FBI特別捜査官ジェニファー・マーシュは、コンピューター犯罪のエキスパート。オレゴン州ポートランドの事務所で若い相棒グリフィンとともに、インターネット上のクレジットカード詐欺や性犯罪者を取り締まっている。警官だった夫が殉職し、母親ステラ、8歳の愛娘アニーとともに暮らしているジェニファーは、育児のために夜勤のシフトに入っていた。ある日、ジェニファーのもとに不審なサイトの情報が舞い込む。「killwithme.com」というそのサイトを覗いてみると、ネズミ捕りの上に放置され、身動きがとれなくなった猫の衰弱してゆくさまがライブ中継されていた。サイトの管理人は大胆にもみずからFBIに通報した模様で、発信源が地元であることは判明したものの、それ以上の情報はつかめない。強制閉鎖してもIPアドレスは絶えず変更され無限にコピーを繰り返し、遮断してもすぐにそのサイトのコピーが現われる手の込んだ仕掛けが施されていた。しかも使用サーバはロシア、すなわちFBIの管轄外であった。
猫の映像が1週間続いた後、サイトに常軌を逸した映像が映し出される。縛り付けられ、もがく中年男がビデオカメラの前に現われたのだ。裸の胸には“一緒に殺そう”の血文字が刻まれ、出血を早める抗凝血剤が投与されていた。恐ろしいことに、その投与量はPCで調節されており、アクセス数が上がるほど投与量も増える仕掛けになっている。つまり視聴者が増えれば増えるほど、この男は早く死ぬことになるのだ。ジェニファーは地元の刑事ボックスと協力して捜査を進めることになる。だが、噂が噂を呼んだのかアクセスは飛躍的に増加し、哀れな男は息絶えた。衝撃に包まれた捜査陣をあざ笑うかのように“ご協力感謝。続く”という犯人からのメッセージがアップされるのだった…。
ネット犯罪を追う主人公ジェニファーは、タフで知的なヒロイン。PCを駆使し、実際に現場に飛んで犯人の正体を探り、同時に愛する者を守ろうとする。知恵と勇気を兼ね備えた主人公像は、『羊たちの沈黙』の主人公クラリス・スターリングに勝るとも劣らない。そんなたくましいヒロインに扮するのが、『ジャンパー』でも好演を見せたダイアン・レイン。子役デビューを果たして以来、約30年第一線で活躍を続け、『ホワイトハウスの陰謀』『運命の女』等で強い女性を演じてきた彼女にとって、ジェニファーはまさにはまり役。残虐な犯行に胸を痛めつつ犯人への怒りを静かにつのらせ、仕事場や家庭では決して悲しみ見せず、バスルームでひとり涙する姿は、共感を引き寄せずにおかない。(作品資料から)
監督: グレゴリー・ホブリット
出演: ダイアン・レイン 、 ビリー・バーク 、 コリン・ハンクスほか
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、シネプレックス小倉などで4月12日公開
▽公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/untraceable/