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2008年3月30日 (日)

ボランティアは学力向上に繋がる?

週刊ダイヤモンドの今週号(4月5日号)は教育特集です。
「学力大不安〜教育崩壊からわが子を守れ!」というわけで、いろいろ興味深い記事が満載です。

この特集を読んでいると、あらためて日本の教育レベルの低下が分かって、憂鬱な気分になってしまうのですが、中には希望を感じる記事もあります。

「学校だけに頼らない『家庭力』の高め方」と題した特集記事のひとつに書かれていることですが、
文部科学相が昨年行なった「全国学力・学習状況調査」によれば、

「人の気持ちがわかる人間になりたい」と思う子の成績はよい。

ということが分かったそうです。

これはグッドニュースであります。

僕は、PTAの役員をやっていたこともあるので分かるのですが、日本の学校ではボランティア活動はいまいち盛り上がりません。

その理由のひとつに、インセンティブがほとんど何もないということがあると思います。
唯一のインセンティブらしきものに、「ボランティア活動は世の中のためにいいことだ」という精神論くらいですが、これとて今どきの中学、高校あたりでは、「ボランティア活動に熱心な生徒は、ちょっと変わった人」という評価を、友だち同士の間で受けてしまうリスクもあるでしょう。

ちなみに、イギリスでは、オックスブリッジに入るには、学業優秀なのはもちろんのこと、他にもスポーツやボランティア活動でそれなりのトラックレコードが要求されます。

いくら成績が良くても、ボランティア活動をやってないと入学できない、というわけで、成績優秀な学生はみんなボランティアをやります。

逆に、その他の大学を目指す生徒は、ボランティアをやる必用がないし、場合によっては(オックスブリッジ狙いの生徒の)ジャマになるからボランティアするなと言われたりします。

事の善し悪しは別として、日本の学校教育には、このようなボランティアに対する強いインセンティブはありません。

しかし、ボランティア活動が「人の気持ちを分かる人間になる」ことへの大きな影響を与えるのは明白で、結果として成績が良くなるということが実証されたのであれば、これは大きなインセンティブになります。

生徒本人も親も教師も、もっとボランティア活動に熱心になるでしょう。

家庭での会話の多い子の成績も良いという結果もありますが、ボランティア活動は親子の会話を増やす効果もあります。
つまり、ダブル効果で子どもの成績を上げることが期待できるわけです。

このような調査結果は、もっともっと社会にアナウンスされるできでしょうね。(竹井)

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コメント

はじめまして。

去年12月に学生生活を終えて、自分のやっていきたいことはあるけれど、世の中のお金がどう動いているか、どう動かしていけるのかは無知です。今は「シンプルマーケティング」を始め本を読みあさっています。

このボランティアの話、昔の日本では当たり前だったのに今は違うのですね。私が行った私立の中高一貫女子校は勉強ができてもボランティア(善行)をしていないと優秀生徒や学内奨学金の対象になりませんでした。宗教的なものもあるんですかね。
イギリスにいた時は私もですが周りの学生も勉強やバイトの合間にボランティア活動を盛んにしていました。当たり前だったから気がつかなかったけれど、社会貢献したいという意識が高いからだと思います。
ボランティアをするには、心の余裕も必要だと思います。そこが今の子にはかけているのかもしれませんね。そんな社会にいきているなんてかわいそうだけれど。

投稿 Saori | 2008年4月 3日 (木) 08時24分

度々すみません。
リンクに入れさせていただきました。

また、遊びにきます。

投稿 Saori | 2008年4月 3日 (木) 08時30分

こんにちは。
コメント、ありがとうございます。

学校でのボランティアの話ですが、

>宗教的なものもあるんですかね。

ミッション系はどこもボランティアには熱心ですね。
僕自身もミッション系大学に行きましたし、子どももミッション系でしたので、そのあたりの雰囲気は分かります。
ただ、ボランティアは学内では有る程度評価されても、生徒間で評価されているかというと、少なくとも都内ではそんな感じがありませんし、大学進学の時に、特に有利になるわけでもないですよね。

ボランティア活動が評価されて、優秀生徒に選ばれると、内申書の評価がよくなって推薦入学に有利というのはあるでしょうが、東大や京大に入るためにはボランティア必須、ということにはなってないので、インセンティブとしてはやはり弱いと思います。

>当たり前だったから気がつかなかったけれど、社会貢献したいという意識が高いからだと思います。

欧米人でボランティアに熱心な人をみていると、当たり前という感覚もあるのですが、ある種の熱を持った「当たり前感」を感じます。

こういう、ある種の「熱」というものがないと、頭ではボランティアをやらなきゃと思っていても、体がついてこないという状態になってしまい、これが今の日本のボランティア・シーンの問題だと思うのです。

この「ボランティア熱」を、一度、多いに上げる必用があると思っていて、その意味で、社会貢献ブームが必用だと言ってるわけですね。

ブームというと、NPOなどでは嫌な顔をする人が多いですが、ブームとは熱気のことですが、人間は理屈ではなく感情で行動するものなので、日本でボランティア活動を広げるには、一度、熱情的なボランティア・ブームが巻き起こる必用があると思います。

強力なインセンティブは、そのための一つの要因にはなると思います。

>ボランティアをするには、心の余裕も必要だと思います。そこが今の子にはかけているのかもしれませんね。そんな社会にいきているなんてかわいそうだけれど。

同感です。
子供たちのためにも、ボランティアがブームになって欲しいですね。
僕らも頑張りたいです。

投稿 竹井 | 2008年4月 3日 (木) 16時53分

ところで、
「シンプルマーケティング」はお役に立ってますか?
またご感想などお聞かせください。

投稿 竹井 | 2008年4月 3日 (木) 16時55分

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