妄想焼肉店
近くの焼き肉チェーン店に行った。
夕食時に重なり、さらに春休みで親子連れが多いせいか、入り口横の「待合いスペース」はたくさんの人でごった返している。
「混んでいるから、かなり待つかな。やめようかな・・・・。」
そう思ったけど、ふと、店内の奥を覗くと、カウンター席も、奥の席も「空席」があり、そんなに満席になっている感じではない。 僕らの少し後に入ってきて順番を待ってるカップルが、店員さんに食ってかかる。
「何分くらい待つの?そこのカウンター空いてるでしょ。そこでいいし、2人だから、ダメなの???」
「お待ちのお客様から順番にご案内いたしますので、お名前を書いておまちください!!!」
店員さんが必死に叫んでいる。
なんやかんや15分ほどで僕らは入り口の近くのカウンター席に案内された。背後に、順番待ちのお客さんの気配を感じる席で、なんか落ち着かない・・・。
「やれやれ・・・」
飲み物と、焼き肉メニューを適当にオーダーする。
さきほど店員さんに食ってかかったカップルも僕の隣りに座る。ところが・・・。
僕らの席には、「七輪」もセットされ、飲み物も、オーダーした食べ物も順調に運ばれてくる。しかし、隣りのカップルには、オーダーを取りに来ない。やっと来たと思ったら、飲み物が来ない。次は、飲み物が来たけど、フードが全然来ない。。。たくさんの店員さんが忙しく動き回っているのに、なぜか、僕の隣りのカップルにだけタイミングというか、呼吸というか、全然店の流れと噛み合っていないのだ。
隣りでパクパク食べてるのが申し訳ない感じになってきたけど、
「なんなら、僕らの一緒に食べますぅ??」なんて言うわけにもいかず、仕方ない。
ついに、カップルが店員を呼ぶ。
「あの。。。さっきから全然こないんだけど・・・どうなっているの??」
平謝りの店員さん。
そのうち、また入り口付近は入れないお客さんでごった返ししている。
でも、相変わらず、店内には、あちこちに空席があり、「空いてるのに、どうして入れないの??」なんていう文句が聞こえてくる。
ややもしばらくすると、入り口に、
「予約していた○○だけれど・・・・」
と、10人くらいのグループが入ってきた。
「え??ご予約ですか・・ し、少々お待ち下さい・・」
慌てる店員さん。
「あの、予約入ってますよね???」
「あ、あの、申し訳ありません。当方の手違いで、お客様のご予約がされていませんでした。今、すぐにお席をご用意しますので、もう少々お待ちいただけませんか??」
「えぇ??電話しといたのに、予約入ってないの???」
すごいイヤな空気が流れている。
結局、そのグループもかなりの時間待たされていた・・・。
それでも、店内を動き回るたくさんの店員さんは、大忙し!! オーダーが入ると、
「3番さんから、ドリンクの注文いただきました!!!」と一人が叫ぶと、他のスタッフ全員が
「喜んでっ!!!!」
と声を合わせて唱和するのだが、全然、喜んでいるようには見えないのがツライ(苦笑)。
そのうち、僕らも食べているものがなくなってきたので、追加のオーダーをする。オーダーを復唱しながら、他のスタッフが声を合わせて
「喜んでっ!!!!」
しかし、その声とはウラハラに、今度は、僕らの頼んだものが、何一つ出て来なくなったのだった・・・・。
「待たずに出ます!」とメニュー表に書いてる品ですら、出てこない。 食べるものがなくなって、勢いがなくなると、ダンダンと腹が満腹になってくる。早食いはよくないとは分かっているけど、さっき注文したものが来ないうちに、腹がふくれてくるのは悔しい・・・。
面白かったのは、
「申し訳ありません、その○○は、本日品切れでして、お出しできません。」
と言われた品が、
「はい、お待たせしました、○○です」
と別のスタッフが持ってくるところ。
結局、何を頼んだのか、何がまだ出てないのか分からないまま、「満腹」になった。
でも、僕は、その慌ただしくて「ギクシャク」したお店の中で、
最初は、イライラしていたんだけど、途中から楽しくなっていたのでした。
なぜなら、
僕は、その店の「そんな状況」の裏側を勝手に「妄想」していたから。
・・・・(以下、妄想シーン)
バイト店員全員にとってのムードメーカーであり、束ね役であり、仕事もできて、便りになる「先輩スタッフ・Yさん」が、急に熱が出たので休むというケイタイ連絡が入った。
先輩スタッフYさんに憧れるナンバーツーのN君が、開店前のミーティングで 「Y先輩がいなくても、我々だけで、お店頑張りますから、先輩は早く病気なおしてくださいね。よし、みんな、頑張るぞ。開店時間だ、店開けるよ!!!」
「喜んでっ!!!!」「喜んでっ!!!!」「喜んでっ!!!!」
しかし、いざ、開店してみたら、春休みのお客でごった返し、厨房の中は「戦場」のよう・・・。いつもなら、先輩Yさんの的確で素早い指示に従って動いていれば、お店はうまく回転していたのに、どうも、いつもと勝手が違う。
食ってかかったカップルがオーダーしていたモノも、厨房内で慌てるバイト同志がぶつかって皿ごと床にぶちまけてしまった!!
ガッチャ~~~ン!!!
A「ヤバイ。つくりなおしだ。」
B「ええ??あのカップルさっきから遅いって怒ってるンですよぉぉぉ。。。」
A「オマエがボーッとしているからだろう???」
N「何やってんだっ!!早くしろっ!!!」
C「先輩~~、予約のヤマダさん、って受けてました??」
N「え?知らないよ、書いてないか?」
D「あ、それ私、電話出てたの。書いとくの忘れてました。スミマセン」
N「何やってんだよ、Dちゃん・・・、ちゃんとしろよ。」
E「Nさん、今日、○○って入ってます??」
N「イヤ、ないから、もしオーダー入ったら、品切れですって謝っておいてね。」
E「分かりましたぁ・・・」と出て行く。
A「Nさん、ここにありますよ、○○。」
N「あ、ほんとだ、いけね、」
A「(あぁ・・・やっぱり、Y先輩がいないと、ダメだなぁ・・・先輩、早く帰ってきてくださいよぉぉぉぉぉぉぉ・・・)」
N「おい、A!!今。オマエ、俺の事、頼りないヤツだなぁって顔しただろ??わかってんだぞ!」
A「そ、そんな事ないっすよ、(たははぁ・・・やっぱ、Nさん、小さい小さい・・・・)」
D「スミマセ~~ン、レジお願いしま~~~すっ!!」
A「はい~~~、いそがしい、いそがしいっと・・・。閉店時間まで遠いなぁ・・・。」
以上のように「妄想」をしていると、オーダーが遅いのも、電話したのに予約が入っていないのも、「喜んでっ!!」と言いながら喜んでいないのも、空席があるのにお客さんを案内できないのも・・・、すべてが「妄想」の中で勝手に納得できるのだ。
だいぶ時間が過ぎて、お会計をして店を出た。
帰ってから、レシートをよ~~く確認してみたら、食べていないモノまでカウントされて計算されていて、
「哀しんでっ!!!」
と叫びたくなった。
やっぱ、あの店には「先輩スタッフ・Yさん」がいないと、ダメだわ・・・・←妄想世界のまま(笑)
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