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2008年4月 1日 (火)

長い道のりでした・・・

GGNで紹介して頂いているスリランカの事業ですが、製品のサンプルも完成、関連ドキュメントも用意、先行投資も想定に入れた投資ドキュメントも準備完了です。スリランカ側のパートナーに恵まれていたとつくづく感じます。MBA取得者は当然、インベストメントバンクの元スタッフ、元国連事業プランナーという最強の布陣です。いよいよセールスの開始。評判は悪くなく、まずはある大手の外食産業からプレゼンの依頼を受けました。今回のプロジェクトだけでなく、スリランカという市場を視野に入れてのプレゼンということもあり、スリランカ側の熱の高まりも感じます。

さて、いろんなニュースが相次いだ食品業界だけあって、結構慎重になっている姿勢も節々から感じるのですが、CSRに対する興味の感じ方も今までとは違うものを節々から感じます。フェアトレードに対する注目も高まりつつあることを感じますが、さて、このフェアトレード、実際、どこまで有効なんでしょうか。

フェアトレードというと、何か正義の味方のイメージが強いんではないでしょうか。このフェアという言葉、欧米人は大好きなようですね。

フェアなトレード。そもそも貿易ってフェアなもんじゃないのと思いがちですが、まあそれは建前、要は立場の強いものがより自身の要求を通せるのが本当のところ。それを考えれば、フェアトレードっていうのは、すばらしい考えですよね。

フェアトレードの考え方には、私も大いに賛同できるものがあります。貿易関係において、弱い立場になりがちな、途上国側の生産者達、彼らにとって出来るだけの高値で買い取ろうというわけですから、どこにもつけいる隙の無い考え方ではないか、そのように感じるところであると思います。

そういうわけで多くの企業がフェアトレードに注目しているようですね。やっぱり手軽ですからね。しかし、ここに大きな穴があるわけです。

フェアトレードというのは、扱い方を間違えると、金銭の垂れ流しにもなりかねない危険性を伴っています。これは、支援事業に携わっている人間が一番陥りがちな罠なのですが、そもそも流通システムの構築と整備ということにまで、想いが至らないことが多いのです。

様々な支援事業やフェアトレードは、そもそも生産者を支援対象とした有効なスキームを提示してはいますが、流通制度の整備がおろそかになったままでは、次に続く経済離陸は起こりえないのです。

流通制度の整備は、経済離陸のための要といっても過言ではないでしょう。その観点から言えば、支援対象は生産者ではなく、むしろ消費者にした方が有効なのではないでしょうか。消費者に安全で安価な農産物を提供する、このような事業の方が、より効率的なのではないでしょうか。

では既存のNPOや支援団体がこのような観点から事業を行っているかというと、残念ながら、特に日本国内においては、ほとんどありません。何故なら、消費者を対象にした事業は、「支援」事業ではあり得ないと考えられているからです。何処とは言いませんが、私も支援事業の大手である独立行政法人に対して、消費者と流通制度の構築を裨益対象にした事業を提案した際、それは「最貧困層を助ける」という枠組みから外れるということで採用されなかったことがあります。まあ、何処とは言いませんが、大手の独立行政法人です(笑。

サステナビリティという言葉が、NGOやNPO業界で氾濫していますが、本気でやるのであれば、ビジネスやればいいんです。今回、食品業界の方と何回かお話させていただきましたが、寄付とか支援ではなく、投資として、ビジネスとして途上国の潜在市場と付き合う度量は十分持っていることを感じました。要は、日本のNPO業界の多くが、そのような投資やビジネスというドキュメントをそもそも書けないか、寄付とか支援にこだわりすぎているため、無視している場合がほとんどなわけです。

企業の側のCSR概念は、確実に変わっています。経営のツールの一つとしてCSRを扱うのは、欧米ではすでに常識に近くなってきていますが、日本ではこれからなのではないかと考えています。企業がNPOや有名NGOのブランドを扱うという考え方は、欧米ではすでにメインストリームを外れつつあるとの話をある方から伺いました。

これからは、むしろ営業戦略の一環として、企業が特定市場に強い影響力を持つNGOやNPOを活用するということがメインストリームになりつつあると聞きます。相当な危機に直面しつつある食品業界だからこそ、もしかすると一番その方面に敏感なのかもしれません。

フェアトレードや有名NGOのブランドにのっかかるのではなく、営業戦略的に戦略パートナーになりうるNGOやNPOと結び付き、具体的なパートナーシップを構築する、そのような魁として、今回のスリランカ事業がサンプルを提示できればと思っています。応援お願いします。(坂井)

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