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インタビュー:「若者よ、死ぬな、戦え!」 仮面ライダー1号の藤岡弘、さん

「仮面ライダー」撮影当時の思い出を語った藤岡弘、さん
「仮面ライダー」撮影当時の思い出を語った藤岡弘、さん

 特撮ヒーロードラマの傑作「仮面ライダー」で1号ライダー、本郷猛を演じたのが俳優の藤岡弘、さんだ。「ライダー」と「V3」の最終話を収録した「仮面ライダー トリプルライダー FINAL エピソードコレクション」(東映ビデオ)の発売を機に、撮影の秘話とライダーへの思いを明かしてもらった。 【立山夏行】

--仮面ライダー出演が決まったときは?

 当時駆け出しの俳優でしたが、コネもなく仕事も少なかったので、受けられるオーディションはすべて受けていました。そんな時に仮面ライダーのお話をいただきました。子供のころに見た映画の「鞍馬天狗」に通じるものがあったんです。仮面ライダーがバイクに乗って悪と戦う姿が、頭巾で顔を隠した鞍馬天狗が馬で疾走するシーンとオーバーラップして、まさに「現代の鞍馬天狗」だと感じました。自分が鞍馬天狗から受けた感動を、今度は自分が子供たちに与えられると思うと、夢を感じましたね。

--撮影のスケジュールは

 朝5時に起きて、自分で車を運転して砧(東京都世田谷区)の撮影所まで行って、深夜0時ぐらいまでずっと撮影というハードなスケジュールでした。自炊しておにぎりを作ったり、ナッツ類や果物を取って体調もしっかり管理して撮影に臨んでいました。コップに入れた生卵を丸のみしたりもしていましたが、後でシルベスタ・スタローンが映画「ロッキー」で同じことをやっていて、「私の方が先だな」と思いながら見ていましたよ。

--ライダーになってアクションも担当したんですよね

 仮面をかぶって視野も狭く、激しいアクションをこなすのはとても大変でした。当初、ライダーのスーツは革製だったので、汗をかくと縮んで締め付けられるんです。人気が出てきて撮影をたくさんの子供たちが見に来てくれるようになったのはうれしかったのですが、夢を壊したくないので気軽にトイレにも行けなかった。ロケ弁当も、隠れてこっそり食べていましたよ。

--撮影中に大けがをされたんですね

 足を複雑骨折して3カ月以上入院しました。厳しいかん口令が敷かれ、南米にショッカーを追いかけていったというストーリーになりました。入院中は歴史書や武士道などの本をダンボール何箱分も読み、自分自身を厳しく見つめ直すいい機会になったと思います。若さゆえのごう慢さからどんどん激しいアクションにチャレンジしていましたが、あのままエスカレートしていたら死んでいたかも知れない。入院をきっかけに佐々木剛さん演じる2号ライダーが登場して、結果的にライダーのバリエーションが増えて後の作品にもつながっていったのは良かったですし、個人的にも最悪の状態を知るとどんなことにも耐えられるということを学びました。

--復帰時の苦労は

 復帰初日は、まだ足に鉄の棒が入った状態で、少しでも異常があれば撮影中止という約束でした。でも激しいアクションで棒が皮膚を破って飛び出してきたんです。絶対中止したくなかったので、スタッフには内緒で、血だらけの足をガムテープで押さえて撮影を続けました。子供たちが復帰を喜んでくれたのは本当にうれしかった。

--最終回の思い出は

 2年間本当に真剣に演じていたと思います。若さのせいもありましたが、命がけで取り組んでいましたね。撮影がすべて終わって、「これから俳優として生きていくのだな」という実感が持てました。けがの教訓を生かして、どのようなことがあっても対処できるようにしっかり体を鍛え始めたんです。まさに仮面ライダーからアクション俳優としての道が始まったと思っています。

--仮面ライダーの魅力は何だと思いますか

 あのころ、仮面ライダーの中に自分を投影して演じていたような気がしますね。体を改造され、決して恵まれた境遇ではない主人公が、自分を顧みることなく悪と戦う。そんな己(おのれ)のない自己犠牲の精神は、武士道にも通じるものがあると思います。そんな姿にみんな共感しているのではないでしょうか。

--ファンに一言

 自殺者が年間3万人を超え、混とんとした世の中ですが、仮面ライダーを通じて私が感じたのは「わくわくする人生は日々の挑戦から始まる」ということです。講演などでも「若者よ、あきらめるな! 死ぬな、戦え!」というメッセージを伝え続けています。夢を失わずに挑戦の旅を続けてほしいですね。

プロフィル

ふじおか・ひろし=65年に俳優デビュー。71年、「仮面ライダー」の本郷猛役に抜擢され注目を浴びる。73年、映画「日本沈没」に主演、74年のNHK大河ドラマ「勝海舟」で坂本龍馬を演じる。84年にはハリウッド映画「SFソードキル」に主演し、米国俳優協会の会員に。武道家や難民キャンプでのボランティアとしても活動している。

※「仮面ライダー トリプルライダー FINAL エピソードコレクション」は全国のローソンで発売(2枚組、1260円)。ペイパービュー(PPV)機能で傑作選9話(1話105円)も視聴できる。

2008年4月5日

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