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2008年4月5日

 六カ国協議をリードする中国外務次官の武大偉さんは、駐日大使も務めた知日派で日本語はペラペラである。昨年、同僚記者が訪中し、武さんを取材した

会談には通訳が入ったが、武さんは「違う、違う」と翻訳の未熟さを何度もたしなめた。通訳なしの方が、よほど効率的に進んだ取材だったとか。公式の場だから国際慣例として通訳を入れたのか、あるいは自国の言葉で応対するメンツにこだわったのか

その中国のメンツをつぶす五輪聖火リレーの混乱が起きている。スタート早々、トルコで妨害があった。ロンドン、パリ、米国でも人権抑圧に対する抗議が予告されている。中国の栄光を世界に示すはずのイベントが、難題に病む大国の姿を次々と「リレー」することになりかねない

北京から青空が消え、汚染された空から太陽がのぞく日は、年に百日足らずという。それを「二百四十日にする」と、北京副市長が大見えを切ったと、これも同僚の土産話

誰も信じてはいないメンツ丸出しの大言壮語である。このままでは、その北京の空のように、ゆううつな気分で迎える五輪になりはしないか。


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