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五輪=IOC理事、中国にチベット問題を質す可能性


 4月2日、IOCのハイバーグ理事は、IOCがチベット問題で中国を質す可能性があることを明らかに。写真(手前)は先月18日、ローザンヌにあるIOC本部前に掲げられたチベットの旗(2008年 ロイター) [拡大]
 【オスロ 2日 ロイター】 北京五輪の開催にとってチベット情勢や人権の問題が脅威となるようであれば、国際オリンピック委員会(IOC)が中国当局との協議を要請する可能性があるという。IOC理事会の10人いるメンバーの1人、ゲラルド・ハイバーグ理事が2日にロイターとの電話インタビューに答えた。

 中国における人権状況の改善に向けIOCが十分な要求を行っていないという批判についてノルウェー出身のハイバーグ理事は、IOCはチベットの問題を懸念しているものの、スポーツ関係機関としての役割を逸脱することはできないと説明。同理事はまた、IOCは中国当局者と水面下で交渉する際には「サイレント・ディプロマシー(沈黙外交)」を行う方針ではあるが、中国側の国内政策や外交政策に関して質す「権限も可能性も持ち合わせていない」としている。

 IOCでは、チベット独立を要求したデモを中国政府が鎮圧したチベットの騒動について、人権問題ではなく中国の国内政治問題という立場をとっている。このため、ハイバーグ理事も「もしもわれわれがこれにかかわり合えば、スポーツの機関として失格だ」と話す。

 その上で、ハイバーグ理事は「政治的な問題が五輪の成功に影響を与えかねない状況になれば、われわれが関与することもできる」と言う。同理事は自身が近くIOCとして中国を訪問することに関連し、「われわれはもちろんチベットで起きていることを良しとしているわけではない。そのことについて少しは話をする可能性がある」と明かした。

 ハイバーグ理事はまた、IOCが中国国内の出来事に関与するチャンスは限られた期間にしか与えられないとしている。北京五輪の開催期間は8月8─24日。「差し当たり8月までの間は、われわれが中国政府に影響を与える可能性がある。現時点では、IOCほど中国への影響力と権力を持つ存在はおそらく無いだろう」と語った。

 <人権状況改善の公約は空洞化か>

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、五輪は中国の改革への触媒となり得なかったと指摘。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは、五輪前に人権状況を改善するとうたった中国の公約は空洞化したとみており、五輪憲章の精神と文言をないがしろにしたと批判している。

 また、ノルウェーの人権団体はIOCと人権先進国を自負するノルウェーの政府に対し、中国当局の同政府に批判的な人々や人権活動家たちの扱いについて意見すべきだと圧力をかけている。

 ハイバーグ理事は中国当局との会談を前に、こうした人権団体の報告にコメントすることは控え、中国は公害を抑制したりジャーナリストに以前より広い自由を与えたりするなど、五輪開催にあたって行った公約を果たしつつあると述べるにとどめた。その上で「われわれの目的はもちろん中国での五輪を守り、中国や関係各国を支援し、大会の成功を確保することだ。だからもちろん、われわれは憂慮している」と強調した。

 チベット自治区のラサでは先月、中国政府への抗議デモが発生。騒乱はその後中国西部のチベット族自治州にも拡大、また世界各地でも亡命チベット人たちが抗議活動を行った。中国当局者たちは、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が亡命先のインドから騒乱を扇動したとして非難を強めている。

(ロイター日本語ニュース 原文:Wojciech Moskwa、翻訳:植竹知子)

2008/04/05 17:28

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