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【主張】総裁空席 もう日銀出身しかいない

2008.4.5 02:10
このニュースのトピックス景気

 空席という異常事態に陥っている日銀総裁について、政府は週明けに新たな人事案を示すという。先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が11日に迫っている。与野党は協力して一刻も早く空席を解消しなければならない。

 日銀総裁が戦後初の空席となったのは、民主党が元財務事務次官である武藤敏郎前副総裁の昇格という政府案を拒否したことによる。次いで元大蔵(財務)事務次官の田波耕治・国際協力銀行総裁の候補案も不同意となった。

 財政と金融政策を分離しないと日銀の独立性が侵されるとの理由だった。独立性は新日銀法で担保され、先進各国の中央銀行総裁にも財務省出身者が多いことから、説得力に欠けるといえよう。

 しかし、民主党はいまもこの主張を変えていない。同意が得られない限り総裁空席は解消できないわけで、もはや財務省出身以外から人選せざるを得まい。

 では、どんな人物がふさわしいのか。金融政策のかじ取り役である以上、マクロ経済と金融実態に精通していることは当然だが、それだけでは総裁は務まらない。

 金融はグローバル化が最も激しく、各国金融当局との連携が欠かせない。これまで以上に政府との経済運営上の意思疎通も求められる。とりわけ、市場との対話力は総裁に不可欠の条件である。

 これでは金融の素人である財界人は無理だ。企業経営者だった元米連邦準備制度理事会議長が短期で辞任に追い込まれた例もある。学者も金融実態に疎く、対外交渉にも難があるから任が重い。

 こうしてみると、総裁職を担えるのは日銀出身しかおらず、総裁代行の白川方明副総裁の昇格が最も現実的選択肢だろう。後任副総裁に前財務省財務官の渡辺博史一橋大教授を充てれば、首相官邸や各国との連携も円滑になる。副総裁なら民主党も容認すべきだ。

 日銀OBでは一時候補にあがった山口泰元副総裁のほか、セブン銀行社長の安斎隆元日銀理事らがいる。安斎氏は各国中央銀行との人脈を有し旧日本長期信用銀行の破綻(はたん)処理を行った実績もある。

 今回のG7は米国発の世界的金融動乱の対応を討議する重要な会議だ。東京市場も混乱し、景気減速懸念が出ている。民主党は自らの政治的圧力で日銀の独立性を侵したことを反省し、今度こそ政争の具にしてはならない。

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