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北京の開会式出るか出ないか、それは問題だ 欧州首脳ら

2008年04月05日13時46分

 欧州では北京五輪の開会式に首脳が参加すべきかどうかも論議になっている。必ずしも中国側から招待されていなくても、欠席をにおわす発言や報道が相次ぐ背景には、「競技不参加は避けたいが、チベット問題への国内世論の手前、何らかの批判姿勢も示したい」という各国の微妙な思惑があるようだ。

 発端は、「国境なき記者団」が3月18日、開会式不参加を各国首脳に提案したこと。「何年も練習を積んできた選手に『北京に行くな』と言うつもりはない。ただ、開会式は政治的なショーだ。首脳たちが欠席することで、開催国に異議を唱えることができる」とメナール事務局長は説明する。

 サルコジ仏大統領が昨年11月に訪中した際に、胡錦濤国家主席が「サルコジ氏を北京五輪の開会式にお招きした」と発言。サルコジ氏も「開会式でお会いしましょう」と応じた経緯から、首脳が欠席を発表すれば政治的効果が大きいと、「記者団」は考えたとみられる。

 だが、国際オリンピック委員会(IOC)の規定では、国家元首らに関して招待客として大会身分証の発行を求めるのは、開催国ではなく、各国のオリンピック委員会。出席者を決めるのも各国だ。

 シュタインマイヤー独外相は3月末、「メルケル首相も私も開会式には参加しない」と発言。「ドイツが開会式ボイコット」と報道された。だが実際には、メルケル氏らの不参加はチベット騒乱が起きる前にドイツから中国側に伝えられていた。

 チベット問題で中国に批判的な英国のチャールズ皇太子も北京に行かない意向だ。ただ、皇太子に招待は来ていないという。次の五輪開催地がロンドンという事情から、英国からはスポーツや五輪の担当相が出席、ブラウン首相も閉会式に参加する予定だ。

 旧東欧諸国では複数の首脳が不参加を表明した。ポーランドのトゥスク首相は地元紙に「五輪開会式に政治家が出席するのは不適切なように思える」と発言。89年の民主化の発端となった造船所ストにトゥスク氏は参加した経験があるだけに、民主化への動きや人権問題に特に敏感な面がある一方、こうした態度をあえて示して五輪そのもののボイコットは回避したい姿勢がうかがえる。(パリ=飯竹恒一、ベルリン=金井和之)

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