死者を出した感染症は、
予防策が功を奏し被害は徐々に減少していった。
しかし、この感染症の治療方法は、統合暦072年現在に至るまで未だに見つかってはいない。
ただ、この感染症から奇跡的に完治した者も存在している。
その者達は完治した後、常人離れした身体能力を身につけ、そして皆長寿であった。
このことに目をつけたある企業は、内藤ホライゾンの人工冬眠を請け負い、月に移送にする。
月軌道上で宇宙ステーションの建設が始まった。
建設完了後、宇宙ステーション『マルタスニム』に内藤ホライゾンを移送。
内藤ホライゾンからウイルスを抽出し、
月面都市出身者の延命に主眼をおいた研究が本格的に開始される。
(;^ω^)(あれ? これってブーンはモルモットじゃね?)
- 71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:52:33.89 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「ふぅ……。何この設定ふざけてるの?」
( ^ω^)「賢者かおwww急にナレーションから元に戻んなお」
ハハ ロ -ロ)ハ「そして、感染し完治できない可能性のあるあなたは破棄される予定だった」
(;^ω^)「いきなり何言ってんだお前wwwww」
ハハ ロ -ロ)ハ「でもあなたは死ななかった。あなたはウイルスを取り込んで自力で完治した。
私達がしたあなたへの治療は、自己治癒力を高めただけに過ぎなかったの」
( ^ω^)「ということは、ブーンもその人達みたいになってるってことかお?」
ハハ ロ -ロ)ハ「その可能性は高いわ。ウイルスの一部を抽出したから、なんとも言えないけど。
そのスーツは肉体を活性化させて、超人的な力を持続して出せる特殊なスーツなの。
でもウィルスを克服したあなただからこそ扱えるスーツなのよ。一般人には使えないわ」
(*^ω^)「フヒヒヒwwwこれでまたブーンし放題だおゲヘヘヘヘwwwww」
ミセ;゚ー゚)リ(なんだこいつ……)
ハハ ロ -ロ)ハ「すぅー……
でも、研究の最中、私達はとんでもないものを産み出してしまった……
- 72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:52:54.68 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:54:56.20 ID:jq1vb82HO
- (=゚ω゚)ノ「ぃちょーぅ、にぃょーぅ、さんぃょーぅ、ぃょーん、ごぃょーぅ」
( ゚∀゚)o彡゜「おいおい。なんでここにガキがいんだよ」
<ヽ`∀´>「イヨー女史の息子さんニダ。確かマト博士の息子さんもいたニダ」
( ゚∀゚)o彡゜「へぇ。ここは託児所じゃねぇっつーのになぁ」
<ヽ;`∀´>「で、お前はさっきから何腕振ってるニダ?」
( ゚∀゚)o彡゜「いやなぁ、昨日女の子のおっぱい揉みまくってたら凝っちまって」
<ヽ#`∀´>「うらやま……なんて破廉恥な男ニダ」
宇宙ステーション『マルタスニム』。
その最下層は全ブロック、ある企業の研究施設になっている。
その企業の研究員である二人の男は、ある部屋に入った。
( ゚∀゚)「お疲れー。交代の時間だぞ」
<ヽ`∀´>「モナーとモララーはどこニダ?」
从'ー'从「奥の培養漕のところでレポートとってるよ〜」
(*゚∀゚)「ヒートは? 一緒じゃねーの?」
( ゚∀゚)「ん?そういやそうだな?」
- 74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:55:15.04 ID:cGv+/uXK0
- 支援
- 75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:56:11.80 ID:azAqX34RO
- 支援
- 76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:57:12.75 ID:dfBm3L2u0
- あげあげ
- 77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:57:19.44 ID:jq1vb82HO
- 室内には二人の女の研究員。
そして奥には別の研究員がいるという。
ノハ;゚听)「うおおおぉぉぉぉ!! 遅刻したぁ!! すまなぁぁぁい!!」
(*゚∀゚)「おせーよ。よし、これで俺もうオフだぁ!」
从'ー'从「じゃあわたし、モナー君とモララー君呼んでこようか〜?」
( ゚∀゚)「おう。男より女に呼ばれた方が嬉しいだろ。助かるぜ」
<ヽ;`∀´>「ウリはあの気色悪い化け物が苦手ニダ。よくあいつら中に入れるニダ」
(*゚∀゚)「だっせ」
<ヽ#`∀´>「ウリを馬鹿にしたニダ!? 謝罪と賠償を……」
(*゚∀゚)「はいはい。リンゴ剥いてやったから食えよ」
ノパ听)「うおぉぉぉ! リンゴうーまーいーぞー!!」
(#*゚∀゚)つ=lニニフ「お前が食うな!! 死ねぇ!!」
- 78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:58:08.59 ID:azAqX34RO
- 支援
- 79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 21:59:01.92 ID:jq1vb82HO
- 奥の部屋の中心には、ガラス張りの培養漕が設置されている。
その周りでは、二人の男性研究員が研究資料を作成していた。
( ´∀`)「誕生から5日、未だに変化は無しモナー」
( ・∀・)「でも生命活動は活発になってきていますね、モナーさん」
( ´∀`)「やはりこれは、我々人類に希望をもたらしてくれるのかモナー」
( ・∀・)「そうであってくれないと困ります。早死にはしたくない」
そんな雑談をしながら、作業をする二人。
培養漕の中の『それ』には、目を向けない。
人の顔のような胴体をしているが、人の皮膚のそれとは違う。
そしてそこから生える、甲殻類のような鋭く硬い触手。
部屋にやってきた研究員の一人が化け物と形容した存在。
( ´∀`)「ん? 今こいつ動かなかったモナ?」
( ・∀・)「気のせいでしょう。こいつは生物だが、動物的反応はしない」
だが、それは気のせいなどではなかった。
触手は、微かに動いていた。
- 80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:00:34.67 ID:jq1vb82HO
- 女性研究員の一人が、二人を呼ぶために奥の部屋へと向かっていた。
ドアノブを握り、そのまま開く。
从'ー'从「二人共〜、交代のじか……」
直後、ガラスが割れて飛び散る音が、開いたドアのその先から響いた。
从;'ー'从「あれれ〜? 私の頭に何か刺さっちゃったよ〜」
振り返り、あっけらかんとして言う。
しかし、頭部には奥深くガラスの破片が突き刺さっていた。
女はそのまま棒のように倒れ、絶命した。
(;*゚∀゚)「ワタナベ!!」
(;゚∀゚)「な、なんだ……?」
奥の部屋から、血だらけの手が伸びる。
(;´∀`)「に……げろモナ……」
虫の息で、なんとか絞り出せたその言葉。
言い終わると、彼はもう動くことはなかった。
<ヽ;`∀´>「ななななな何が起こってるニダ……」
ノハ;゚听)「げほっ! ぐぇっほっ!!」
腰を抜かして座りこんでしまった男性研究員。
そして、リンゴを喉に詰まらせている女性研究員。
- 81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:00:55.25 ID:azAqX34RO
- 触手
- 82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:01:31.12 ID:jSOa1loo0
- きんもー
- 83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:02:02.16 ID:jq1vb82HO
-
カサカサ……
カサカサ……
カサカサ……
- 84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:03:26.65 ID:jq1vb82HO
- 部屋の奥から響く、異様な音。
そこにいる皆が息を飲む。
奥の部屋から、ゆっくりと何かが姿を現していく。
( ^^ω)「ホマ」
一見、呆気にとられそうになる珍妙な鳴き声。
だが、その物体は、奥の部屋にいたもう一人の研究員の肉体を貪り喰っていた。
(;゚∀゚)「ニダー! 非常警報ボタンを押せ!!」
<ヽ;`∀´>「わ、わかったニダ!!」
ニダーが走りだす。
しかし、怪物はそれを敏感に察知する。
<ヽ;`∀´>「ヒィ!!」
触手がニダーの足を巻き取る。
態勢を崩して、ニダーは勢いよく倒れ込んだ。
そしてそのまま引きずられていく。
<ヽ;`∀´>「アイゴォォォォォ!!」
- 85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:05:09.97 ID:jq1vb82HO
- (#*゚∀゚)つ=lニニフ「ニダーから離れやがれ!!」
果物ナイフを握り、女の研究員が怪物に襲いかかる。
ナイフを振り上げ、突き立てようとした。
(;*゚∀゚)「グ、ガァ……!?」
ナイフが手から落ちた。
ナイフより先に、自身の腹部に触手が突き刺さっている。
触手が引き抜かれると、女性研究員は力無く床に倒れた。
ノパ听)「ツゥゥゥゥゥ! くっそぉぉぉ!!」
(;゚∀゚)「ニダー! 俺に掴まれ!」
男の研究員が手を伸ばす。
それに掴まろうとする研究員。
(;゚∀゚)「ヒート! お前も手伝え!!」
ノパ听)「わかったぁぁぁ!!」
- 86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:07:10.65 ID:jq1vb82HO
- 二人の研究員の手か、触手に巻かれた研究員の腕を掴む。
<ヽ;`∀´>「死にたくない! 死にたくないニダぁぁ!!」
(;゚∀゚)「くぅっ! なんて力だよ!!」
ノハ;゚听)「ぐぅぅおおぉぉ!!」
二人が引っ張るが、その甲斐むなしくますます引き擦られていく。
だが怪物も引っ張る二人を鬱陶しく思ったのか、
触手を巻き付けている研究員を使って振り払い始めた。
必死に研究員の体にしがみつく二人。
激しさを増しながら宙を舞う体。
ノハ;゚听)「うわぁぁぁ!!」
かなりの遠心力がかかり、女の研究員の手が離れてしまう。
ドアごと通路に吹き飛ばされた。
(;゚∀゚)「ヒートッ……ぐあぁっ!!」
しがみつく研究員が天井に叩きつけられる。
何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も。
- 87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:09:10.22 ID:lpuKUUvLO
- 支援
- 88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:09:28.60 ID:jq1vb82HO
- ( ∀ )「…………」
ぐったりして、研究員はずるりと床に落ちた。
その研究員を呆然と眺めながら、捕まっている研究員は未だ浮いていた。
叩きつけられた衝撃を受けながらも、なんとか意識を保っている。
<ヽ;`∀´>「!?」
体が揺れた。
一気に怪物に近付いていく。
近付いていくのではない。引き寄せられたのだ。
<ヽ;`∀´>「あがぐぇごが……」
筋ごと肉を引きちぎられる。
骨が砕け、そのまま飲み込まれいく……。
ノハ;゚听)「う……うぅ……」
通路まで吹き飛ばされ、気絶していた研究員が目を覚ました。
その研究員にも、触手が伸びる。
ノハ;゚听)「!? 嫌だぁぁぁぁぁぁ!!」
とっさにドアを掴む。
しかし、向こう側の圧倒的な力に、手はすぐに離れた。
それでもなんとか助かりたいと、床にしがみつこうとする。
爪がギギギと床を削り、剥がれ飛んだ。
そしてそのまま部屋の中に、研究員は消えていった……
- 89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:10:41.63 ID:jq1vb82HO
- (=゚ω゚)ノ「……ぃょぅ?」
騒々しい音に、少年が顔を出した。
別の少年とかくれんぼをしていた。この少年が鬼だ。
まだ探している相手は見つかっていない。
通路には、吹き飛んだドアと瓦礫。
そして、剥がれた生爪。
(=゚ω゚)ノ「なんだぃょぅ?」
不思議そうに、それらを眺めている。
ゆっくりと触手が、迫っているとも知らずに。
- 90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:12:44.71 ID:jq1vb82HO
- (;^ω^)「そんな怪物がこの先にいるのかお!?」
ハハ ロ -ロ)ハ「そうよ。でも知能は低い。食欲を満たすために人を襲い、
危害が加えられそうになったら反射的に自分を守ろうとしているだけ」
ミセ;゚ー゚)リ「それだけでも充分厄介なんですけどね……」
そんな会話をしている三人の目の前に隔壁が立ち塞がる。
ハハ ロ -ロ)ハ「この奥よ。ロックを解除するから待ってて」
そう言うと、ハローさんは脇のパネルを操作し始めた。
ミセ ゚ー゚)リ「はあ……またあの惨状の中を行くのかぁ」
せっかく逃げてきたのにと、深い溜息をつくミセリ。
隔壁が重く音を立てながら開いていく。
(;^ω^)「うっ……」
思わず鼻を覆ってしまった。
開き始めたそこから漂う血の臭い。死臭。
完全に隔壁が開ききると、ブーンは吐き気を催しそうになった。
- 91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:15:07.29 ID:jq1vb82HO
- 無残に散らばる死体。
誰かも判別できない肉塊、肉片。
血溜まり。
(;^ω^)「グロ耐性ないからゲロ出そうだお……」
ハハ ロ -ロ)ハ「二人共、気を抜かないで。どこから出てくるかわからないわよ」
ミセ ゚ー゚)リ「了解でーす」
懐から銃を取り出すハローさん。
(;^ω^)「そんなので倒せるのかお?」
ハハ ロ -ロ)ハ「無理でしょうね」
(;^ω^)「み、未来なんだし、もっと良い武器ないのかお? レーザーガンとか……」
ハハ ロ -ロ)ハ「武器というものは、戦うからこそ進化する。
この数十年、どの国も戦争する気力も資金もなかった。
しかも携帯できるレーザー兵器なんて……ないわよ」
ミセ ゚ー゚)リ「過去の時代の人間て、発想が貧困なのね」
(;^ω^)「うぅっ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「それでも、この銃はスギウラ社の最新モデルなんだけど」
- 92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:16:11.98 ID:lpuKUUvLO
- ペロッ……これは…支援!
- 93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:17:29.09 ID:jq1vb82HO
- 話を終わらせ、もう動かない物体と化したそれらを踏み越えながら、三人は歩き始めた。
破壊された扉。切り裂かれた壁。
(;^ω^)「相手はセガール並に強敵だお……」
ブーンにはもう恐怖しかない。
病気を克服し、生き延びたといえど、そんな怪物相手では命がいくつあっても足りない。
ガタンッ
(;^ω^)ビクゥッ!!
物音がしただけで思わず飛び上がってしまった。
ハハ;ロ -ロ)ハ「下がって!」
銃を構えたまま、ハローが声を上げる。
音がした先は、研究員達の使うロッカールーム。
ハローさんが、ドアを開いた。
ハハ;ロ -ロ)ハ「……」
薄暗い室内。
執拗に辺りを警戒しながら、ハローさんを筆頭にして前に進んでいく。
ガタッ
ロッカーの一つから、小さくまた音がした。
恐る恐る、ハローさんはロッカーを開ける。
- 94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:19:25.54 ID:jq1vb82HO
- マト ;д;)メ「ぐすっ……ぐすっ……」
ロッカーの中には、膝を抱えて泣いている少年がいた。
ハハ ロ -ロ)ハ「この子は……マト博士の」
( ^ω^)「知ってるのかお?」
ハハ ロ -ロ)ハ「えぇ」
ハローさんが手を差し伸べる。
ハハ ロ -ロ)ハ「マトマト君、もう大丈夫よ」
マト ;д;)メ「ぐすっ……イヨウ君と遊んでたんだ。でも、でも……うぇぇっ!」
ハローさんに抱きつくマトマト。
大粒の涙を流し震える姿は、恐怖を肌で体感したことを物語っている。
ミセ ゚ー゚)リ「でも不幸中の幸いでしたね。この殺戮の中で生き残ってたなんて」
ハハ ロ -ロ)ハ「まだ他にも生存者がいるかもしれないわね……恐らく彼も」
ミセ ゚ー゚)リ「……そーですね」
まだ探すのか。早く帰りたい。
ミセリはそう思いながら、また溜息をついた。
- 95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:21:50.13 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「ブーン、この子をお願い」
( ^ω^)「え? ブーンがかお?」
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたがこの中で一番頼りになる」
戦闘力からしても。
生存確率からしても。
そう付け加えて、ハローさんはその役目をブーンに任せた。
マト >д<)メ「むぅ……怖いよぉ……」
ブーンの腕を掴んで、ぷるぷるとマトマトは震えている。
( ^ω^)「大丈夫、大丈夫だお」
マト >д<)メ「ほんと?」
( ^ω^)「本当だお。ブーンが守るお」
マト*>д<)メ「うんっ。ありがとう、お兄ちゃん!」
マトマトの手を、自分の掌に乗せる。
自分の中では最近のことなのに、人の温もりがこんなにも懐かしいと思うのは何故だろう。
- 96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:23:09.28 ID:jq1vb82HO
- ゆっくりと顔を出し、通路を確認する。
怪物がいる気配はない。
ハハ ロ -ロ)ハ「さぁ、奥に進むわよ」
ハローさんの声に、ブーンとミセリが頷いた。
屍を乗り越えて、また先を急ぐ。
血の臭いが鼻につく。
いや、これは人体の中身の臭いそのものか。
ハローさんはただ目的の対象だけに注意を置き、
ブーンはマトマトのために、マトマトを守るために、辺りを警戒し、
ミセリは死体を見ないように視線を高く、
マトマトは何も見ないように固く目を瞑っている。
ガサッ
ハハ;ロ -ロ)ハ「!」
(;^ω^)「!?」
ミセ;゚ー゚)リ「!!」
マト;>д<)メ「……?」
また、物音がした。
その場所は、資料室。
- 97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:23:10.36 ID:azAqX34RO
- はせがわだと何しても笑えてくる
- 98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:25:01.69 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「……ロックがかかっている」
ミセ ゚ー゚)リ「でも、緊急時は避難のためにどの部屋もロックは自動解除されるんじゃ」
ハハ ロ -ロ)ハ「内側からロックをかけた、ということね。そんなことができるのは……」
( ^ω^)「人間しかいないお」
ブーンの言葉に、ハローさんは力強く頷いた。
ハハ ロ -ロ)ハ「傷を負ってあまり動けないのかもしれない。こちらからロックを解除してみるわ」
ロックを解除するためにパネルの前に向かうハローさん。
ブーンとミセリが周囲の警戒を行う。
ハハ ロ -ロ)ハ「解除番号は変わってないわね。すぐ開くわ」
ハローさんが言うと同時、ドアが開いた。
だがその直後、銃声が辺りを包む……
- 99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:27:21.23 ID:jq1vb82HO
- ブーン達の間を、銃弾が掠めた。
撃ったのはハローさんではない。
室内にいた者が、いきなり発砲してきたのだ。
ミセ;゚ー゚)リ「あっぶなっ!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「あなたは……シナー博士」
(;`ハ´)「……貴様等、生きてたアルか」
ハハ;ロ -ロ)ハ「生きてたアルかって……博士こそ、この部屋で何を?」
ミセ;゚ー゚)リ「まさか、火事場泥棒……?」
図星だったのか、シナーは黙り込む。
ハハ ロ -ロ)ハ「追及するのは後。ともかく、ここは危険です。逃げましょう」
(;`ハ´)「危険違うアルネ! 資料室の壁は簡単には打ち破れないヨ!!」
熱り立ってシナーは言う。
しかし次の瞬間、轟音と共に資料室の壁を突き破って、何かが現れた。
ミセ;゚ー゚)リ「……打ち破られてんじゃん」
- 100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:29:06.94 ID:jq1vb82HO
- ファイルやディスクが宙を舞う。
厚く硬い強固な壁を簡単に破壊し、現れたのは……
( ゜゜ω)「ホマァァァァァ!!」
(;ΦωΦ)「ぐぬぅぅぅ……」
怪物の胴体を掴み、そのまま壁を破りながら押し進んできたのだろうか。
しかし、それでも怪物には致命傷を与えられていない。
ハハ;ロ -ロ)ハ「ロマネスク!!」
( ΦωΦ)「むっ……ハロー達であるか!?」
ロマネスクと呼ばれた男は、掴んでいる怪物を資料室の奥へ投げ飛ばすと、
倒壊した棚を飛び越えて資料室から出てきた。
( ΦωΦ)「ドアを閉めろ! 奴はすぐに来る!」
怒鳴るように言われ、ハローさんは急いでまたロックをかける。
ハハ ロ -ロ)ハ「生きてて良かった……」
( ΦωΦ)「良くはない。走れ、逃げなければ命はない」
- 101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:31:40.96 ID:jq1vb82HO
- ロマネスクの言葉に、皆は走り出す。
( ΦωΦ)「我輩もパワードスーツがなければ死んでいた」
( ^ω^)「おぉ! ブーンと同じ服だお!」
( ΦωΦ)「ということは、目覚めたのか!」
ハハ ロ -ロ)ハ「そうよ。私達にも希望が見えた。だからあなたはもう戦わないで」
走りながら、ハローさんはそう訴える。
そのスーツは、常人では扱いきれないのだ。
その哀願にロマネスクは少しの間沈黙し、そしてまた口を開いた。
( ΦωΦ)「それはわからない。戦う力があるのなら、戦うべきである」
ロマネスクの言葉に、ハローさんは戸惑う。
ロマネスクを止めようとした再度口を開いたその時、
「ホマァァァァァ!!」
雄叫びと共に、壁が破壊される音がブーン達に届いた。
(;ΦωΦ)「クッ、もう来たか。ここは我輩が……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ロマネスク、お願いだから……」
ミセ#゚ー゚)リ「あぁもう! お前等、うだうだうだうだ言ってんじゃねぇですよ!!
次のとこ曲がればエレベーターまで一直線で行ける! 死ぬ気で走りやがれ!!」
- 102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:33:14.80 ID:jq1vb82HO
- 六人は通路を曲がる。
足がもつれそうになるマトマト。
息を切らすシナー。
ハローさんやミセリ、ロマネスクにも、疲れの色が出ている。
ハハ;ロ -ロ)ハ「ブーン、先に行って。あなたなら、疲労せず常人以上の脚力を出せるはず」
( ^ω^)「おっ……わかったお!」
とりあえず五人より先に飛び出してみる。
自分では、前と変わらない。ただ走っているだけだ。
( ^ω^)「いっちょ、やってみるかお……」
なんのために人工冬眠までして、家族も友人達も過去に残して、この時代まできたのだ。
そんなこと決まっている。
⊂二二二( ^ω^)二⊃「ブーンするためだお!!」
両腕を広げた。
力を入れて、一気にスピードを上げる。
ハハ;ロ -ロ)ハ「これは……」
みるみる遠ざかっていくブーンに唖然とする。
しかし、遠ざかるブーンとは逆に、近付いてくる存在もあった。
- 103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:34:53.91 ID:jq1vb82HO
- あらゆる物を薙ぎ倒して進んでいるのだろう。
曲がる前の通路から、とてつもない轟音が響いてくる。
それから間もなく、怪物が壁に激突して、こちらに向きを変えてきた。
ミセ;゚ー゚)リ「き、来た!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「みんな、後少しよ!」
マト;>д<)メ「はぁ……はぁ……」
( ΦωΦ)「少年!」
ロマネスクがマトマトを抱き上げる。
( ΦωΦ)「これぐらいはさせてもらおう」
マト >д<)メ「ありがとう!」
(;`ハ´)「子供ばかりずるいアルネ!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「我慢してください!」
(;`ハ´)「犠牲者になるのは嫌アル〜!!」
ミセ;゚ー゚)リ「オッサン、いきなり加速しやがった……」
- 104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:36:09.52 ID:jq1vb82HO
- ブーンがエレベーターの前に着いた。
以前よりも足が軽かった。
鈍っていると思ったが、こんなにも速く走れるとは思ってもいなかった。
(;^ω^)「早く、早く来いお」
上階へ向かうボタンしかない。
そのボタンだけを押し続ける。
押しながら、恐る恐る後ろを見た。
そこには、必死に怪物から逃げているハローさん達がいた。
怪物との距離が徐々に縮まっていく。
(;^ω^)「早く早く早く早く早く早く早く早く早く早く……」
焦るブーン。
これではただの袋小路だ。
(;^ω^)「早く開けお!!」
逃げ延びなければ、怪物の餌食だ。
ハローさん達が迫る。
そして、怪物も。
- 105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:39:02.19 ID:jq1vb82HO
- ハローさん達とエレベーターの距離……
20メートル。
15メートル。
10メートル。
エレベーターのドアが、開いた。
(;^ω^)「みんな! 早く乗るお!!」
言うが早いか、次々とハローさん達が乗り込んできた。
ドアが閉まる。
皆は、ほっと胸を撫で下ろす。
ザクゥッ!!
ミセ;゚ー゚)リマト;>д<)メ(;^ω^)「「「!!!?」」」ハ(ロ- ロ;ハハ(ΦωΦ;)
最後の一撃とばかりに、鋭い触手がドアに突き刺さる。
(;`ハ´)「ひ、ひぃぃぃぃ……」
間一髪、シナーの顔面すれすれで、触手は止まった。
エレベーターが上がり始めると、触手はするすると戻っていった。
今度こそ、皆は胸を撫で下ろした。
- 106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:40:00.43 ID:l6Cj1nW90
- しえん
- 107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:40:39.89 ID:jq1vb82HO
- 上階へと昇るエレベーター。
疲れ果てて、皆声を出せない。
沈黙が訪れる……
ぐう〜
かと思われた。
(*^ω^)「……気を緩めたらお腹減ったお」
ミセ;゚ー゚)リ「緊張感ないわねぇ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「いいじゃないの。奴を閉じ込められたわけだし。次の階で降りましょう」
( ΦωΦ)「次の階というと、居住区であるな」
ハハ ロ -ロ)ハ「厨房も食堂もあるわ。食べ物ぐらいあるでしょう」
マト*>д<)メ「わぁい! ごはんだごはん〜!」
(*^ω^)「ごはんだおごはん〜!」
- 108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:41:26.98 ID:eq1GmdAtO
- 支援
- 109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:43:15.32 ID:jq1vb82HO
- エレベーターが居住区のある階に着く。
やはり誰もいないのか、無音に近い静かさに包まれていた。
ブーン達が足を踏み出す。
誰もいない。しかし、つい先程まで人が生活していたという名残りだけはあった。
ミセ ゚ー゚)リ「じゃあ、最後の晩餐の前に、身の回りの物でも取ってこようかな」
(;`ハ´)「不吉なこと言てほしくないアルネ」
ハハ ロ -ロ)ハ「じゃあ、私達は先に行っているわね。食堂は、こっちよ」
ミセリを置いて、食堂へと向かう一行。
マト >д<)メ「何食べる? 何食べる?」
(*^ω^)「この時代の食べ物知らないお」
マト >д<)メ「えへへ意味わかんないー」
そんな会話を続けながら、ブーンとマトマトは先を歩く。
(;ΦωΦ)「緊張感がまるでないであるな……」
- 110 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:45:39.18 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「気が滅入っているのよりはマシじゃなくて?」
呆れているロマネスクにそう言って微笑みかけるハローさん。
( `ハ´)「……」
シナーはただ沈黙しているだけ。
そうこうしている内に、厨房に到着した。
ブーンを先頭に、ドアを開いて中に入る。
「この米泥棒がぁぁぁぁッ!!」
突然の怒声。
そして、飛んでくるナイフ。
ブーンの型をとるように、数本のナイフが人の形をして壁に突き刺さった。
(;^ω^)「……」
lw´‐ _‐ノv「躱すとは運が良かったな。だが私のナイフは108本あるぞ」
ハハ;ロ -ロ)ハ「あ、あなた、確か料理長のシュールさんだったわよね?」
lw´‐ _‐ノv「ん? そういうあなたは下の研究所の……ということは」
- 111 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:47:20.11 ID:jq1vb82HO
- ハローさんにシュールと呼ばれた女は、しばらく何かを考えている。
そして、状況をそこはかとなく理解した。
lw´‐ _‐ノv「てへっ☆」
(#^ω^)「てへっ☆じゃねぇお!! 危うく死ぬとこだったお!!」
lw´‐ _‐ノv「まぁ許せ。お詫びに料理を振る舞ってあげるから」
(*^ω^)「許すお」
(;ΦωΦ)「許すのか……」
ブーン達の元から離れ、シュールは奥へ向かう。
冷凍庫から料理を取り出すと、それを解凍し始めた。
ミセ ゚ー゚)リ「あ、みんないたいた……って何この人の形して刺さったナイフ」
ミセリも合流する。
lw´‐ _‐ノv「さぁ皆の衆、料理が出来たぞ。保存しておいた賄いだがな」
- 112 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:49:05.12 ID:jq1vb82HO
- 運ばれてきた料理にかぶりつくブーン。
( ^ω^)「ペロッ……これは!」
lw´‐ _‐ノv「おいっしーよ!」
( ^ω^)「ルネッサンス情熱! エンドレス深呼吸!!」
ミセ;゚ー゚)リ「意味わかんねぇ……」
ハハ ロ -ロ)ハ「ブーンにしてみれば、久々の食事だもの。
たぶんあれは過去の時代流の喜び方なのよ」
(;`ハ´)「いやいや、料理人までノッてるアルヨ……」
皆も料理に手をつけ始める。
マト*>д<)メ「んまーい!」
( ΦωΦ)「悪くはないであるな」
それぞれに料理を味わう。
束の間の休息。
これを食べ終わったら、ここから脱出する。
あの悪夢から、逃れられるのだ。
- 113 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:50:56.61 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「それはそうと、シュール料理長……」
lw´‐ _‐ノv「何かね」
ハハ ロ -ロ)ハ「避難命令が出されたのに、何故避難をしていないのです?」
手を休めて、ハローさんがシュールに尋ねた。
lw´‐ _‐ノv「それは勿論……米を守るためだ!!」
ハハ ロ -ロ)ハ「米……?」
lw´‐ _‐ノv「そう! 米、それはリリンの生み出した食の極み!!」
(;^ω^)「シュヲル君が何を言ってるのかわからないお!」
lw´‐ _‐ノv「ヱヴァンゲリヲン新劇場版の宣伝だよ。
さぁ、日本米を食べさせておくれ。でないと私の胃が滅ぶことになる」
(;^ω^)「序はもう終わってるお! シュヲル君!」
lw´‐ _‐ノv「日本米に会えて嬉しかったよ」
ミセ ゚ー゚)リ「…………話が進まねぇ」
- 114 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:52:43.43 ID:jq1vb82HO
- lw´‐ _‐ノv「だが日本米自体は食したことがないんだ。日本米など今はもうないからな」
( ^ω^)「日本米なら毎日食ってたお」
lw´‐ _‐ノv「なんと羨ましい……出せ」
( ^ω^)「出せ?」
lw´‐ _‐ノv「吐き出せ。もしくは尻穴から捻り出せ」
(;^ω^)「無理言うなwwwww」
ハハ;ロ -ロ)ハ「シ、シュール料理長、米談義はそれぐらいで。
今、下の階では大変なことが起こっています。避難を……」
lw´‐ _‐ノv「ふむ……仕方ない。私も重い腰を上げたり下げたりするとしよう」
言いながら、立ち上がるシュール。
皆もほとんど料理を食べ終え、心の整理をつけている。
あの怪物は閉じ込めた。
もう安心していいのだと。
ハハ ロ -ロ)ハ「で、あなた自室で何していたの?」
ミセ;゚ー゚)リ「あはは……ちょっと」
言葉を濁すミセリに少し眉をひそめるハローさんだったが、追及することはなかった。
- 115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:54:09.20 ID:jq1vb82HO
- 食器を片付け、身支度を整えたシュールが奥から出てくる。
腰に長ネギを差して。
ハハ;ロ -ロ)ハ「あのシュールさん……そのネギは?」
lw´‐ _‐ノv「首領パッチソー……」
(#^ω^)「もういいお! さっさとシリアルな展開に戻るお!」
lw´‐ _‐ノv「初音ミクと言った方が良かったか?
それとも尻有るに突っ込むべきか。アッー」
ぶつぶつ言いながら、シュールは入り口で待つブーン達の元へと歩き始める。
そして、中央まで差しかかった頃だろうか。
ザクッ
何かが刺さり貫かれる音がした。
- 116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:55:36.18 ID:jq1vb82HO
- lw´‐ _‐ノv「………………」
(;^ω^)「シュールさん、どうしたお……?」
ミセ ゚ー゚)リ「突然止まって、どうしたのよ?」
lw;´‐ _‐ノv「…………」
シュールの顔からみるみる血の気がひいていく。
(;`ハ´)「あああああ、足を見るアル……」
何かに気付いたシナーが、ある場所を指さした。
皆の視線がその一点に向かう。
シュールの左足の靴を、ざっくりと触手が貫通していた。
シュールの額からだらだらと汗が流れ落ちる。
触手がゆっくりとシュールの足から抜けた。
その途端、シュールは床に倒れた。
一瞬にして、辺りを緊張が包む。
- 117 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:57:01.68 ID:jq1vb82HO
- ハッとして、ハローさんがシュールに目を向ける。
ハハ;ロ -ロ)ハ「彼女を助けなければ!」
( ΦωΦ)「うむ! 我輩が行くである!」
ロマネスクが駆け出した。
シュールを抱え上げると、スーツの力を生かした瞬発力で一気にそこから走り出す。
その直後、激しく音を立てて、厨房の床が破られた。
ハハ;ロ -ロ)ハ「なんて破壊力……」
ミセ;゚ー゚)リ「主任、逃げないと!!」
ミセリに声をかけられ、我に返るハローさん。
一目散に、皆はそこから逃げ出した。
また始まった追いかけっこ。
終わりは、ないのか。
ミセ;゚ー゚)リ「あれ? あのチャイナ野郎は!?」
- 118 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:58:13.46 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 119 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:58:19.39 ID:jq1vb82HO
- ブーン達とは真逆の方向へと逃げたシナー。
その方向とは、エレベーター。
( `ハ´)「まだ下でやることあるアルネ……資料パクって特許料ウハウハヨ」
黒い野望が渦巻く。
( `ハ´)「あの怪物も私一人だけ追ってるはずもないアル……」
エレベーターのドアが開き、シナーはそれに乗り込んだ。
先程のように焦る必要もない。
ドアを閉め、研究施設のある最下層へのボタンを押した。
静かに、動き出すエレベーター。
( `ハ´)「…………」
そこは、とても小さな密室。
その小さな密室が、大きく揺れた。
(;`ハ´)「……なんでアル」
とても小さな密室。
(;`ハ´)「なんでこっちに来るアル!?」
逃げることのできない、密室。
- 120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:59:03.07 ID:jq1vb82HO
-
「ぎゃあああああああああああああ!!」
- 121 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 22:59:08.01 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 122 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:00:37.76 ID:jq1vb82HO
- しばらく走ったところで、皆は追走者の気配を窺った。
どうやら、こちらに迫ってきている様子はない。
皆は立ち止まり、上がった息を整える。
ハハ;ロ -ロ)ハ「シナー博士……」
ミセ ゚ー゚)リ「自業自得ですよ。非常事態なのに、自分の損得しか考えてなかったんですから!」
( ΦωΦ)「助けに戻るわけにもいくまい。背中のご婦人の容態も気になる」
背負っているシュールを降ろし、足の出血を見る。
ハローさんが靴を脱がせた。
少し動かすだけでも激痛が走るのだろう。
シュールの顔が歪む。
ハハ ロ -ロ)ハ「骨は折れていないわ。骨と骨の間を、うまい具合に触手が貫通したみたいね」
( ^ω^)「良かったお……」
ミセ ゚ー゚)リ「主任。消毒薬です」
ハハ ロ -ロ)ハ「あなた、まさかこれを取りに?」
ミセ;゚ー゚)リ「いや、まぁ、ついでというか……」
ハハ ロ -ロ)ハ「いいわ。ありがとう」
- 123 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:02:24.44 ID:jq1vb82HO
- ハローさんはハンカチを取り出すと、そこに薬品を染み込ませる。
ハハ ロ -ロ)ハ「染みますけど、我慢してくださいね」
傷口からは、血が溢れている。
その上から足を押さえるように、ハンカチで包む。
lw;´‐ _‐ノv「ッ……! ンギモ゛ヂイ゛イ゛イイイ!!」
(#^ω^)「こんな時にふざけるんじゃないお!」
lw´‐ _‐ノv「こんな時だからさ……私は平気だ」
ブーンの顔を見て、シュールは微笑んだ。
lw´‐ _‐ノv「私は足手纏いになる。置いて行け」
(;^ω^)「な、何を言っているお!?」
lw´‐ _‐ノv「知り合って間もない私と心中などしなくていい。
身内もいないからな。私のことを心配してる人間もいないのさ」
- 124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:02:41.44 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 125 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:04:09.65 ID:jq1vb82HO
- (#^ω^)「カッコイイこと言ってるつもりかお?
それはただ死亡フラグを立てただお!」
lw´‐ _‐ノv「死亡フラグ? フッ……君は私の知らないものをたくさん知っているようだ」
口調は落ち着いているが、その額には汗が滲んでいた。
lw´‐ _‐ノv「手当てをしてもらってすまない。だがこの傷、実際のところどうなんだ?」
ハハ;ロ -ロ)ハ「えぇ……専門じゃないから詳しくないけど、縫合が必要だと思うわ。
避難艇に行けば処置は可能でしょうけど、放っておけば化膿して余計酷いことに」
嘘はつけないといった面持ちで、自分の意見を述べるハローさん。
lw´‐ _‐ノv「そういうことだ。それに痛みがかなり増していてね。
誰かの肩を借りたところで、まともに動けるかどうかも危うい」
(;^ω^)「ブーンは凄いんだお! おんぶするから足手纏いなんかにはならないお!」
lw´‐ _‐ノv「君は優しいな。短い間だったが楽しかったよ。
日本米が食べられなかったのが唯一、心残りだがね」
(;^ω^)「シュールさん!」
lw#´‐ _‐ノv「黙れ小僧!!」
(;^ω^)「!!」
- 126 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:04:11.76 ID:tmvu/jAW0
- 携帯から頑張るなwwwww
面白い支援
- 127 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:05:33.36 ID:jq1vb82HO
- lw´‐ _‐ノv「ここにいさせてくれ。足止めくらいにはなる」
ブーンはもう何も言えなかった。
無理矢理にでも連れて行きたい。
そうしようと思えばできるのに。
制止の言葉を言うことも、彼女を無理に引き上げようとすることも、
ブーンには出来なかった。
( ΦωΦ)「彼女の想いを無駄にするな」
( ^ω^)「……ありがとう。ご飯、美味しかったお」
lw´‐ _‐ノv「私からもありがとう。君に、会えて良かった」
ブーン達はシュールを置いて、この場を後にした。
ゆっくりと、ゆっくりと、痛みに支配されそうになる思考を払う。
lw´‐ _‐ノv「ジョークも言えない料理人は、ただの見習いだ」
痛みに耐えながら、シュールは立ち上がった。
- 128 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:07:21.23 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 129 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:08:09.34 ID:jq1vb82HO
- もう、ブーン達の足音も聞こえない。
遠くまで逃げられたのだろうと、安堵する。
そして、覚悟を決めた。
lw´‐ _‐ノv「怪物さんよ、出ておいで。出ないと目玉をほじくるぞ」
何かが近付いてきていることに、シュールは気付いていた。
それが、人ではないということも。
( ^^ω)「ホマ」
現れたのは、自分の足を貫いた相手。
lw´‐ _‐ノv「食品以外のものを料理するのは趣味じゃないが……」
腰に差したネギ……ではなく、背中に隠していたあるものを抜く。
( ^^ω)「ホマ?」
lw´‐ _‐ノvつ=lニニニニフ「言葉を慎みたまえ。君は料理長の前にいるのだ」
( ゜゜ω)「ホ、ホマァァァァ」
lw´‐ _‐ノvつ=lニニニニフ「怪物ごときが一丁前に吠えているのか?
これは特殊チタン製のマグロ切り包丁だ。まな板も電話帳も一刀両断する。
今ならテレビ台もつけて、分割金利手数料も全部当社で負担します!」
- 130 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:09:28.01 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:10:07.50 ID:jq1vb82HO
- 包丁を構え、シュールは怪物を見据えた。
lw´‐ _‐ノvつ=lニニニニフ「……」
( ゜゜ω)「……」
睨み合う。
そして……
( ゜゜ω)「ホマァァァァァァァッ!!」
怪物が、飛びかかってきた。
lw;´‐ _‐ノv「クッ……」
シュールはそれを間一髪のところで避ける。
怪物は壁に激突して、そのまま壁にのめり込んだ。
- 132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:10:40.21 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:12:11.48 ID:jq1vb82HO
- 怪物はのめり込んだまま微動だにしない。
警戒しながら、ゆったりと近付いていくシュール。
lw´‐ _‐ノv「これくらいのことで、くたばるわけではないだろう」
だらんと垂れる触手。
壁から少しだけ出た、動く気配のない胴体。
シュールは一気に、包丁を振り下ろした。
( ゜゜ω)「ホォォォマァァァァァ!!」
lw;´‐ _‐ノv「!!」
突然、怪物が暴れ出す。
壊れた壁の破片が飛び散り、シュールの腕に直撃した。
怪物に向けて振り下ろそうとした包丁が、手から零れ落ちる。
lw´‐ _‐ノv「…………」
シュールの視線が、一瞬にして低くなった。
- 134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:14:13.18 ID:jq1vb82HO
- lw´‐ _‐ノv「まさか、ここまでの切れ味とは……」
シュールが見ている先には、斜めに切れた自分の下半身があった。
lw´‐ _‐ノv「マグロとは、相当硬い魚らしい……」
宇宙ではマグロなど捕れないのにと、心の中で皮肉を言う。
血溜まりの床に伏す。
怪物がそばにいるような気配はなかった。
自滅するような人間には見向きもしなかったということか。
シュールは自分が情けなくなったが、すぐにそんなことどうでもよくなった。
lw´‐ _‐ノv「…………なんで人間、すぐ死んでしまうん?」
( ^ω^)「シュールさん?」
- 135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:14:25.57 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:15:54.82 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「どうしたの、ブーン?」
( ^ω^)「いや、なんでもないお」
シュールのことが心配になり振り返ってみるが、
既に何度も通路を曲がっているため姿など見えるはずもない。
ミセ ゚ー゚)リ「あの、つかぬことお訊きしますけど、
あたし達はどこに行こうとしてるんですか?」
( ΦωΦ)「居住区は管理ブロックと繋がっているである。
エレベーターまで戻ればあれに鉢合わせするのが関の山。
管理ブロックには、緊急用の避難ポッドがあるはずである」
ハハ ロ -ロ)ハ「まぁ、残っているかはわからないけど、あいつに殺されるよりは……ね」
ロマネスクとハローさんは、互いに互いの顔を見ながらそう言った。
どうやら二人の中では、そういった筋道が出来ているらしい。
ミセ#゚ー゚)リ「チッ……バカップりやがって……」
マト#>д<)メ「むう……ぼく空気……作者ショタコンのくせに。詐欺師ぃ」
- 137 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:16:33.30 ID:azAqX34RO
- 支援
- 138 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:18:11.06 ID:jq1vb82HO
- こうして、管理ブロックへ向かうことになった一行。
怪物が来ないだけが幸いだが、今までの出来事と長い道のりに疲れ果てている。
ブーン以外は。
( ^ω^)「マトマト、おんぶしてあげるお」
マト >д<)メ「ありがと、お兄ちゃん」
ブーンが屈むと、マトマトはブーンの背中に覆い被さった。
こんな小さな体でよく生き残れたと、ブーンは感心した。
( ^ω^)「さて、行くお!」
マト >д<)メ「ゴー!」
ハハ ロ -ロ)ハ「元気ねぇ」
ミセ ゚ー゚)リ「どっちがですか?」
ハハ ロ -ロ)ハ「ふふっ。私達の世代が駄目でも、
次の世代には、彼のように逞しくなってほしいわ」
( ΦωΦ)「そのためには、ここから脱出することが不可欠である」
ハハ ロ -ロ)ハ「そうね」
- 139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:19:49.81 ID:jq1vb82HO
- マトマトを背負ったブーンが先頭を歩き、
ロマネスクが行き先を指示ながらハローさんと共に歩き、
一番後方をミセリが歩いている。
ミセ ゚ー゚)リ「……私だけ一人かぁ」
愚痴を漏らす。
だがその顔は、どこが清々しく見えた。
ハハ ロ -ロ)ハ「ミセリ、少し遅れてるわよ」
ミセ ゚ー゚)リ「すみません! すぐ追い付きま……」
言いかけた、それと同時。
ミセリのすぐ横の壁が突き破られ、何かが飛び出してきた。
ハハ;ロ -ロ)ハ「ミセリッ!!」
( ゜゜ω)「ホマァァァ!!」
ミセ;゚ー゚)リ「くぅぅ、行って…………みんな早く行って!!」
- 140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:21:35.19 ID:iF+6TrZPO
- 作者は腐女子か
- 141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:22:29.10 ID:jq1vb82HO
- ハハ;ロ -ロ)ハ「ミセリ!」
ミセ#゚ー゚)リ「行けって言ってんだろうがッ!!」
ミセリの怒号が飛ぶ。
怪物は触手が抜けないのか、余った触手を使ってミセリを襲っていた。
ミセリはそれを寸でのところで躱しながら、ハローさんを睨んだ。
ミセ#゚ー゚)リ「あたしは下っ端の人間なの! あんた達みたいに重要じゃないの!
だからここで死んだって、構いやしないんだよォッ!!」
怪物の触手が、ミセリの肩を貫いた。
ミセ;゚ー゚)リ「ぐぁッ!?」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ミセリぃぃ!!」
ミセ;゚ー゚)リ「行けって…………行けぇぇぇぇぇぇ!!」
- 142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:22:58.65 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:24:39.83 ID:azAqX34RO
- ここで犯されるのか
- 144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:24:43.74 ID:jq1vb82HO
- ロマネスクがハローさんの腕を掴む。
( ΦωΦ)「彼女の犠牲を無駄にするな」
ハハ;ロ -ロ)ハ「イヤッ……あの子は、あの子は優秀なの……見捨てちゃ駄目なのよ!!」
(#ΦωΦ)「しっかりしろ!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「!!」
( ΦωΦ)「行くである。ブーン、走れ」
(;^ω^)「わ、わかったお。マトマト、しっかり掴まってるお」
マト;>д<)メ「うん!」
ブーンは一足早く走り始めた。
ロマネスクはハローさんの手を引いてブーンの後を追う。
ハローさんは力無く、よろめきながら走っていた。
- 145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:25:26.65 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:26:25.31 ID:jq1vb82HO
- ミセ;゚ー゚)リ「まったく、最後まで世話の焼ける上司だった……クッ」
顔目がけ噛み付いてくる怪物をなんとか避け、短く息を吐く。
睨み合うミセリと怪物。
ミセ ゚ー゚)リ「どうやらあんたが、あたしの地獄へのパートナーみたいね」
ミセリは、自身の着ている白衣のボタンを一つ一つ外していく。
ミセ ゚ー゚)リ「あんたは運が良いわ。あたしと一緒に添い遂げられるんだから」
白衣の裏には、液体の入ったビンがびっしりと敷き詰められていた。
ミセ ゚ー゚)リ「ニトログリセリンよ。凍らせておいたから、
そろそろ完全に解凍されて、爆発するにはいい頃合いね」
説明したところで怪物にはわからないかと、自嘲する。
なんとか動かせる腕を使い、ミセリはビンの一つを取ると……
床に、落とした。
- 147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:28:33.89 ID:jq1vb82HO
- 激しい揺れに、ブーン達は態勢を崩す。
(;ΦωΦ)「爆発……か?」
ハハ;ロ -ロ)ハ「まさか、ミセリ!?」
(;^ω^)「マトマト、平気かお?」
マト;>д<)メ「う、うん」
揺れが収まり、それぞれ立ち上がる。
ブーン達の目の前には、扉があった。
( ΦωΦ)「ここが管理ブロックに繋がるゲートである」
ロマネスクは脇にある操作パネルを押した。
上下にゆっくりと、扉が開いていく。
全て開ききると、管理ブロックに続くゲートが見えた。
向こう側の扉も、完全に開いている。
だがその間にあるはずの道はなく、吹き抜けのようになっていた。
(;^ω^)「な、なんだお……床がないお」
(;ΦωΦ)「管理ブロックは部外者対策のために隔離されているのだ。
扉が開くと同時に、向こうに繋がる橋が自動的に出てくるはずなのだが……」
- 148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:29:28.72 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 149 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:30:03.76 ID:jq1vb82HO
- ブーンが下を覗く。
暗く、底が見えない。
ハハ ロ -ロ)ハ「助走をつければ、どうにか跳び越えられそうな距離ね」
(;^ω^)「ハ、ハローさん?」
ハハ ロ -ロ)ハ「床がなければ天井もない。頭をぶつける心配がないわ」
もう、充分悲しんだ。だから前に進もう。
ハローさんは顔は、そう語っていた。
( ΦωΦ)「やるしかないであるか……」
( ^ω^)「マトマト、ちゃんと掴まっているお」
マト >д<)メ「うんっ!」
ロマネスクとハローさんが、先に前へ出る。
手を繋ぎ、互いの顔を見ると、ゆっくりと頷いた。
- 150 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:30:51.14 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 151 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:32:25.91 ID:jq1vb82HO
- 2、3歩、前に下がる。
二人は同時に、足を踏み出した。
( ΦωΦ)「跳べッ!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「クッ!」
二人の体が、宙を舞った。
ハハ;ロ -ロ)ハ「あぁッ!!」
( ΦωΦ)「大丈夫であるか?」
ハハ;ロ -ロ)ハ「ありがとう……」
管理ブロック側のゲートに、二人は到達できた。
飛び込んだ際に上手く着地できなかったハローさんを、ロマネスクが支える。
( ^ω^)「二人は無事に向こうに行けたお。次は、ブーン達だお」
ぎゅっと、腕を回しているマトマトの力が強くなるのを感じた。
ブーンは、駆け出す。
充分な助走をつけて、跳んだ。
これなら、簡単に向こうに到達できる。
- 152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:33:06.11 ID:jq1vb82HO
-
体が、軽くなるのを感じた。
「お兄ちゃん」
( ^ω^)「え?」
- 153 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:33:15.26 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 154 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:33:46.54 ID:azAqX34RO
- 支援
- 155 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:34:43.38 ID:jq1vb82HO
- 耳元で囁かれた声が、遠くなっていく。
ハハ;ロ -ロ)ハ「ブーン!!」
( ^ω^)「あっ……」
ハローさんの手が、ブーンの腕を掴む。
ゲートに届かない。
ブーンの体は、ゲート下の壁に叩き付けられた。
(;^ω^)「……ガッ!!」
ハハ;ロ -ロ)ハ「引き上げるから! ブーン、あなたもこちらに来て!」
言われて、ゲートの端にもう片方の手をついた。
無我夢中でよじ登る。
ハハ;ロ -ロ)ハ「いいわ、扉を閉めて!」
(;ΦωΦ)「うむ!」
操作パネルを押して、再び扉を閉める。
上下の扉のぶつかる音が、ブーンには鮮明に聞こえた。
- 156 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:35:47.23 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 157 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:36:24.24 ID:jq1vb82HO
- ( ^ω^)「何が……起きたお……」
ハハ;ロ -ロ)ハ「…………あの怪物の触手が、マトマト君の足に巻き付いて」
( ^ω^)「…………」
(;ΦωΦ)「奴め、かなりのダメージを受けていたというのに」
( ^ω^)「…………」
ハハ;ロ -ロ)ハ「じきにこちらも破られるわ。ブーン、行きましょう……」
ハローさんに促されて、ブーンは体を起こした。
二人より先に、歩き出す。
ハハ ロ -ロ)ハ「……」
( ΦωΦ)「……」
前を歩くブーンから、小さく呻くような声が聞こえた。
ハローさんとロマネスクは、ブーンにかける言葉もなかった。
- 158 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:39:25.69 ID:jq1vb82HO
- 管理ブロックの通路は、一本道だった。
無言のまま、3人は進み続ける。
ハハ ロ -ロ)ハ「止まって、ブーン」
沈黙を破ったのは、ハローさんだった。
ハハ ロ -ロ)ハ「ここよ」
人に反応して、自動的にドアが開く。
ハハ ロ -ロ)ハ「良かった。1つだけ残っていたわ」
避難ポッド。
ブーン達が助かる、唯一の逃げ道。
( ΦωΦ)「奴が来ないか見張っておく。早く起動させろ」
ハハ ロ -ロ)ハ「わかったわ」
ロマネスクが出ていった。
ドアが閉まり、ブーンとハローさんだけになる。
- 159 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:41:40.85 ID:jq1vb82HO
- ハハ ロ -ロ)ハ「ブーン、乗って」
ハッチを開いて、ブーンを呼ぶ。
マトマトを守れなかった後悔から、無気力になっているブーン。
何も言わず、黙ったまま脱出ポッドに乗り込んだ。
ハハ ロ -ロ)ハ「しっかりベルトを締めて」
( ^ω^)「……」
言われるがまま、ベルトを締める。
ふと、ブーンは気付いた。
( ^ω^)「あれ? なんで座席が一つだけしかないんだお?」
ブーンの疑問は、ハッチが閉まっていく音に掻き消された。
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたと出会った時も、こんな感じだったわね」
ブーンが必死に何かを言ってるが、ハッチが完全に閉まっているため、聞こえない。
ハローさんは、ブーンに微笑む。
ハハ ロ -ロ)ハ「最初にあなたに出会ったのも私だった。
そして、最後に別れを告げるのも、私なのね……」
- 160 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:41:50.14 ID:3or26OFd0
- sien
- 161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:43:20.90 ID:jq1vb82HO
-
Good bye Boon.
- 162 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:43:30.85 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:43:37.32 ID:azAqX34RO
- 支援
- 164 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:45:04.87 ID:jq1vb82HO
- ハローさんが出てくる。
エアロックがかかり、もう通路側からドアを開くことは出来ない。
ハハ ロ -ロ)ハ「ロマネスク、私達人類の希望の種は飛んだわ……」
( ΦωΦ)「……」
優しく微笑んで、壁にもたれて座り込んでいるロマネスクに声をかける。
ロマネスクは、何も答えない。
ハハ ロ -ロ)ハ「だから言ったじゃない……」
常人では、パワードスーツを扱いきれない。
例え超人的な力を出せたとしても、肉体に負荷がかかり、耐えられなくなる。
ハハ ロ -ロ)ハ「口元が、彼に似てるわね」
ロマネスクの瞼に、そっと触れた。
( +ω+)「……」
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたの方が、何十倍もかっこいいけど」
- 165 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:45:59.64 ID:IkHhCgeMO
- ( ^^ω)ホマホマ
- 166 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:46:26.33 ID:jq1vb82HO
- ハローさんは歩き始めた。
彼女には、まだやるべきことが残っていた。
ハハ ロ -ロ)ハ「この銃、結局使わなかったわね」
スギウラ社の最新モデル。
大切な恋人から貰った、プレゼント。
離れている時は、この銃を自分だと思ってくれと、託された。
今となっては、形見である。
ハハ ロ -ロ)ハ「制御室……」
目的の部屋に着く。
ドアが開くと、迷うことなく中に入った。
ハハ ロ -ロ)ハ「機密漏洩を防ぐため、この宇宙ステーションには自爆装置が備わっている」
ハローさんはパネルを操作しながら、ぶつぶつと何かを呟いた。
モニターに、実行するか否かという表示が現れる。
( ^^ω)「ホマ」
ハハ ロ -ロ)ハ「あら……もう来たの」
- 167 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:47:37.97 ID:jq1vb82HO
- いつの間にか室内にいた怪物だが、ハローさんは動じない。
ハハ ロ -ロ)ハ「あなたに非はないわ。あなたを作り出してしまった私達が元凶」
( ^^ω)「ホマ?」
ハハ ロ -ロ)ハ「だから、後始末は私がつける。一緒に死んでちょうだい」
( ゜゜ω)「ホマ、ホマァァァァァァ……」
唸り、怪物が飛びかかってくる。
ハローさん「もう………………遅いわ」
- 168 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:48:08.06 ID:eq1GmdAtO
- 支援
- 169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:48:25.13 ID:azAqX34RO
- 支援
- 170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:48:32.86 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 171 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:49:45.80 ID:jq1vb82HO
- 避難ポッドが宇宙に射出されたことは、すぐにわかったお。
ブーンは必死になってステーションにいるハローさんに連絡を取ろうとしたけど、
未来の機械を触ったこともないブーンは何をどうしていいかもわからなかったお。
やがて、脱出ポッドは何か凄い衝撃に襲われて、揺れたお。
ブーンはどうなるんだろう。
未来の世界でも、また一人になってしまったお。
ブーンはただの人間だお。
一人だと、それがよくわかるお。
このまま永遠に、宇宙空間をさまようのだろうかお。
( ^ω^)「……そのうちブーンは考えるのをやめた」
眠ってしまおう。
人工冬眠した時みたいに、全てを忘れて眠ってしまおう。
目覚めた先の未来に、希望を託して。
- 172 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:50:34.24 ID:iF+6TrZPO
- 支援
- 173 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:50:40.01 ID:jq1vb82HO
-
( ^ω^)ブーンVSクリーチャー(ω^^ )
THE END
- 174 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:51:19.98 ID:jq1vb82HO
- これで全投下終了です。
スレを覗いてくれ方々ありがとうございました。
- 175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:52:19.82 ID:tmvu/jAW0
- なんという鬱END…
乙
- 176 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:52:19.94 ID:iF+6TrZPO
- ブーン、何もしてない…
- 177 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:52:29.12 ID:l6Cj1nW90
- 乙
面白かったよ
- 178 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:53:15.05 ID:eq1GmdAtO
- 乙!
おもしろかったよ!
- 179 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:53:39.92 ID:QieplwTZO
- ブーン戦ってNEEEEEEE!!!!!
- 180 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:53:56.41 ID:6/6HmXVN0
- >>1乙
- 181 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:54:54.15 ID:+2LWryypO
- 鬱になった…
乙
- 182 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:56:54.99 ID:azAqX34RO
- 鬱だ
- 183 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:57:39.94 ID:dfBm3L2u0
- 何回もリロードしちゃった
>>1 乙!
- 184 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/05(土) 23:58:11.16 ID:jq1vb82HO
- 実はこの後も続きがあるのですが、>>1の通り放置してしまいまして……
区切りが良いところで編集して終わらせました
この後救助された先でもクリーチャーが現れてブーンが戦う予定だったのです
- 185 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 00:03:38.42 ID:GRsNFw0AO
- 読むほ
- 186 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 00:03:40.96 ID:KzerBAlHO
- >>184
('A`)気になる
- 187 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/04/06(日) 00:07:32.20 ID:RQdXbVyr0
- >>184
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