西日本新聞

日中合作のドキュメンタリー映画

2008年4月5日 02:11 カテゴリー:コラム > 春秋

日中合作のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、近隣施設に迷惑はかけられない、との映画館側の判断で上映中止が相次いだ。街宣車による抗議を受けた映画館もあった。

▼一部の国会議員が「どんな内容か見てみたい」と言い、国会議員向けに異例の試写会が行われた経緯が絡む。「反日的」などの感想が聞かれ、けしからん、とする空気が右翼団体にも広がった。

▼憲法が保障する言論・表現の自由を政治家との関係で考えてみたい。「反日的」と批判するのは自由だが、特殊な事情で開かれた国会議員向け試写会で、となると話は別だ。それ自体が圧力になる。

▼靖国問題では近年、反日的と批判する側の自由に比べて、批判される側の自由は制限されがち。つまりは自由にものが言いにくい。そんな空気を政治家も一緒になってつくっていないか。

▼小泉首相の靖国参拝に反対した自民党元幹事長の実家が、右翼団体構成員に放火された一昨年夏の事件を思い出す。言論封じを糾弾する声は、政権党からはあまり聞かれなかった。あのころからだ、変な空気が漂い始めたのは。

▼重苦しさが増した今回の映画をめぐる1件では、予定通り上映を決めた映画館も出てきた。後押しする国会議員が出てくればもっと増える。フランスの思想家ボルテールが言ったとされる言葉をかみしめたい。「君の意見には断固反対だが、君が言う権利は、命をかけても私が守る」

=2008/04/05付 西日本新聞朝刊=

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